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放置して重症化する例も 認知症高齢者の足トラブル

日経Gooday

2018/2/5

痛みをうまく伝えられない認知症高齢者を、周囲の人はどうケアすればいいだろう。写真はイメージ=(c)Akhararat Wathanasing-123rf
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65歳以上の高齢者の7割は何らかの足のトラブルを抱えているといわれる。しかし、多くの人は小さな足病変(足に傷や腫れなどの病的な変化が見られる状態)を見逃してしまったり、自覚していても「大したことはない」と放置して、重症化させる可能性が高い。自分の問題点をうまく伝えることができない認知症の人は、さらに足トラブルを重症化させるリスクが高くなる。認知症になった高齢者の足のトラブルを家族や周りの人はどのように見つけ出し、ケアすればいいのだろうか。足のナースクリニック代表の西田壽代さんに話を聞いた。

■痛みやかゆみを伝えられない

高齢者に多い足のトラブルには、魚の目、たこ、爪のトラブルのほかに、皮膚の表面を覆う角質層が分厚くなり、様々な肌トラブルを起こす角質肥厚、足の指が変形するハンマートゥなどがある。

一方、高齢者は感覚が鈍くなっていることに加え、足に何らかの違和感があっても、「年だから少しくらい仕方がない」とか、「たかが魚の目だから」などといって放置し、重症化させやすい傾向がある。

例えば糖尿病や進行した動脈硬化などがある場合、足のトラブルが重症化すると、足指の壊死(えし)、壊疽(えそ、壊死に陥った組織が細菌の感染や乾燥などで二次的変化を受けた状態)が起こり、下肢の切断に至ることもある。さらに、こうした足のトラブルは立位のバランスを悪くするため、転倒リスクや歩行障害のリスクも高くする。

そして、認知症がある高齢者になると、これらのリスクはさらに高くなる。なぜなら認知症の人は、自分の現状を適切に表現し、伝えることが難しいからだ。痛みが強い場合は表現できるが、ちょっとした痛みやかゆみといった違和感がなかなか正しく伝えられない。

「例えば、認知症の人に理学療法士さんがリハビリで歩き方の指導をしていたが、いやだと言ってやってくれませんでした。理学療法士さんは自分の接し方に問題があると思い、いろいろ工夫したが、やはりうまくいきませんでした。そんな患者さんにフットケアを行ってみたところ、足の裏に大きな魚の目やたこがあることが分かりました。この人はこれが原因で歩く訓練をしたくなかったのです」と西田さん。

高齢者の足のトラブルには、高齢者特有の次の5つの要因があるので、まずはそれを知っておこう。

(1)加齢による筋肉や骨の衰え

高齢者は筋肉や骨が衰えるため、走る、蹴る、飛ぶなどの動きが鈍くなる。また、骨を支える筋肉も衰えるため、骨が変形したり、圧迫されたりして、姿勢が悪くなりがちだ。一般的に高齢者は前足部分に重心がかかり、前傾姿勢になりやすい。よって転びやすい。

(2)加齢による神経細胞の減少

加齢に伴い脳の指令を伝達する神経細胞(ニューロン)と神経伝達物質が減少する。そのため神経伝達速度が低下する。その結果、視覚、聴覚、触覚など様々な感覚のインプットが鈍くなり、平衡感覚が不安定になりやすい。めまいが起こるのもそのためだ。動作が緩慢になり、瞬間的な運動が困難になるため、転倒しやすい状態になる。

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