生徒は中学1年の入学時にはまず仲間づくりのため8人部屋に入るが、中2以降は個室があてがわれる。福岡県出身の愛光OBは、「個室は3畳ぐらいでしたね。閉鎖的な空間でしたが、仲間と人には言えない悪さもして、楽しんだ」という。「寮の仲間は一生の友になる」という中村校長。多感な中高生を対象にした寮の運営は難しく、有名進学校で大規模な寮を持つのは全国的にも愛光とラ・サールぐらいという。

愛光の寮に息子を入れていた首都圏在住の保護者は、「学費と寮費などで月10万円強はかかりますかね。地元の私立校を選んでも塾には行かないといけないが、愛光の場合、塾は不要。志望校に現役合格したし、友人もたくさんできたので、結果的にいい選択だった」という。

東大より医学部 73人合格

中2以上になる全員が個室になる=愛光中・高提供

愛光の1学年の生徒は中学200人、高校は250人。17年の合格実績は東大が23人、京都大学9人、国公立大学医学部医学科は61人。ほかに防衛医大が12人で計73人。特筆すべきは国内最難関の東大理科3類に3人が合格したことだ。わずか定員100人という狭き門の理3に複数の合格者を出すのは至難の業。しかも、理3合格者のうち63人は進学塾「鉄緑会」の出身者だ。鉄緑会は東京と関西にしか校舎がなく、地方圏からは通えない。愛光は塾の力に頼らず、難関学部の合格者を輩出しているわけだ。

中村校長は「確かに松山にはそんなにすごい進学塾はありません。教員と生徒の努力の結果だと思います。国公立大医学部の現役合格率は全国3位。ただ、東大合格者は40~50人いた時期もあったのですが、今は生徒の約4割が医学部志望で、『東大より医学部』という傾向が顕著になっています」と話す。

全国的に医学部人気が高まっているが、愛光は特に強い。なぜなのか。「医者の子弟が多いからですが、寮も関係していると思います。将来は医者になるという強い意志を持って入学した生徒が1人いると、寮のような濃密な空間では、『じゃ、僕も』となりやすい。どんどん伝播(でんぱ)してゆくのです」と中村校長。一方で「東大の現役合格者20人という目標は達成できていない。ここが課題です」という。

中1全員にタブレット

授業では今後ICTなども活用していく=愛光中・高提供

進学実績アップのため、寮での学生チューターの採用のほか、授業でのICT(情報通信技術)活用もスタートしている。和田誠教育企画室長は、「まず中1の生徒全員にタブレットを持たせ、双方向授業も始めました。2020年度の大学入試改革もにらみ、英語のオンラインスピーキングをやるとか、表現力を問う問題を一斉に出し、全員の回答を瞬時に集めて、分析するとか、全員で共有するとか。うちの場合、寮生も多いのですが、長期休暇になると帰省するので、宿題なんかもネットでやり取りするようになれば、便利になります」という。

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