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無意識の偏見=アンコンシャスバイアス 女性活躍阻む 企業に対策研修「自覚、慎重な判断生む」

2017/11/28 日本経済新聞 朝刊

■休みを取るのはワーママ?

 東京海上日動火災と東京海上ホールディングスは11月中旬にアンコンシャス・バイアス研修を初めて開いた。女性や外国人を含む社員5人が登壇し、上司や自分の先入観により、嫌な思いをしたりハッとさせられたりした実体験を披露した。

 東京海上日動火災は13年度に経済産業省「ダイバーシティ経営企業100選」に選ばれるなど女性活躍に積極的。課長以上の女性管理職は07年の43人から17年の218人へと10年で5倍になった。「優秀な女性は多い。アンコンシャス・バイアスを理解すれば、もっと女性管理職は増やせる」(ダイバーシティ推進チームリーダーの小瀬村幸子さん)

マニュライフ生命が研修で使う資料。いくつかの設問に最も合致する人物を4人の写真から1人選ぶ

 マニュライフ生命も17年度からアンコンシャス・バイアス研修を開いている。年度内に全社員が受講する。研修では自らの先入観や思い込みに気付くことに時間を割く。

 「誰が最も頻繁に休暇を取りそうか」。ワーキングマザーや初老男性ら4人の写真を見せ、その中から研修参加者は1人を選ぶ。多くはワーキングマザーを選ぶ。子どもが急に熱を出したり、学校の行事に参加したりするだろうと想像するからだ。

 その人を選んだ理由を参加者同士で話していると、自分の選択に社会通念や過去の体験が影響していると気付く。執行役員の前田広子さんは「自覚が対策の第一歩。自分にもアンコンシャス・バイアスがあると分かれば、その後は慎重に判断するようになる」と指摘する。

 ◇   ◇   ◇

■心の奥底に先入観発見 ~取材を終えて~

 アンコンシャス・バイアスの研修を初めて見学したのは2年前だ。自分にも先入観があるのかと1年くらい考えて、あるときひらめいた。初対面の相手をオフィスに訪問するときの場面だ。その人の顔も座席場所も分からず、誰かに尋ねる必要があった。私は迷わず女性に声を掛けた。しかも、すぐ目の前に男性がいたのに、彼をわざわざ避けた。過去の似たような場面を思い出してみると、ほぼ女性に尋ねていた。

 そもそも受付業務は女性が担当しているケースが圧倒的に多い。そんな経験が頭に染み込んでいるうえ、「女性はやさしく接してくれる」「男性は重要な仕事をしている」といった先入観が影響していたのだろうと思い至った。女性差別の事例を長年取材してきながら、無意識の偏見を心の奥底に見つけ、自らの過信を恥じた。

(編集委員 石塚由紀夫)

[日本経済新聞朝刊2017年11月27日付]

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