グルメクラブ powered by 大人のレストランガイド

食の達人コラム

ブレンドこそ、スコッチの粋 グレーンウイスキー誕生 世界5大ウイスキーの一角・ジャパニーズ(10)

2017/12/8

PIXTA

 スコッチウイスキーは、ワインの影響受け、従来のアイリッシュウイスキーとは別次元の香味世界を実現した。何よりスコッチの味わいが認められ、受け入れられるようになるきっかけは、ワイン商たちが身につけてきた技術が生み出したブレンデッドウイスキーの誕生であった。

 エディンバラのワイン商、アンドリュー・アッシャーが1860年に売り出したと言われている、このブレンデッドウイスキーこそ、スコッチウイスキー最大の革新と言っていい。

 評価が高まる国産ウイスキーへと至るウイスキーの歴史と魅力をひもとく本連載、今回はブレンデッドウイスキーの発展に必須であったグレーンウイスキーの誕生を紹介する。

スコッチの存在感はブレンデッドウイスキーによるところが大きい=PIXTA

 グレーンウイスキーができたのは、蒸溜釜での単式蒸溜の限界を超えるための工夫からだった。蒸溜する度に液を入れたり、残液を抜いたりしなければならない不便さをどう克服するか? それにこたえたのが細かい穴の開いた棚を縦型の塔内に積み上げる構造だった。

 下から蒸気を、上から発酵もろみを流す。棚ごとに、下から上がってきた蒸気が棚の上のもろみからアルコール分を抽出し、アルコール分が多い蒸気となってその上の棚へと塔内を上昇する。その蒸気を塔のてっぺんから抜き出して冷やしてやれば、不純物が減った濃いアルコールが取得でき、塔の底にはアルコール分が抽出された残液がたまる。この蒸気を冷やした濃いアルコールが、グレーンウイスキーになる。

 上から発酵もろみを入れ、底から残液を、そして上から蒸気を抜く。これを連続的にやる。それが連続式蒸溜機の原理である。

 1826年にこれを発明したのは、ロバート・スタイン。スコッチウイスキーの名門、スタイン家の一員であった。1830年に開発されたイーニアス・カフェの連続式蒸溜機の方が良く知られているが、最初にそのメカニズムを考え付いたのは、数々の技術革新を行ってきたロバート・スタインである。スコットランドで重工業の産業革命が始まる時期と一致するところが興味深い。

ニッカウヰスキー宮城峡蒸溜所 日本国内でも連続式蒸溜機のしくみを知ることができる=PIXTA

 スタイン家は、16世紀の宗教改革をきっかけに閉鎖された修道院から蒸溜技術を受け継ぎ、1720年代に最初の商業蒸溜所をケネットパンズに建設する。1733年には早くも、スコットランド最大規模の蒸溜所にまで成長した。

 スタイン家は、当時全盛を誇っていたアイルランドのウイスキー市場にも目を向け、1780年にボウ・ストリート蒸溜所、そしてマローボーン・レーン蒸溜所の2カ所の巨大蒸溜所を買収し、一挙に大手の一角を占める。

 ボウ・ストリートは今も博物館としてダブリンに残っている、ウイスキーファン必見の場所である。

グルメクラブ新着記事

ALL CHANNEL