「最近の体重計は体重だけでなく、体脂肪やBMIなどが出るものも多くあります。1日に一度、体重計に乗って、自分の状態を知るのは体重管理には欠かせません。ベースとなる体重が分かっていれば、ちょっと増えた時点で翌日の食事を減らすなど、自然と調整ができるようになります」(細谷さん)

実際、私も朝晩、体重計に乗る習慣をつけた途端、3キロ体重が減った。細谷さんの言う通り、ベースとなる体重よりも増えたら翌日は野菜中心の生活にする、運動量を増やすなど自分なりのケアができるようになった。体重が、飲み過ぎ、食べ過ぎのストッパーになるのだ。

激しい運動は避け、有酸素運動を

そして、適度な運動もまた大事な要素。しかし「激しい筋トレ、短距離走といった急激に大量のエネルギーを必要とする無酸素運動は避けること」と細谷さん。

「運動は筋トレよりもウオーキングや水泳など、軽い有酸素運動がお勧めです。激しい筋トレは、酸素の供給が追いつかず、筋肉中のATP(アデノシン3リン酸、詳しくは前回「痛風予備群1000万人以上!? ビールより酒量に注意」を参照)を使うため、プリン体が急激に増え、尿酸値が上がってしまうからです。またエネルギーを急激に消費することで筋肉からの乳酸が増加し、腎臓の尿酸の排出が抑制され、尿酸値が上昇してしまいます」(細谷さん)

世は空前の筋トレブームだが、尿酸値に限っては有酸素運動に軍配が上がる。バスを使わず駅まで歩く、エレベーターを使わず階段を使うなど、生活の中にこまめに動くことを取り入れるのもプラスになりそうだ。「運動そのものが直接尿酸を下げるということではなく、運動によって肥満が改善することで尿酸値が下がるのを期待できるのです」(細谷さん)

水分は多めにとる! コーヒーもお勧め

また、普段の生活で水分を多めにとることも尿酸値を下げるには効果的だという。肝臓で分解された尿酸は尿とともに体外へと排出される。尿の量が少なくなると、尿酸の排出量が低下して、尿酸値を下げることができないのだという。

「尿の量で1日2L程度の量を維持していただくのが理想的です。前にもお話ししていますが、脱水も尿酸値を上げます。通常、人の尿量は1日1.0~1.5Lですので、こまめにいつもの倍くらいの水分を摂取してください。もちろん水分の補給はカロリーやアルコール成分のない水やお茶などにしてください」(細谷さん)

水分摂取の際に、甘い清涼飲料水や果糖の多い果汁100%ジュースなどは適さないと細谷さんは話す。「果糖の過剰摂取は尿酸を増やすことにつながります。実際、砂糖(ショ糖=果糖+ブドウ糖)入りの甘いソフトドリンクの摂取量が多いと痛風発症のリスクが高まるという報告もあります。砂糖がたっぷり入った清涼飲料水やジュースなどの飲み過ぎには注意しましょう」(細谷さん)

あまり知られていないが、コーヒーは尿酸値にいい影響があるという。細谷さんは、「コーヒーの摂取もお勧めです。米国のコホート研究で、『コーヒーを多く飲む人ほど痛風発症のリスクが低い』という報告が出ています」と話す(Arthritis Rheum. 2007;56:2049-2055.)。この研究では、全くコーヒーを飲まない人に比べ、日に6杯以上飲む人の痛風発症の危険度は半分以下となっている。これはコーヒー好きの左党にとっては朗報である。

米国でのコホート研究で、コーヒーの摂取量が多い人ほど痛風発症リスクは少ないという結果が出ている(『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第2版』より)

そういえば私の周囲の「尿酸値が高い」と嘆く人の多くは、お茶より砂糖たっぷりのジュースや甘いサワー、コーヒーでも砂糖・クリームたっぷりのものを好む傾向があるように思う。やはり結果には、それ相応の原因がつきものなのだ。

◇  ◇  ◇

細谷さん曰く、結局、「これをしたから尿酸値が劇的に下がる」というものはなく、食事の改善、適切な酒量、休肝日、そして運動といった基本的なことを地道に続けることが、尿酸値を下げる最良かつ最短の手立てだという。だがこれら全てのことをやり尽くしてもなお尿酸値が下がらない場合は、医師に相談してほしいと話す。

「何をしても尿酸値が下がらない方は、医師と相談しながら薬で尿酸値をコントロールすることも検討しましょう。前述したように、尿酸値が高いまま放置してしまうと、痛風発作だけでなく、生活習慣病のリスクが高まります」(細谷さん)

もはや尿酸値やγ-GTPの数値の高さを自慢する時代は終わった(遠い目)。今は尿酸値や体重など数値をコントロールできてこそ、かっこいい左党なのだ。

細谷龍男さん
 東京慈恵会医科大学名誉教授/慢性腎臓病病態治療学教授。1972年東京慈恵会医科大学卒業。1997年同大第二内科(2000年内科学講座腎臓・高血圧内科と改組)教授。2013年4月から現職。日本痛風・核酸代謝学会理事長、日本腎臓学会・前理事、第110回日本内科学会総会・講演会会頭。

(エッセイスト・酒ジャーナリスト 葉石かおり)

[日経Gooday 2017年12月5日付記事を再構成]

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