ナショジオ

旅・風景

潜入!スイスに残る秘密の軍事要塞 アルプスの山中

日経ナショナル ジオグラフィック社

2018/2/14

ナショナルジオグラフィック日本版

バルドブランド要塞の階段(PHOTOGRAPH BY RETO STERCHI)

 のどかな風景とは裏腹に、スイスの山の地中深くには、秘密に包まれた過去が姿をとどめている。無数に張り巡らされた地下要塞だ。写真家のレト・ステルヒ氏は、これらの地下要塞を撮影するプロジェクトを、『スイスの山の神話』と名付けて敢行した。

 これらの地下要塞は、ヒトラーの侵攻に備える戦略的要塞として掘られ、侵略を受けた場合に政府や軍司令部の潜伏場所として使うことになっていた。洞窟のような部屋の数々は、国家存続を担う希望の砦として、20世紀後半まで使用されていたものもある。

 プロジェクトのきっかけは、その歴史というよりも、正体のわからないものに対する好奇心。少年の頃、アルプスのふもとを流れる川のそばでよく遊んでいたステルヒ氏は、地下要塞の残骸が水面から頭を出していたのを見たという。

 「大きな岩だと思っていたら、そこからマシンガンが突き出ていました」と、ステルヒ氏は語る。「何だこれ、中には何があるんだ、と思ったのを覚えています」。けれども、当時はそれ以上探ることができなかった。

オスピジオ要塞のカムフラージュされた入り口(PHOTOGRAPH BY RETO STERCHI)

 その隠された世界は、その後何年も経ってからついに姿を現した。ステルヒ氏が20歳になって、兵役に就いた時のことである。訓練中、上官の命令で仲間とともに山のふもとに開いた階段を下りて行った。

ナショジオ新着記事

ALL CHANNEL