『ヒャッキン!』 100円グッズ、外国人はどう使う?
テレビ東京の『ヒャッキン!~世界で100円グッズ使ってみると?~』は日本でおなじみの100円グッズを海外の人に見せ、使う様子に密着する番組だ。世界各国の身近な悩みに触れ、そこから家族の絆も見えてくるという。海外ロケバラエティーに新しいアプローチで新風を吹き込んでいる。

『ヒャッキン!』は2015年に単発で放送され、17年7月の3回目の特番で視聴率9.4%を得た。そして同年10月からはレギュラー番組として新たにスタートした。
日本のものに対して、海外の人がどうリアクションするかという興味から番組が誕生。100円グッズにした理由について、「非常に日本らしいものだから」と総合演出を務めるテレビ東京制作局の福本俊二氏は語る。「かゆい所に手が届くようなアイデアがつまっていて、かつ安い。どう使うのか分からないものも多い」(福本氏、以下同)
海外へは日本からスタッフが3人行き、現地のコーディネーターと4人でロケをしている。最初の特番ではタレントを起用したが、スケジュールが限られてしまう。「密着取材もすると10日間ぐらいは必要。テレ東らしく、100円グッズを知った外国人がそれを誰のために使うのかという1点に目的を絞って、ロケはディレクターだけでやることにしました」
生活様式や風習のリサーチはしていくが、何が喜ばれるかは現地に行ってみないと分からない。グッズは100種類以上持っていく。「トランク3個分ぐらいになるので大変です」。密着取材させてもらう家族の身近な悩みや困りごとに、その場で対応するには100円グッズの豊富な知識が必要。あらゆる提案ができるよう、ディレクター自身が普段から抜かりなくチェックしているそうだ。
テレ東だけでも海外ロケバラエティーは『世界ナゼそこに?日本人』と『世界!ニッポン行きたい人応援団』がすでにあり、飽和状態であることは感じているという。ただ、海外ロケならではの良さは他には代えがたい。
「僕らにとっては定番グッズで情報番組などでよく取り上げられるものでも、ゼロから評価しリアクションで新鮮な発見を表現してもらえる。パリではベランダに洗濯物を干せないので、シャワーホルダーにつけるハンガーが喜ばれたりと、その国の文化が見えるのも魅力です」

見せたいテーマは、世界の家族の絆。100円グッズをきっかけに、家族の関係性はどの国も日本と変わらないという点で共感してもらえればと。「海外というと自然や文化などダイナミックな企画が多いですが、こんな家の中の半径3メートルに収まっている番組があってもいいのでは」
初回放送では、イタリア、フランス、カナダを訪れた。ベネチアでは運河沿いに住む主婦の、その土地ならではの悩みを解消。カナダではシングルファーザーのために、小学生姉妹がサプライズプレゼントをした。100円のパスタソースのアレンジレシピを土地のシェフに考えてもらうなど、活用術の展開もある。
スタジオにはママタレントが呼ばれる。VTRを見ながら家族の温かいやりとりに涙するなど、収録はアットホームな雰囲気。100円グッズの新商品が発売される限り、番組を続けていくことを目標にしている。
(「日経エンタテインメント」12月号の記事を再構成 文/内藤悦子)
[日経MJ2018年1月12日付]
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