スマートスピーカー 海外で続々、サービスはまだまだ

日経トレンディネット

国内でもグーグルの「Google Home」やLINEの「Clova WAVE」が発売されたスマートスピーカー。海外にはどんなメーカーが手掛けているのか
国内でもグーグルの「Google Home」やLINEの「Clova WAVE」が発売されたスマートスピーカー。海外にはどんなメーカーが手掛けているのか
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グーグルの「Google Home」、LINEの「Clova WAVE」など、日本でもスマートスピーカーの販売が本格的に始まった。年内にはアマゾンも「Amazon Echo」を発売予定。アップルの「HomePod」の国内発売は未定だが、欧米の一部の国では12月に発売する。海外ではどんなメーカーがどんなスピーカーを開発しているのか。

グーグルやアマゾン以外からも登場

スマートスピーカーの特徴は、いずれも自然な会話調でスピーカーに話しかけるだけで操作できることだ。グーグルであれば、もうおなじみの「Ok, Google」、アマゾンは「Alexa」というコマンド(「Wake Word」と呼ばれる)で声をかければ、スタンバイ状態のスピーカーが起動。「Spotifyでマイケル・ジャクソンを再生して」とか、「部屋の電気をつけて」とかいう具合に話しかけると、スマートスピーカーを経由してスマート家電やIoT機器をコントロールできる。

スマートスピーカーは、グーグルやアマゾンなど自社で音声アシスタントを開発する国だけでなく、サードパーティーからも発売される。音響メーカーや家電メーカーなどが、各社の音声アシスタントを搭載した製品を開発しているのだ。実際、2017年9月にドイツの首都・ベルリンで開催された世界最大級のエレクトロニクスショー「IFA 2017」では、多数のスマートスピーカーが出展されていた。

日本で発表・発売されている製品は少ないためピンとこないかもしれないが、ズラリと並ぶスマートスピーカーを見ると、この分野の勢いが感じられた。今回は、世界ではどんなメーカーがどんなスピーカーを開発しているのか、それらでどんなことができるのかを紹介してみたい。

国内メーカーはソニー、パナソニック、オンキヨーが

日本のメーカーからはソニーとパナソニック、オンキヨーがIFAに参戦していた。各社ともにオーディオ・ビジュアルのブランドとして長年培ってきた高音質化技術が他社のスピーカーとひと味違うことをアピールしていた。

ソニーの「LF-S50G」、パナソニックの「SC-GA10」はGoogle Assistantを採用。

ソニーがIFAで発表したGoogle Assistant搭載のスマートスピーカー「LF-S50G」
パナソニックもGoogle Assistant搭載のスマートスピーカー「SC-GA10」をIFAで発表

オンキヨーはGoogle Assistantの「G3」とアマゾンのAlexaの「P3」の両輪展開だ。IFAには出展していなかったものの、東芝映像ソリューションも先日Alexa対応の「TH-GW10」を発表している。

オンキヨーのGoogle Assistant対応スマートスピーカー「G3」
同じくオンキヨーのAmazon Alexa対応スマートスピーカー「P3」

海外のメーカーでは、JBLがGoogle Assistantを搭載するスマートスピーカー「LINK」シリーズの3モデルを発表済み。「LINK 300」は据え置きタイプ、充電式バッテリーで駆動する防水仕様の「LINK 20」と「LINK 10」はアウトドアでも使い倒せるユニークなポータブルスマートスピーカーだ。有名ブランドのパソコンやタブレットとのコラボも多く手がけるharman/kardonは、Windows 10の音声アシスタント「Cortana」を搭載する「Invoke」を発表。年末に北米での商品化を予定している。

JBLはGoogle Assistant搭載のスマートスピーカーを一気に3モデル発表している
Windows 10のボイスアシスタント「Cortana」を搭載するharman/kardonの「Invoke」

変わり種はレノボのAndroidタブレット「tab4」とつないで使うDockスピーカータイプの「tab4 Home Assistant Pack」だろう。音声アシスタントはアマゾンのAlexaで、声で検索した結果がタブレットの画面に表示されるのでより視覚的な操作ができる。ちなみにタブレット本体にはGoogle Assitantも乗っている。

レノボはユニークなタブレット用ドック型のスマートスピーカーをIFAで発表。アマゾンのAlexaを搭載している

スマートスピーカーで動かせる家電は?

このように各社からスマートスピーカーが次々と発売されているが、連携して動くスマート家電やサービスにはどんなものがあるのか。正直なところ、スマートスピーカーがすでに発売されている欧米でも、開発はこれからといったところだ。

例えば、アマゾンのAlexaの場合、「Skills」と呼ばれる、スマートフォン(スマホ)で言うところのアプリのようなソフトウエアをインストールすることで、スピーカーにいろいろな機能を追加できる。Skillsの開発キットは既に公開されているので、いま大小様々なサービスがアイデアをひねり出してユニークな製品やサービスの開発を進めている段階なのだ。

IFAでボッシュが展示していたエスプレッソマシン。スマホアプリとAlexaの両方で動かせる

一例が、ドイツを代表するエレクトロニクスブランドであるボッシュだ。欧州で発売しているプレミアムクラスのスマート家電、オーブンに食洗機、エスプレッソマシンなどにAlexaと連携する機能を搭載しはじめた。現時点での使い方は「Alexa、オーブンに200度で火を入れて」といったシンプルなものだが、次第にできることのバリエーションが広がることだろう。

従来のアプリと重複するケースも

一方で、メーカーが独自に作り込んでいたアプリや音声認識によるサービスが、後から出てきたAlexaのサービスと競合したり重複したりして、どっちを使えばいいのか分からなくなりそうなケースもあった。

韓国で発売されている、Windows 10を搭載するスマート冷蔵庫「InstaView Door-in-Door」。マイクロソフトの音声アシスタント「Cortana」と独自の音声アシスタント「LG Voice」の両方で動かせる

象徴的なのが、LGエレクトロニクスの製品だ。同社では数年前から、スマートホームの独自プラットホーム「SmartThinQ」をアピールしてきた。音声アシスタントを備え、音声操作にも対応するスマートスピーカーやクラウドサービスを自前で作り込んで、自社のスマート家電によるエコシステムを充実させてきたのだが、Alexaが登場したことで「LGのスマートスピーカーが、Alexaのスマートスピーカーで動かせる」という状況になっている。ほかにも、タッチ液晶を搭載するWindows 10搭載のスマート冷蔵庫「InstaView」シリーズは、マイクロソフトの音声アシスタント「Cortana」と独自の音声アシスタント「LG Voice」の両方で動かせる。

これはLGの製品に限った出来事ではない。例えば、先述のボッシュも、Alexa登場以前から、アプリとクラウドを連携させたサービスモデルを自前で作っていた。そこにAlexaによるコントロールが割り込んできたために、両方のインターフェースでスマート家電が動かせるようになっている。

既にアマゾンとマイクロソフトがAlexaとCortanaを相互接続する計画を発表しているように、音声アシスタント同士の連携もあり得るだろう。メーカーにとっては各社の音声アシスタントに対応する製品やサービスを増やしながら、同時にユーザーがシンプルに使えるインターフェースを練り上げることが必要になりそうだ。

(文 山本敦)

[日経トレンディネット 2017年10月12日付の記事を再構成]

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