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酒は毒か薬か? 酒ジャーナリストが医師に聞いた

日経Gooday

2017/12/13

葉石さん この本にあるように、多くの専門家、医師に取材して分かったのが、1日というより1週間での総量が大事ということでした。つまり1週間のなかでやりくりすればいいということ。

1日当たり日本酒1合というのは、純アルコール量で20gですが、週に換算すれば約150gなんです。休肝日を設ければ、多く飲んでもいい日を作れる。そういうやりくりをしていけば、健康で楽しく飲み続けることができることを学びました。

浅部さん そういったやりくりはとても大切ですね。もちろん、1日で約150g飲んで残り6日は休肝日、といった極端な飲み方はダメですが。

飲酒が健康に及ぼす影響はいろいろと明らかになっているが、工夫次第でリスクは減らせそうだ(c)KatarzynaBialasiewicz-123rf

葉石さん 実は、書籍『酒好き医師が教える最高の飲み方』のもとになった連載「左党の一分」を通じて取材した医師はほとんどが自分も酒好きという方で、適量では物足りなさそうな私を見て、「それならこういう飲み方をしてみるといいよ」と教えてくださったんです。

取材を進めるうちに、会食が多い週は自宅での飲みをやめる、休肝日を増やす、朝晩は体重計に乗るというのが習慣化していきました。その結果、体重は3kg減り、体脂肪も5%減。オーバーしていた中性脂肪も基準値に収まりました。やっぱり、医師のアドバイスは間違いないと感じています。

――おお、効果てきめんですね。

葉石さん 朝の目覚めも良く、むくみもなくなり、以前よりもすこぶる体調も肌の調子もいい。運動も取り入れて、とても健康になりました。ダイエットは継続中です。

浅部さん 適量は絶対に守らなくてはいけないと思うと、お酒がおいしくなくなってしまいますよね。適量を「意識」するだけでもだいぶ飲み方が変わってきます。

葉石さん そうなんです。「たまにやらかしてしまってもいい」ぐらいの気持ちでいると、気が楽になって、休肝日も我慢できる。するとカラダの調子が良くなって、ますます健康的に飲もうという気になるんです。

浅部さん 私は、「ゼロリスクで生きる必要はない」と思っているんです。あらゆるリスクを排除して生きようとする「ゼロリスク主義者」には、飲酒は勧められないかもしれません。でも、お酒が好きなら、飲酒の健康リスクをとって、お酒を楽しみたいと思うでしょう。そんな人たちは「どの程度のリスクなら許容できるか」を考えながら飲むべきです。この本は、そのための判断材料になりますね。

■お世話になりたくない「抗酒剤」の恐怖

――酒好きな方は、一方で自分が「アルコール依存症」になったらどうしよう、という恐怖も感じているのではないかと思います。

葉石さん 私も以前は、夕方5時を回ると夕飯の支度をしながらビールをカシュと開けたり、休日は昼からスパークリングワインを飲んだりしていましたが、もうそんなことはしなくなりました。特に、アルコール依存症について取材してからは、怖くなりましたね……(「「私とお酒どっちが大事?」 酒と答える依存症の末路」)。

浅部さん 依存症は精神病の一種なので、専門外来が必要になるんです。病棟の雰囲気も独特だったでしょう。

葉石さん 特に怖かったのが「抗酒剤」の話です。遺伝子によってお酒の強さが決まるのはよく知られていますが、お酒にやたら強い人でもこの抗酒剤を飲むと強制的にお酒に弱くなり、つまり「下戸」になってしまう。だから、アルコール依存症で入院している患者さんがこっそり抜け出してコンビニでお酒を買って飲んでも、抗酒剤のおかげで顔が真っ赤になってすぐバレるんだそうです。抗酒剤のお世話だけにはなりたくないと思いました……(「お酒で赤くなる人、ならない人 がんのリスクも違う」)。

浅部さん 強制的にお酒に弱くなるということは、危険もあるんです。以前のお酒に強い自分のつもりで飲んだら、あっという間に急性アルコール中毒になります。実は、抗酒剤で死者も出ているんです。その人は、抗酒剤を飲んでいるのに「飲め飲め」と勧められてお酒を飲んで、急性アルコール中毒になったそうですが……。

葉石さん ますます怖くなりました……。

2013年の厚生労働省研究班の調査による推計。アルコール依存症者数は「ICD-10」の診断基準によるもの。ハイリスク群の多量飲酒者は、飲酒する日には純アルコール換算で60g以上飲酒している人

――アルコール依存症の人は109万人、その予備群は980万人もいると推計されています。こうした話を聞くと、酒量を減らそうという気にもなるのでは。そのコツは?

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