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認知症リスク高める9因子 英医学誌が改善可能と指摘

日経Gooday

2017/12/4

年齢にはあらがえないものの、認知症の危険因子には改善可能なものも多い(C)Alexander Raths-123rf
日経Gooday(グッデイ) カラダにいいこと、毎日プラス

 認知症の発症リスクを高める様々な危険因子のうち、本人が意図すれば改善可能な9つの危険因子を、英国の医学雑誌「Lancet」の認知症予防・介入・ケアに関する国際委員会がまとめ、同誌に発表しました。

■中年期に聴力低下がある人は認知症リスクが2倍

 2015年の全世界の認知症患者は4700万人で、2050年までにその数は約3倍に増えると予想されています。現時点では、認知症を治癒に導くことができる治療法はありません。認知症を発症するリスクは年齢が上昇するにつれて高まりますが、ライフスタイルを改善すれば、リスク低減は可能であることが、近年分かってきました。

 そこで、「Lancet」の認知症予防・介入・ケアに関する国際委員会は、認知症の危険因子に関するデータを収集し、それらの中から、「本人が意図すれば改善できる認知症の危険因子」を9つ抽出しました。さらに、それらを適切に修正すれば、社会全体として、どの程度認知症患者を減らせるのかを推定しました。

 同委員会が認知症のリスク低減において重要と見なしたのは、「11~12歳までに教育が終了」「高血圧」「肥満」「聴力低下」「喫煙」「抑うつ」「運動不足」「社会的孤立」「糖尿病」の9つの危険因子です。人生のどの時期に修正する必要があるのかに基づいて、小児期、中年期、高年期に分けて、相対リスクと人口寄与割合(その危険因子を持つ人がいなくなったら、認知症患者が何%減少するかを表す数字)とともに提示しました(表)。

(出典:Livingston G, et al. Lancet. 2017 Jul 19.

 それぞれの危険因子の「人口寄与割合」を合計すると、9つの危険因子の全てを排除できた場合、認知症患者は最大で35%減らせる可能性があります。人口寄与割合の大きさに基づいて特に改善に力を入れるべきなのは、全ての人が11~12歳以上になっても教育を受けられるようにすること、中年期の聴力低下を全て治療すること、高齢者全員が禁煙すること、の3つと考えられました。

 論文は、2017年7月19日付のLancet誌電子版に掲載されています[注1]

[注1] Livingston G, et al. Lancet. 2017 Jul 19. pii: S0140-6736(17)31363-6. doi: 10.1016/S0140-6736(17)31363-6.

大西淳子
 医学ジャーナリスト。筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

[日経Gooday 2017年11月15日付記事を再構成]

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