4週間のストレッチで「冷え性」も改善
さらにストレッチは冷え性の改善にも効果があるようだ。
冷え性の人にとって、冬はつらい季節だ。冷え性の人は末端の血流が悪いため、手足の温度が低くなっている。さらに、家光さんらの調査から、「冷え性の人は動脈硬化が進んでいる」というショッキングな事実も分かった[注10]。
そこで家光さんは、冷え性に悩む若い女性たちに5種目のストレッチを1回10分間、1日2回続けてもらった。4週間後、足の指先の表面温度を測ってみると、ストレッチをする前よりも高くなっており、冷え性が改善したことが確認できたという[注11]。
ストレッチによって血流が良くなると動脈硬化が改善するだけでなく、冷え性も良くなるのかもしれない。
「寒い時期はジョギングやウオーキングで外に出るのはつらいもの。ストレッチなら室内で気軽にできるでしょう」と家光さんは話す。
確かに、ストレッチなら運動嫌いの人でも続けやすい。さらに冷え性や動脈硬化の改善作用まで期待できるとなれば、これはやらないわけにはいかないだろう。
[注10]大和,長谷川,藤江,家光. 日本女性医学学会雑誌. 2016;24:29-36.
[注11]未発表データ
家光素行さん
立命館大学スポーツ健康科学部教授。1996年、川崎医療福祉大学医療技術学部卒業。2003年、筑波大学大学院医学研究科博士課程修了。筑波大学先端学際領域研究センター客員研究員、国立健康・栄養研究所身体活動研究部客員研究員などを経て、14年より現職。

(ライター 伊藤和弘)