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ウミガメの99%がメスに! 豪で深刻、海水温の上昇

日経ナショナル ジオグラフィック社

2018/1/20

ナショナルジオグラフィック日本版

ビーチでふ化したばかりの赤ちゃんウミガメ。(Photograph by Jason Edwards, National Geographic Creative)

 オーストラリア北東部のグレート・バリア・リーフは、太平洋で最大かつ最も重要なアオウミガメの繁殖地だ。ウミガメはこの餌場で海藻を食べて何年も過ごし、成長すると繁殖地まで泳いで行って、交尾し産卵する。そのうちの、どれがメスでどれがオスなのだろうか。それを調べた驚くべき研究結果が、2018年1月8日付の生物学専門誌「Current Biology」に発表された。

 ウミガメの性別を見た目で判断するのは難しい。そこで研究者が考えついたのは、ボートに乗って泳ぐウミガメを追いかけ、海に飛び込んで甲羅をつかまえるという作戦だ。そしてそのままウミガメをやさしく浜へと誘導する。陸に上がってから、DNAと血液サンプルを採取し、さらに腹腔鏡を使って体内の生殖腺を調べる。

 ウミガメの性は、卵にいるときの温度で決まる。温度が高くなればメスが増えるため、気候変動によって気温や海水温が上昇している昨今、メスの方がわずかに多いだろうと、今回の研究を行った科学者たちは予想していた。ところが実際には、その予想をはるかに上回り、少なくとも116対1の比率でメスの数が圧倒的に勝っていたことが明らかになった。

 「いくら何でも極端すぎます」。米国ハワイ州にある海洋大気局(NOAA)IRCに所属するウミガメ専門家のカムリン・アレン氏は言う。「ほんの一握りのオスに対してメスが数百頭です。ショックでした」

海辺の巣穴に卵を産むオサガメ。ガーナで撮影(Photograph by Frans Lanting, National Geographic Creative)

 世界各地で起こっている海水温の上昇によって、ウミガメのメス化が進んでいるということは以前から懸念されてきたが、アレン氏らによる研究はこれまでのものよりも詳しく、問題の深刻さを浮き彫りにしている。またウミガメ以外にも、アリゲーターやイグアナ、一部の魚類など、気温や水温で性が決定する他の生物へのリスクはどうなのかという新たな疑問も湧く。

■予想をはるかに超える事態

 オーストラリア東部のアオウミガメは、体重が225キロに達し、ハート形をした甲羅の最大長は120センチを超えることもある。主な産卵場所は、グレート・バリア・リーフ南部のブリスベン沖に密集している小島か、またはそこから1200キロほど北にあるレイン島の2カ所に限られている。ふ化した子ガメは珊瑚海の浅い海域で過ごし、四半世紀ほど経過すると、いずれかの繁殖地へ戻って恋の相手を探す。その後は、数十年の間は繰り返し同じ繁殖地へ戻ってくる。

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