ミス着物は東大リケジョ 挑戦の裏に「悔しい失敗」

15人ほどの外国人の研究者が一人一人、岡部さんのブースを訪ね、英語で質疑応答するスタイルだった。英語の想定問答集を用意してはいたが、ワンパターンの答えを返すのがやっと。周囲のアジア系の高校生は、流ちょうな英語で、臨機応変に、しかもにこやかに質問に答えていた。

「ショウジョウバエの幼虫は意外にかわいい」と話す岡部さん

「研究者は、様々な分野の専門家で構成されていました。基礎研究の研究者もいれば、抗菌物質の専門家もいたのに、私はバカみたいに同じ回答を繰り返すばかり。それしかできなかった」。結果、何の賞ももらえなかった。プレゼンテーション力不足を痛感した。「この抗菌物質は、薬害耐性菌に効果があるクスリの開発につながる可能性を秘めています。しかし、相手に伝える力がなければ、どんなにすごい研究成果を出しても認められません」と岡部さん。思い出すのも悔しいようだ。

ノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学教授の山中伸弥氏など日本のトップ研究者は、いずれも優れたプレゼン力を持つ。英語で、ときにはジョークも交えながら、的確な言葉で相手に伝える。

ミス日本 30項目の講習に引かれる

17年春、東大に進学した岡部さん。「プレゼン力」を磨くにはどうしたらいいのかと悩んでいるときに、ミス日本コンテストと出合った。大舞台に立って度胸をつけるということ以上に、岡部さんが引かれたのはファイナリストの14人に選ばれれば、国内トップの指導者や講師からプレゼン力や国際社会のマナー、教養など30項目の講習を直接受けられると知ったからだ。

17年8月の大会でファイナリストに選ばれた岡部さんは4カ月間にわたるハードな講習に臨んだ。課題のプレゼン力はウェールズ人の講師アンドリュー・ジョーンズ氏の指導を受けた。「相手を不愉快にさせない話し方や受け答えを学びました」と岡部さんはいう。日本プロトコール&マナーズ協会の上月マリア氏からは、民間外交官の役割を担うミス日本に欠かせない国際社会のマナーを学んだ。

岡部さんは「海外では目上の方が右側に立つという『右側上位』がルールだと初めて知りました。握手するときも、目上の方が右手を差し出したら、こちらも右手でそっと握るというのがマナーだそうです。えらい方と握手する際は、両手でしっかり握るのがいいのではと勘違いしていました。知らないことばかりで、すごく恥ずかしかったです」と話す。メークやウオーキングも習った。メークにも、大きく分けて普段用と舞台用の2通りがある。スピーチなど話し方や表情、姿勢の改善にも徹底的に取り組んだ。

今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
注目記事
今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら