冬の重いカラダすっきり 温泉と食事で心身を整える宿
キレイになれる温泉の秘密
年末年始は、忘年会、クリスマス、お正月、新年会と連日のごちそう三昧。冬は代謝も鈍ります。ちょっと体が重たくなってきたら、温泉と食事で体を整える温泉旅はいかがでしょうか。心身がすっきり整う滞在ができる温泉宿をご紹介します。
テンションが上がる美食のマクロビオティック会席
熊本県・黒川温泉の旅館山河は、温泉街から少し離れた場所にある静かな宿。渓流沿いの森の中に客室や露天風呂、貸し切り風呂や内湯の温泉棟が点在しています。かやぶき屋根の古民家の中に囲炉裏があったり小川が流れていたりして、風情ある雰囲気は欧米最大の旅行ガイドブック「ロンリープラネット」にもいち早く取り上げられました。湯上がりに浴衣でビールを楽しむドイツからのゲストもいらっしゃって、いい雰囲気です。
世界中からゲストが集まると食のニーズも多様になります。地元の食材を楽しくおいしく味わってほしいと考えた若女将・後藤麻友さんは、玄米菜食を基本とするマクロビオティックを自ら学び、料理長と一緒に試行錯誤を重ねて、マクロビオティック会席を完成させました。動物性の食材を使わないだけでなく、調味料もすべて天然醸造など昔ながらの製法のものを使う完全マクロビオティック料理でありながら、おいしさと華やかさは感動的です。
カラフルな前菜には地元産中心の有機野菜がたっぷり。事前に予約すれば追加料金なしでマクロビ会席を楽しめるとあって、「一度食べてみたかった」「温泉に来た時には体にいいものを食べたい」と、普段はマクロビメニューを実践しているわけではない方からのリクエストも多いそうです。
宿の中で湯巡りを楽しむ
冬の温泉旅は、朝食前の露天風呂が楽しみ。温泉から立ち上る湯けむりが冷たい朝の空気に触れて、薄がすみのようにゆらゆらと漂う幻想的な光景に出会えます。寒い季節に露天風呂に入るときには、体がお湯の温度になじむまで、たっぷりと「かけ湯」。急激な温度変化を緩和して体の負担を少なくします。
旅館山河の露天風呂のお湯は淡い森の色。泉質は「ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩・硫酸塩泉」。体を芯まで温める塩化物泉、肌の汚れや古い角質を落としてすべすべにしてくれる炭酸水素塩泉、化粧水のようにしっとりと保湿する硫酸塩泉と3つの成分が一体となって働くマルチビューティー系温泉です。
3000坪の敷地の森には貸し切り風呂を含む7つの温泉が点在。内湯の薬師の湯は敷地に湧く別の源泉が注がれていて、こちらは血の巡りを良くしてくれる単純硫黄泉。宿にいながら湯巡りが楽しめます。
2泊3日の週末プチ断食も、温泉なら頑張れる
毎日の生活では、なかなか難しい食事のコントロールですが、温泉に入ってすてきな空間で過ごす旅なら挑戦できそう。最近は女性だけでなく、体を整えたいビジネスマンの男性も「プチ断食」に訪れる人が増えています。群馬県・草津温泉にあるホテルクアビオは、にぎやかな温泉街から少し離れた森の中に建つプチホテル。ヨーロッパの休日のような気分で過ごせる優雅な雰囲気です。
温泉は浅間山を望む半露天スタイル。泉質は酸性-塩化物・硫酸塩泉、pH1.46の強酸性の万代鉱源泉が注がれています。酸性の温泉のほどよい刺激で肌と体を活性化。ぬるめの寝湯と熱めの深い湯船が並んでいるので、交互に入れば、ゆるやかに代謝も上がってきます。
クアビオのクアはヨーロッパの保養地のこと。治療のための滞在だけでなく、体を整えたり、心を癒やしたりするためにも利用されています。忙しい日常を忘れて自然の中でゆったりと過ごせば、脳疲労の解消効果もあるはずです。
ジュースで栄養補給しながら消化機能を休ませる
ホテルクアビオのファスティング(断食)滞在は2泊3日から。断食といっても、朝、昼、夕の3食の時間にはテーブルについて、オーガニックのニンジンジュースをたっぷり2杯と、三年番茶、梅干しをいただきます。夕食には具なしの味噌汁もついてきます。食事以外の時間にはお茶、葛湯、黒砂糖が用意されるので、初挑戦でも案外乗り切れます。
さらに、パーソナルトレーナーを頼めるフィットネスルームや、トリートメントやボディーセラピー、マッサージなどが受けられるエステルームもあるし、ガイド付きのネーチャーウオーキング(冬季は雪の中をスノーシューで歩く)など、気分転換に楽しめるオプションがいっぱい。2泊3日の滞在はあっという間に過ぎていきます。
固形物を食べないことで内臓を休めるプチ断食は、「補食」(断食明けの回復食)が最も大切といわれています。3日目に補食としていただくブランチは根野菜たっぷりの味噌汁に、玄米がゆ、ゴマ塩、大根おろし、梅干し、花豆。しみじみとおいしさを味わいながら、ゆっくりと内臓が目覚めて活力が湧いてきます。
温泉ビューティ研究家・トラベルジャーナリスト。日本の温泉・世界の温泉や大自然を旅して写真撮影・執筆をする旅行作家。テレビにも出演。海外ブランドのマーケティング・広報の経験から温泉地の企画や研修もサポート。日本温泉気候物理医学会会員、日本温泉科学会会員、日本旅のペンクラブ会員、気候療法士(ドイツ)、温泉入浴指導員。
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