オフィスに置きたいマイ加湿器10選 職場ならの工夫
静かで、小型で、衛生的。デザインも――。
職場のデスクに向く機種をランキングした。
快適な環境つくり 忙しい季節乗り切る
乾燥は健康や美容の敵。職場に潤いをもたらす加湿器はありがたい。美容皮膚科の森文子さんは「保湿剤を使い過ぎず、加湿器を上手に使って」と呼び掛ける。
オフィスで使う場合、周囲への配慮が欠かせない。音が大きい機種は避けよう。内田洋行の中村香代子さんは「パソコンなどの故障につながらないよう、蒸気の量や向きが調節できる機種がいい」と話す。
水は衛生状態が悪いと雑菌の温床になる。超音波の振動で水を霧状にする「超音波式」は、水を加熱して蒸気を出す「スチーム式」に比べカビや菌が繁殖しやすいとされるが「水道水を加水せず毎日交換するなど、清潔に使えば問題ない」(呼吸器内科の大谷義夫さん)。
今回はオフィス向けに限定して評価した。加湿器で快適な環境をつくって、忙しい季節を乗り切りたい。
2つの吹き出し口 1.3リットルの大容量
蒸気を噴き出すノズル部分が360度回転し、吹き出し口も2方向に設定できる。「運転は静かで、蒸気のパワーや向きの調整もスムーズ。サイズが少し大きいが、それ以上に機能面のバランスが良い」(中村香代子さん)。個人のデスク用となるとやや大きめだが、数人でシェアするという使い方もある。
給水タンクの容量は約1.3リットル。最大運転で約6時間の連続運転が可能だ。「ダイヤル式の直感的な操作で蒸気のパワーが調節できる。タンクが大きく勤務時間中の給水が1回で済みそうなのも便利」(戸井田園子さん)。タンク部分が7色に光るカラーライト機能で「気分も上がる」(伊藤道代さん)。
必要な機能に絞り込み、低価格を実現した「ジェネリック家電」で有名な山善。「こぼれやすいのは玉にきずだが、静音性は◎。ツインノズルもジェネリックらしいアイデア」(東春樹さん)
(1)16×16.5×24.5センチ(2)超音波式(3)AC(4)青、白、ピンク(5)2980円(6)電話03・5579・6261
置き場選ばぬコンパクトさ
コンパクトでデスクに置いても邪魔にならないスタイリッシュなデザイン。「ボタンを押してすぐ加湿が始まる機動性が良い。背が低いので安定感もある」(藤村岳さん)。2時間で自動オフタイマーが作動し、空だき対策にもなる。「蒸気のパワーは弱めだが、あまり強くても化粧崩れにつながるのでデスク用には十分」(伊藤さん)
構造がシンプルなうえ、説明書記載の手入れの手順も図解付きで親切。超音波用の振動板などの交換パーツも付いている。倒れても水がこぼれにくいようパッキンを備えている。ただ「水の残量が一目で分かりにくい」(市川伸幸さん)との指摘があった。
(1)8×8×7.7センチ(2)超音波式(3)USB(4)白(5)2916円(6)電話0120・937・289
半永久的に99.9%抗菌
超音波式の課題とされるタンク内のカビや菌の繁殖を抑えることにこだわった。「銀系の抗菌剤を練り込むことで、半永久的にタンク内の99.9%抗菌を可能にした」(エレコム)という。国際規格の試験方法に基づいた「抗菌製品技術協議会」(SIAA)認証も取得しており「衛生面ではピカイチの安心感」(神原サリーさん)
手入れしやすいようタンクの内カバーを外せる。「素材に加え、メンテナンスしやすい構造も衛生的」(市川さん)。最大約7時間の連続使用が可能。水を入れたタンクに直接アロマオイルを垂らせばアロマディフューザーにもなる。
(1)直径11.2×高さ10.3センチ(2)超音波式(3)USB(4)青、白、ピンク(5)5530円(6)電話0570・084・465
除菌消臭器に 車でも使える
充電式のリチウムポリマーバッテリーを搭載。コンパクトなボディーと付属の専用ケースで持ち運びも便利。「水を大量にためない構造なので、カビや菌も繁殖しにくそう」(大谷義夫さん)。付属の除菌・消臭剤を使えば「除菌消臭器」にもなる。カーソケットも標準装備。「価格が高いのがネックだが、見合った機能とデザイン。間欠運転ができるのも良い。車でも使えるので移動の多い営業職の人にもおすすめ」(戸井田さん)
継ぎ目のないアルミ製ボディー。「置いておきたくなるデザイン性の高さが素晴らしい」(藤村さん)。「転倒してもキャップがあるので安心。ボタンの操作性はいまひとつ」(森文子さん)
(1)直径6.5×高さ21.1センチ(2)超音波式(3)USB(4)ゴールド、シルバー、黒(5)1万9980円(6)電話0120・707・212
150グラムの超軽量で8時間運転
150グラムの超軽量だが、最大8時間の連続運転が可能。「職場のデスクの1人用として良い」(森さん)、「安くて手軽。手入れもしやすくパワーもそれなり」(東さん)など手ごろさが評価された。「コンパクトなだけに近くに物を置いてしまいそう。蒸気のあて方には注意」(中村さん)
水を入れたボトル型のボディーにスティック型の加湿器を差し込むタイプで、コップなどに差して使うことも可能。「スティック部分を手に持って、顔に近づけることもできる。デスクワーク中に集中保湿ができるのはうれしい」(戸井田さん)との声もあった。
「プラスチック素材で軽くて扱いやすい。USBコードはオフィスで便利で、コストパフォーマンスは高い」(伊藤さん)。
