回転ずしのチェーン店でもフルーツ育ちのブリが使われている=PIXTA

これらのブリもフルーツの果汁や果皮、葉の粉末などが入ったえさで育てられたもの。「フルーツ育ち」の養殖ブリだ。国内の生産量のうち半分以上を養殖が占めるブリならではのユニークなブランド化なのである。

フルーツ育ちのブリは、魚嫌いな人がいうところの「生臭さ」がなくなり、脂の量は同じでもサッパリとした食感になるのが特徴。

ブリのほかにもカンパチやヒラメなど「フルーツ育ち」の養殖魚は存在する。これらを総称して「フルーツ魚」と呼ぶ。

フルーツ魚の火付け役は高知大学が開発し、鹿児島県長島町にある東町漁協で生産・販売する「柚子鰤王」といわれている。もともとは抗酸化作用の高いユズに魚肉の変色を抑える効果があるかの実験で、ユズ果汁を添加した飼料をブリに与えていた。その実験後の試食の際、ブリの身からユズの香りがすることを発見したという。

フルーツ育ちのブリは、イタリア料理のカルパッチョに合う=PIXTA

柚子鰤王はユズの香りがすることにこだわり、ブリの身からユズの香りがする冬期のみの販売。養殖魚というと1年じゅう味も価格も安定して食べられるのがメリットなのだが、まさかの季節限定。そこがまた希少性を高めていて「食べてみたい!」と思わせる。

かつて養殖魚は天然魚の「代替品」という位置づけで、ゆえにこれまで養殖業者は養殖魚を天然の魚に近づけようと努力してきた。だが、エサを管理できるという強みを活かし、新たな付加価値をつければ、天然魚とはまったく別の土俵で勝負できるようになるのだなぁと感じた。

ブリ料理の定番といえばブリ大根=PIXTA

脂ののったブリをサッパリ食べたいという嗜好は料理の新たなトレンドも生み出した。ブリ料理の定番といえばブリのアラを炊いた「ブリ大根」や「ブリの照り焼き」など、こっくりとした味つけのものだったが、最近アッという間に定着したのが「ブリしゃぶ」である。

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