オリラジ中田「才能はコンプレックスの裏側にある」
TREND EXPO TOKYO 2017 講演レポート
芸人、ミュージシャン、コメンテーターとジャンルレスに活躍するオリエンタルラジオの中田敦彦氏。ひとつの枠に捉われることなく、自身の才能を最大限に活用する中田氏が「天才の証明~才能を開花させる『戦略』と『選択』~」と題して、11月3日にベルサール東京日本橋で開催された「TREND EXPO TOKYO 2017」(主催・日経BP社)で講演を行った。「自分には何ができるのか」「何が向いているのか」「どうやって見つけたのか」という中田氏の思いが語られた。

「『コンプレックスに悩む人のための才能の見つけ方』というのがテーマですが、私はオリエンタルラジオとして活動してきて今年で13年。その日々は決して順風満帆でなく、コンプレックスや劣等感まみれでした」と、これまでの日々を語り出した。
「オリエンタルラジオは2005年、今でいうところのリズムネタ・武勇伝で一気に人気を得ることができました。本格的に芸人活動を開始して、1年足らずのことです。一方で先輩芸人たちから『武勇伝は宴会芸に過ぎない』というような、厳しい言葉を浴びせられもしました」
このことをきっかけに、自分というものを見失ったという中田氏。先輩達の言葉に従ってお笑いの王道・漫才に取り組むことにしたのだ。
「しかしダメでした。向いていませんでした。10年ほど続けて、テレビでも披露しましたが、ほとんどの人に『漫才もやっているの?』と言われる始末でした」
そんなか、中田氏は新たな道に進むきっかけをインターネットで見つけることになったという。
「YouTubeで『オリラジ』と検索したら、ネタを披露する動画でなく、バラエティ番組で歌ったり踊ったりしている動画が、トップに来ていたんです。僕らはネタを披露する芸人としてより、ふざけたことをしている姿のほうが人々に楽しまれていることに気づきました」
さらに後輩芸人の大ブレイクが中田氏に大きな影響を与える。
「2015年に8.6秒バズーカーが発表したリズムネタ『ラッスンゴレライ』です。藤森くんと必死に練習してイベントで披露したら、ネット上で大騒ぎになりました。その時、『これでいいんだ』と確信しました」
その後、中田氏は自由な発想で6人組の音楽ユニット『RADIO FISH』を結成。6曲目の『PERFECT HUMAN』を大ヒットさせた。中田氏は自身の活動を振り返り、こう語った。
「人は自分の良さを自分では気づけないようにできているのではないか、と思っています。自分には当然のことでも、他人からは優れて見える。それこそが『才能』なのだと実感しました。才能はコンプレックスの裏側にあります」
ここで中田氏は「優れるな、異なれ」という「中田の御言葉」を発表し、受講者から大きな拍手が起こった。
軌道修正する生き方を初志貫徹
講演後は受講者からの質疑応答が行われた。
「やりたいことを実現させるため、どう困難を乗り越えたのか?」との問いには、ゲーム『ドラゴンクエスト』を例に、勇者、戦士、魔法使い、僧侶といった登場人物で、なぜ一番戦闘能力の低い勇者が主人公なのかを説明した。
「勇者は自分が悪を倒すと表明した。『これをやりたい』と指示を出せる人だけが勇者、すなわち主人公になれる」と語り、「周りからの圧力にも少しずつでも結果を出すしかありません。『RADIO FISH』も最初は批判ばかりでしたが、『PERFECT HUMAN』で紅白歌合戦に出たら、一気に認められました。人は権威に弱いんです」と中田氏は笑った。
「何かを始めたものの、うまくいかなかったときの対処法は?」との質問には、「迷わず軌道修正すればいいんです。初志貫徹は確かに素晴らしい。でも、それは真逆です。『君子豹変す』。頭の良い人ほど、軌道修正が早い。私もよく『また言っていることが変わっている』と言われますが、軌道修正する生き方を初志貫徹して、今後も迷うことなく変わっていきたい」と語り、講演を締めくくった。

(ライター 田中あおい)
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