小沼 街を歩いたり、作業をしたりといった「ながら聞き」をしていると、途中で途切れてしまうんです。もう少しタフでないと不安かなあ。

小原 この辺りは世代間の聴き方の違いが現れますね。Apple MusicやSpotifyなどのサブスクリプションで聴く若者は、再生時間が長い方が良いでしょうから。BOSEの5時間なら十分ですか?

小沼 そうですね、BOSEに関しては、日常的に使う分には不便は感じませんでした。あと、ケース含め15時間であれば、1日くらいケースを充電するのを忘れてしまっても安心ですよね。最近、Wi-Fiをモバイルタイプにしたので、充電が必要な機器が増えてしまって……。装着時のワイヤレスの快適さは素晴らしいけど、充電が必要なものが増えるという点では面倒だなあとも感じます。

小原 私の不満は、ハイレゾに未対応という点です。ワイヤレスは早くハイレゾに対応してほしい。せっかく良い音で音源を持っていても、それが生かされないのはもったいないと感じます。

役に立った「外音取り込み」モード

小沼 BOSEとソニーのイヤホンに戻りましょう。ペアリングのしやすさや、それぞれの特徴について見ていきたいと思います。

小原 どちらも最初にペアリング設定をしてしまえば、その後の使い勝手は大きくは変わりませんでした。ただ、ソニーに比べてBOSEは少し左右の音切れが多く感じました。

小沼 僕もBOSEの音切れは気になりました。左から音が聞こえなくなってしまうことがよくあった気がします。数秒で元通りにはなりますが、ぜひ改善してほしいところです。

小原 ソニーのノイズキャンセリング機能はどうでしたか? 私は少し物足りない気がして、電車に乗っている時などは、もっとしっかり機能してほしいと感じましたが。

小沼 そうですか。どちらもカナル型で、物理的な密閉感があるので、僕はあまり必要性を感じませんでしたね。ソニーについては、むしろアンビエントサウンド(外音取り込み)モードがうれしい機能でした。移動や街中でつけている時間が長いと、電車でアナウンスが流れた時や、洋服店で店員の方にふいに話しかけられた時に反応できるので重宝するんです。

小原 BOSEにはノイズキャンセリングは搭載されていないんですよね。ノイキャンと言えばBOSEという印象があったので、残念に感じました。

小沼 その点をBOSEに確認したのですが、「ランニングをはじめとしたワークアウト中に装着するのに適した仕様となっていることもあり、ノイズキャンセリング機能を搭載していない」という回答でした。その代わり、防滴機能が搭載されているんですよね。たしかに屋外でのランニング中に急に雨が降ったり、ジムで汗がかかったりすることはあるので、安心ではあります。でも、スポーツ対応をうたうなら余計にソニーのような外音取り込みモードのほうが役に立つんじゃないかと思います。ランニング中に車や自転車が近づいてくる音が聞き取れるのは、やっぱり安全ですから。

どちらも1作目としての作りこみは十分

小原 ここまで見てきて、小沼さんはどちらがほしいと感じましたか?

小沼 ノイズキャンセリングがない、大きいなどの不満はありますが、ほしいのはBOSEですね。音質がフラットなことと、やっぱり再生時間が長いのが決め手です。

小原 再生時間、こだわるなあ(笑)。だけど私もどちらかと言われるとBOSEですね。音質の良さで、やはりこちらに軍配があがります。解像感ではソニーもいいところがありますが、情報量の豊かさとトーンバランスという点で、BOSEが好ましく感じられました。とはいえ、両者ともハイレゾの醍醐味が味わえないなど、不満点はありますし、改善点はあると思いますが、どちらも完全ワイヤレスイヤホンの1作目としては力の入った出来栄えだと思います。それぞれの特徴をよく見比べた上で購入すれば、ワイヤレスの自由さを満喫できるのではないでしょうか。

2018年もますます成長の可能性

GfKの合井さん同様、小原さんもソニー、BOSEが完全ワイヤレスイヤホンを発売したことについて「これまでは新進メーカーが中心だった完全ワイヤレス市場に、ついに大手が乗り出したのは大きなトピック」と話した。この2社に引き続き、17年12月にはJBLもブランド初の完全分離型ワイヤレス「JBL FREE」を発売している。

iPhone7が発売された当時の16年時点では、関心を持つのは一部のマニアが中心というポジションだった完全ワイヤレスイヤホン。それから1年が経ち、今や大手メーカーが続々と参入するほど注目を集めている。18年もますます成長していくことになりそうだ。

(ライター 小沼理=かみゆ)

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