気になる「頻尿」 1日何回以上トイレに行くこと?
この記事では、今知っておきたい健康や医療の知識をQ&A形式で紹介します。ぜひ、今日からのセルフケアにお役立てください。
(1)5回
(2)8回
(3)12回
正解は、(2)8回 です。
ミドル以上の男性が悩むことの一つに、「最近トイレが近くなったこと」があります。長い会議やプレゼンで我慢したり、ドライブで渋滞にはまると不安になったりする人も少なくないと思います。
こうした頻尿の悩みについて、日本大学板橋病院泌尿器科主任教授の高橋悟さんは「中高年以降の頻尿は、前立腺の肥大が関与していることが多い」と話します。
前立腺は、膀胱(ぼうこう)の下で尿道を包むように存在する臓器です。若いうちは精液の構成成分である前立腺液を分泌するなどの働きをしています。加齢によりその役割を失うと、前立腺は萎縮か肥大の道をたどることになります。食生活の欧米化が進んだ日本では、ほとんどの人の前立腺が肥大するようになりました。
高橋さんによると、「肥満になると、前立腺肥大症が発生、進行しやすくなることを示すデータがある」そうです。組織学的に調べた前立腺肥大は、30代から始まり、50代で30%、60代で60%、80代では90%に見られます。
前立腺肥大を起こすと尿道が圧迫される
前立腺は尿道を取り囲んでいるので、肥大すると尿道を圧迫して「おしっこが出るまでのいきみ時間が長い」「尿が細く、ちょろちょろ出る」といった症状が見られます。さらに、「残尿感」「排尿後に尿道に残っていた尿でズボンなどが濡れる(排尿後尿滴下、はいにょうごにょうてきか)」といった症状も見られるようにります。
おしっこの回数も増えます。高橋さん「ごく簡単にいえば、前立腺肥大症のおしっこ問題とは、出が悪いのに、頻繁にトイレに行くような状態」と話します。1日に8回もおしっこに行くようになれば、前立腺肥大症の「頻尿」といっていいそうです。
エコーで前立腺の大きさを調べる
こうした頻尿で困っている場合は、泌尿器科で検査を受けてみるといいでしょう。前立腺が肥大しているかどうかは腹部超音波検査(エコー)で分かります。エコーで、前立腺の縦×横×高さを測定すれば前立腺の容積が分かります。15~20mLが正常、30~40mLになれば立派な前立腺肥大症というわけです。
泌尿器科医は直腸診も行います。肛門から指を入れて前立腺の大きさを確認するとともに、「しこり」など組織の異常がないかを調べます。直腸診により前立腺がんなどが見つかることもあるそうです。前立腺がんの検査としてはPSA(前立腺特異抗原)血液検査も同時に行います。
このほか、尿流量ウロフロメトリー検査といって、排尿障害の程度を知る検査を行ったり、おしっこした後の膀胱内の量を調べる残尿測定などを行います。「前立腺が大きくて、残尿があり、前立腺がんが否定されれば、多くの人が前立腺肥大症と診断されます」(高橋さん)
(日経Gooday編集部)
[日経Gooday 2017年12月18日付記事を再構成]
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