(1)直径7.4×高さ17センチ(2)超音波式(3)USB(4)白、ピンク(5)1609円(6)電話0570・064・210
サイズ感や量の調整 高い実用性
「デスクに置いたとき、ちょうど良い位置にミストが来る」(神原さん)、「サイズ感や加湿量の調整など総合的に実用性が高い」(戸井田さん)と機能性が評価された。タンクが半透明で水の残量が分かりやすい。「コンパクトで静か、四角いデザインも机の上に収まりやすく、デスク向け」(中村さん)
タンクを外してペットボトル加湿器としても使える2WAYタイプだが「タンクの方が見た目もサイズも良い」との意見が目立った。「吹き出し口周辺の水滴が気になる。書類の近くには置きにくいのでは」との指摘も。
(1)11.6×8.8×20センチ(2)超音波式(3)AC(4)白、ナチュラルブラウン、ダークウッド(5)4298円(6)電話0570・00・5456
好みのグラスをタンク代わりに
ボトル型のボディーにスティック型の加湿器を差し込む。「ボトルの代わりに好みのグラスなどに入れて楽しめる」(戸井田さん)。「超音波式はシンプルさが重要。立ち上がりの早さは高評価」(東さん)。オン時は加湿器のライトが青、オフ時はライトが赤に点灯。運転状況を視覚で確認しやすい。
117グラムの軽量で持ち運びも楽。「小さくて手入れがしやすい」(森さん)。加湿器部分のスポンジに水分を吸収する仕組みなので、スティック部分だけを手に持って、顔などに近づける使い方もできる。
(1)(ボトル)直径7×高さ13.5センチ(スティック)直径5.5×高さ17センチ(2)超音波式(3)USB(4)白、ピンク(5)1800円(6)電話03・5117・8003(ブロードライン)
タンクに直接アロマオイル
フォルムの安定感は随一。底面に滑り止めもついている。「ウッディなデザインでインテリア性が高く、手入れもしやすい」(神原さん)、「見た目も機能も高水準。オフィスに置いても害にならない『空気が読める』加湿器」(東さん)と評価を集めた。
ボタン1つで運転時間は「60分→120分→180分→長時間」の4段階、蒸気は「強・弱・間欠」の3段階に切り替えできる。水不足の時に自動停止する機能もある。タンクに水を入れる計量カップも付属。アロマオイルを直接タンクに入れられる。
(1)直径16.8×高さ9.7センチ(2)超音波式(3)AC(4)木目調(5)2580円(6)futuroservice@163.com
個性的なデザイン ブラシ付き
理科の実験道具のような個性的なデザイン。6段階で加湿量が調節できるダイヤル式スイッチ。蒸気の吹き出し口の上に、アロマオイル用のケースがセットできる。「ミストの方向がちょうど良く、手入れ用のブラシが付くのもありがたい」(神原さん)
「タンクキャップに抗菌カートリッジが付く点はいい。オフィスだと少し大きいかも」(市川さん)。レインボーカラーに光るLEDライトがあり水がなくなると赤く光る。ペットボトルにも対応。ピンクや青のパステルシリーズも。
(1)11×13.5×21センチ(2)超音波式(3)AC(4)黒、白(5)4800円(6)電話0570・07・5555
スチーム式 肌や喉の潤いに特化
超音波式以外で唯一のランクイン。蒸気に空気を混ぜた「低温スチーム」を常温風で抑えながら届ける。「加湿具合が良く、肌の乾燥対策に」(藤村さん)、「肌や喉の潤いに特化している。蒸気がちょうど顔に当たり心地よい。体調が悪くて仕事をしている時にも良いのでは」(森さん)。スチームの出ない送風モードもある。
性能面の評価は高かったが、オフィス用としてはサイズが減点材料。「顔に当てる工夫と気配りが秀逸だが、家庭向け」(東さん)との声も。乾燥している時はサボテンマークの「保湿ナビ」が教えてくれる。
(1)27.7×15×32.8センチ(2)スチーム式(3)AC(4)白(5)2万7500円(6)電話0570・077・365
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ランキングの見方 数字は選者の評価を点数化。製品名、販売・製造元。(1)幅×奥行き×高さ(2)加湿方式(3)電源(4)色(5)税込み価格(各社の直販サイトまたは大手通販サイトの価格、11月上旬時点)(6)問い合わせ先。モデルはスウィージー美紀、写真は瀬口蔵弘撮影。
調査の方法 家電に詳しい専門家の協力で「オフィスで使える卓上型加湿器」23商品をリストアップ。商品を集めて家電や美容、医療などの専門家が実際に使ってみて、「機能」「衛生面」「手入れのしやすさ」「オフィスでの使い勝手」などの観点で1~10位まで順位付けしてもらい、集計した。選者は以下の通り(敬称略、五十音順)。
▽市川伸幸(ロフト)▽伊藤道代(ポーラ)▽大谷義夫(池袋大谷クリニック)▽大林貞之(東急ハンズ)▽神原サリー(ライフスタイルプロデューサー)▽戸井田園子(家電コーディネーター)▽中村香代子(内田洋行)▽東春樹(家電批評デスク)▽藤村岳(男性美容研究家)▽森文子(クリニックモリ)
[NIKKEIプラス1 2017年11月11日付]
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