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食の達人コラム

「食べる温泉」 舌で味わう名湯、地物引き立てる塩味 魅惑のソルトワールド(12)

2018/2/2

写真はイメージ=PIXTA

 日本全国が大寒波に見舞われた先週。都心でも氷点下の朝を迎え、水道管が凍って水が出ないなどの被害も相次いだようです。肌が痛いと感じるほどのりんと澄んだ冷たい空気は久しぶりに体験しました。

 こんな時期は、ゆっくり温かいお湯につかりたいもの。もちろん、自宅の湯船にお湯を張って、好きなバスソルトやアロマを入れてリラックスタイムを過ごすのも良いのですが、やっぱり恋しくなるのが、温泉です。とはいえ、近くに温泉が湧いているなんて方は、そんなに多くはないと思います。そこで今回は、気分だけでも温泉を楽しんだ気になれるように「食べられる温泉」をご紹介したいと思います。

「食べられる温泉」ってなに?と思うかもしれませんが、実はそんなに珍しいことではありません。

各地で行われている「飲泉」=PIXTA

 みなさん、温泉に行った時に「飲泉」という単語を見かけたことはありませんか? 「飲泉」とは、その文字の通り「泉(温泉)を飲む」こと。日本ではそんなに歴史は古くないようですが、ドイツ、イタリア、フランスなどのヨーロッパ諸国では、飲泉が身体に良い作用ともたらすということから、はるか昔から盛んに行われてきました。さらに、温泉医学の研究では、飲泉することによって、胃腸などの内臓に対して、入浴するのと同じような作用があるということが明らかになっているそうです。

 今回ご紹介するのは、日本各地で生産される「温泉からできた塩」です。塩として摂取する量は多くはないので、飲泉のような効能が得られるとは限りませんが、ぜひ温泉気分を味わってみてください。

食塩泉からできた塩の数々 すべて国産

 塩化ナトリウムを含む温泉のことを「塩化物泉」や「食塩泉」と呼び、実は日本で一番多い泉質で、高い保温効果が人気です。数千万年以上前の海水が地下の帯水層にたまったものが地上に湧き出してきたもので、塩分濃度は1%を切るようなごく薄いものから、海水(約3.4%)を超えるような濃いものまでさまざまです。

 塩化物泉がある目安としてわかりやすいが地名で、たとえば長野県の鹿塩温泉や福島県の大塩温泉のように、地名に「塩」がついていて温泉が湧いているところは、そのほとんどが塩化物泉です。しかし、ごく一部の例外を除いて、海水よりは塩分濃度が薄い場合がほとんど。製塩効率が非常に悪いため、すべての塩化物泉で塩を作っているわけではありませんが、いくつかの温泉地では、温泉水を原料とした製塩が行われ、地元の名産品やお土産品として販売されています。

 海水から製塩する場合との最も大きな違いは、地下に長期間堆積してから地上に湧き出てくるため、土壌に含まれるさまざまな成分の関与を受けやすいということです。できあがる塩は、海水からできる塩に比べてよい意味での雑味があり、味に厚みや奥行きがある場合が多くあります。そして、近隣の山で獲れた肉やきのこなどの「山の物」や、魚だったら「川魚」と相性が良い場合も多く、同じ土壌に育てられたもの同士の相性の良さを感じることができます。

 それでは、いくつか代表的な「温泉塩」をご紹介しましょう。

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