LCCの旅、ひと工夫で快適 自分好みのサービス選ぶ

早朝・深夜便が多いLCCでは、空港までのアクセス手段にも注意が必要
早朝・深夜便が多いLCCでは、空港までのアクセス手段にも注意が必要

手ごろな価格で、旅の選択肢を広げているのが格安航空会社(LCC)。国内線のみならず国際線も増加しており、気軽に海外旅行を楽しむ人が増えている。予算は抑えつつ、快適な旅行を楽しむためにわきまえていた方がいいテクニックもあるようだ。

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埼玉県在住の50代男性は、2017年8月、LCCを利用して台湾旅行を楽しんだ。航空券代は3万円弱。「長年行きたいと思っていた故宮博物院を体験できたので満足。土日の1泊2日でも十分楽しめた」と振り返る。

座席指定などセット運賃も

もっとも、初めてLCCに乗るための対策も立てた。荷物は機内持ち込みのみだが、座席は追加料金を払って指定した。「座席間隔が気になっていたので、足元が広い非常口横の席を指定した。快適に過ごせた」という。

座席選びには追加料金が必要だが、うまく指定すればドア近辺の足元にスペースが広い場所も選べる(ピーチ機の機内)

LCC大手のピーチ・アビエーション(大阪府田尻町)広報グループのユルドゥルム・ファーティさんは「航空券代を、運賃とサービス料金に切り分けたのがLCCの最大の特徴」と説明する。「機内食、荷物預かり、座席指定など従来の航空会社と同じサービスは用意してあるが、選択を乗客に委ねている」

だがこの選択肢がかえってハードルになることもある。そうした場合、ファーティさんがLCC初心者にすすめるのは、基本サービスがパッケージ化された運賃の利用だ。例えばピーチの場合、運賃にはシンプル、バリュー、プライムの3タイプがある。真ん中のバリューなら、基本的な荷物預かり、座席指定料金が含まれ、フライト変更手数料も無料になる。

機内での過ごし方にも一工夫が必要。LCCには映画や音楽を楽しめる個人用モニターがないのが一般的。ひたすら寝るのも一つの手だが、時間を持て余したときの対策もいる。前述の男性は単純に「文庫本を用意しておいた」という。スマートフォンやタブレット端末に、見逃した映画をダウンロードしておくのもいい。注意したいのが充電。機内で充電ができるLCCは少ないので、携帯バッテリーがいるかもしれない。

服装にも注意を。機内が寒くてもブランケットの無料貸し出しはないのでストールなどを用意しておこう。サンダルならソックスを用意しておくのも冷え対策になる。機内食や飲み物も有料だ。例えばピーチでは、たこ焼きや、就航地のご当地食材を盛り込んだ弁当などユニークなメニューを選べる。

LCCには早朝便や深夜便が多いが、出発・到着時刻によっては、電車やバスが利用できない場合がある。羽田空港発の香港便を利用した40代女性は、予約後に、東京都内の自宅最寄り駅から利用便に間に合う電車がないことに気づいた。「安いと思って予約したが、結局タクシー代に1万円近くかかった」ともらす。ファーティさんも「日帰りや弾丸旅行には使い勝手がいい半面、空港発着のアクセスがネックになる場合もある」と注意を促す。

グッズの活用でも旅はぐっと快適になる。「旅先に着くまでの時間も楽しく過ごしたいという旅行者が増えている」と話すのは、東急ハンズ新宿店(東京・渋谷)の溝口浩さん。

最近の旅行用枕は低反発素材が人気だ(東京都渋谷区の東急ハンズ新宿店)
帰りの荷物の重量を計るラゲッジチェッカー(東京都渋谷区の東急ハンズ新宿店)

長時間のフライトに持参したいのが旅行用枕だ。「空気で膨らませるタイプのほか、最近は低反発素材が人気」と同店の小林伸介さん。小林さんのおすすめは、首に当てて使うだけでなく、腰に当てる、テーブルの上に置いてうつぶせで寝るなどマルチに使えるタイプだ。

機内持ち込みサイズに注意

バッグ選びにも注意したい。機内に持ち込める荷物制限はLCCごとに異なるので、事前に確認しよう。「最近人気なのがカート、リュックの2ウエーで使えるタイプ」と小林さん。機内持ち込み対応サイズで荷物が重いときはカート、路面状況が悪いときにはリュック、と使い分けできる。容量も約30リットルと、2~3泊の旅行にも十分対応できる。

気になるのが重量制限。「帰りの荷物が増えて重量制限オーバーというケースがまま見られる」(ファーティさん)。そこで役立つのが、手のひらに載るサイズの旅行用荷物はかり。千円台から購入でき、旅先で重さが確認できる。

こうしたグッズ選びや航空券の手配など準備段階も旅の楽しみの一つ。価格面に加え、サービスの組み合わせや自分なりの工夫次第で、旅の快適さがアップするのもLCCの魅力だろう。

(ライター 李 香)

[日本経済新聞夕刊2018年1月27日付]

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