アニキ漫才のペンギンズ 「コワかわいい」が魅力
オールバックにスーツ姿のアニキ(吉間洋平)とアロハシャツを着た舎弟のノブオ(ナオ)が繰り広げる通称"アニキ漫才"でペンギンズが注目を集めている。コワモテながら天然ボケで実は心優しいアニキと、そんなアニキを崇拝しすぎるノブオのちぐはぐで「コワかわいい」掛け合いが魅力だ。
ペンギンズは「にちようチャップリン」(テレビ東京系)のようなネタ番組をはじめ、「バクモン学園」や「陸海空 地球征服するなんて」(共にテレビ朝日系)など、ひな壇から体当たりロケまで様々なジャンルで活躍を見せている。
アニキ漫才における上下関係と同様、2人には実際に8つの年齢差がある。それぞれ組んでいたコンビを解散し、2015年にペンギンズを結成。前コンビを解散した時、吉間はすでに37歳だった。「年齢を考え、引退しようかどうかでものすごく揺れました。もう1回やってみようと決めたタイミングで、相方(ナオ)のコンビが解散した話を聞いて、『一緒にやろうか?』と声をかけた」と結成の縁を語る。
ナオはナオで、「事務所に解散の話し合いに行く日の朝にアニキから『最近どうしてる?』って電話きて」。吉間のアニキとはリアル運命でつながっているようだ。
浮上のきっかけは16年大みそかの「ぐるナイ おもしろ荘」(日本テレビ系)。共に出演したブルゾンちえみが同番組を機に大ブレイクを果たしたが、ペンギンズもここで大きなインパクトを与えた。
忙しくなった現状については、「うれしい半面、プレッシャーに押しつぶされそう」(ナオ)、「出る番組全部でヒットを打っていかないと残れないと思うんで、手放しで喜んでいられない」(吉間)と、アニキと舎弟らしい(?)緊張感や慎重さを口にする。
ネタの土台作りはナオ。今のスタイルに落ち着く前は、正反対と言えるものだった。「今とは全然違う静かな漫才だったんですが、『M-1』は1回戦で落ちた。これはやばいと必死で考えた中の1つが今のスタイル。去年の夏に披露してみたら、お客さんや芸人仲間の反応がすごくよかった」とナオ。
しかし、ここに至るまでには青かった時代もあったようだ。「昔は2人ともトガってたんで、お客さんが笑わなかったら『分かんねえんだろ?』って、はき違えてた。でも今は正反対。お客さんが笑うかどうかだけを見ています」と吉間は心境の変化を明かす。
今後もアニキと舎弟の世界観は守っていくつもりだ。「先輩方には『このキャラのままでいくの?』とよく言われるけど、どこまで行けるか試してみたい」(ナオ)。「『キャラじゃなくて普通に答えろよ』という場面が多々あるんですが、そのへんの返しもキャラでうまくできるようになれれば(笑)」(吉間)
息のあった掛け合いは、バラエティー番組を大いに盛り上げてくれる予感がする。
(「日経エンタテインメント!」10月号の記事を再構成。文/遠藤敏文 写真/中村嘉昭)
[日経MJ2017年10月20日付]
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