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食の豆知識

ブリのしゃぶしゃぶ 脂のった師走の味をサッパリと

2017/12/6

PIXTA

 魚へんに「師」と書いて「ブリ」と読む。師走、すなわち12月においしくなる魚だからということらしい。3月から5月の産卵期に備えてカラダに脂肪をたくわえるこの時期がブリの旬である。

 ブリは大きさによって名前が変わる「出世魚」としても知られている。関東では「ワカシ」「イナダ」「ワラサ」「ブリ」、関西では「ツバス」「ハマチ」「メジロ」「ブリ」。北陸では「ツバイソ」「フクラギ」「ガンド」「ブリ」など、地方によって呼び方も変わる。どの地方でも80センチを超えるものは「ブリ」と呼ばれている。

イナダの刺し身 ブリに比べると脂が少なく、あっさりしている=PIXTA

「出世」=「縁起がいい」ということから「年取り魚」に用いられる。年取り魚とはおおみそか、年越しのお膳につける魚のこと。まさに師走を代表する魚だ。

 年越しにブリを食べるのは西日本。本州中央部をほぼ南北に走る大断層「糸魚川静岡構造線」を境に、西が「ブリ文化圏」、東が「サケ文化圏」に分かれる。

 いまのように物流や冷凍技術が発達する前は、塩を多めに振って熟成させた「塩ブリ」や「塩ザケ」を食べていた。いまは減塩ブームから塩蔵魚を食べる家庭は減ったが、年越しに生のブリやサケを刺し身で、あるいは調理して食べたり、お正月の雑煮に入れたりする習慣は残っている。

正月の雑煮にブリを入れる地域も=PIXTA

 そんな日本の伝統的な魚食文化を支えてきたブリ、ここ数年で「出世」ならぬ大きな「進化」を遂げているのをご存じだろうか。

 昨年か一昨年の冬だったか、スーパーマーケットの鮮魚コーナーで「カボスの香りがするブリ」なるものを発見したことがあった。見ためはいかにも新鮮な刺し身用のブリ。かんきつ系果汁でマリネしてあるわけでもなさそうだ。パッケージをよく読むと、えさにカボスの果皮を混ぜた養殖のブリで、身からカボスの香りがするとのこと。

 興味半分で購入し、刺し身で食べてみた。味覚を集中させるとほのかにカボスの香りがするような気がする(が、いわれなければ気がつかないかも?)。でも、普通の養殖ブリよりもサッパリしていて、臭みも少なくおいしかったのを覚えている。

たしかにブリとカボスは相性のいい組み合わせだが……=PIXTA

 その後も回転ずし屋で、はたまたインターネットのお取り寄せサイトで、変わった「ブランドブリ」をよく目にするようになった。香川県の「オリーブぶり」、和歌山県の「レモンぶり」、鹿児島県の「柚子鰤王(ゆずぶりおう)」、愛媛県の「みかんブリ」、徳島県の「すだちぶり」など。

「ザ・日本の正月」のイメージのブリが、オリーブにレモンだなんてまるで地中海みたい! 「大間まぐろ」「関あじ」といった水揚げされた場所で差別化したブランド魚の「ザ・漁師!」「男の世界!」とはちょっと違うさわやかだ。

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