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便秘解消に前進? 初のガイドラインの気になる中身

日経Gooday

2018/2/4

 治療のゴールは、熟したバナナくらいの軟らかさと形の便になることだ。便の硬さや形状を示す指標があり、日本人は4が理想とされる(図3)。

 4のような便は、トイレに行くとだいたい数十秒以内に排便できるという。これがすっきりと全て出し切る完全排便だ。しかし、1、2のように便が硬くなると、便がひび割れるため中に残る。半分くらい残ることもあり、強い残便感が起こる。「肛門は鼻や口と同じくらい繊細な感覚臓器です。そこに便のかけらが残ると非常に不快なわけです」(中島氏)

 反対に、水のような便になればすべて出るのだろうか。「水のような状態の便を出そうとすると、下に出ると同時に上にも逆流して残ってしまいます。下痢のときに何度もトイレに行くのは、水状の便は一気に出すことができないためです」(中島氏)。

 硬すぎず軟らかすぎない理想の便になることで、すっきりとした排便が可能になる。上手な薬の組み合わせで便秘をコントロールすれば、理想の便の硬さを保つことができる。

■トイレを我慢し続けると、便意がなくなることも

 生活習慣の改善、薬による治療に加えて、最後の仕上げとして必要なのが「我慢せずにトイレに行く」ということだ。トイレに行くことを我慢していると、その状態に慣れて便意そのものがなってしまう。便意がない人は女性や子どもに増えていると中島氏は指摘する。「便意を感じられなくなると、便が肛門あたりまできていても便が出せません。患者さんの中にはウォシュレットなどで刺激して出す人もいます」(中島氏)。浣腸や病院で便をかき出す処置を行うと、肛門を傷つけて便の感覚がさらになくなってしまう。そうなる前に、トイレを我慢しすぎないことも大切だ。

 トイレに行ったら、前かがみの姿勢をとると便が出やすくなる。ロダンの彫刻「考える人」のようなポーズをイメージしよう。普段、直腸は肛門の手前で大きく曲がっているため便が出にくいようになっている。座って前傾姿勢をとると、直腸から肛門までがまっすぐになり、おなかにも圧がかかりやすくなる。

 便秘は命にも関わり、生活の質を大きく左右する。重症化する前に適切な治療を受けることが重要だ。症状を隠したり、市販薬だけに頼ったりせず、一度病院で相談してみてはいかがだろうか。すっきりした排便で快適な生活を手に入れよう。

(ライター 井艸恵美、図版制作:増田真一、Akiko Takagi)

中島淳さん
 横浜市立大学大学院医学研究科肝胆膵消化器病学教室主任教授。1989年大阪大学卒業。社会保険中央総合病院内科、茅ヶ崎市立病院内科、東京大学第三内科助手、ハーバード大学客員研究員、横浜市立大学附属病院消化器内科教授などを経て、2014年より現職。専門領域は、消化管運動異常、肥満と消化器疾患(特に非アルコール性脂肪肝炎)、大腸がんの発がんメカニズムなど。TVなどのメディア出演も多数。

[日経Gooday 2018年1月18日付記事を再構成]

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