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トキの島に舞い踊る鬼を見た 佐渡の伝統文化を訪ねる 新潟県の佐渡島

2017/11/4

吹き抜ける風が冷たく感じられる秋の日本海。新潟市から高速船でおよそ1時間航行した先にあるのが佐渡島だ。トキと金山の島--。この連想に間違いはないが、佐渡の奥深さはそこにとどまらない。歴史の中で様々な要素が融合してきた独自の文化も大きな魅力だ。

■掛け声とともに激しく舞う「鬼」

佐渡を訪れたのは10月中旬。地元の方から畑野地区の鎮守社、熊野神社の祭礼が開かれることを教えてもらった。島は地図で見るとローマ字のHを斜めにしたような形だが、畑野はその中心に近い地区だ。「鬼太鼓(おんでこ)は初めてですか。ちょっとびっくりするかもしれませんが、是非じっくり見ていって下さい」。佐渡市役所にお勤めの中川大輔さんが境内まで案内してくれた。

境内を見学しているとほどなくして太鼓が鳴り、掛け声が響く。「そらゆけ、そらゆけ」--。掛け声とともに鮮やかな衣装を身にまとった「鬼」が登場して舞い始めた。膝を深く折って低い姿勢になったり、空中を回転しながら髪を振り乱したり。大きく見得を切ったかと思えば、獅子ともからむ。かなり激しい。地区の若者が担当しているのだろうが、「息が上がっているんじゃないか」と心配してしまうほどだ。

鬼と獅子が激しくからむ

鬼太鼓は五穀豊穣(ほうじょう)の祈願や収穫への感謝、集落の厄払いなどのために行われるとのこと。島内約120地区にそれぞれの鬼太鼓があるという。ひとつとして同じものはないというから驚きだが、舞い方などでいくつかに大別できる。この地区出身の小田俊和さんは「ここは舟下(集落)から伝わったと聞いています」と話す。舟下の鬼太鼓は数百年の歴史があり、海外でも舞われたことがある代表的なものの一つだった。

■終日かけて地区の民家を1軒、1軒訪問

境内でひとしきり舞うと、鬼は民家を1軒1軒、回り始めた。「この地区で大体600軒ですが、2組に分かれて回ります。1組あたり300軒なのでほぼ終日ですね」。息が上がるなんてもんじゃない。小田さん、中川さんによると地区によっては30歳で「定年」だという。無理もない。50歳を過ぎた都会暮らしの筆者には1軒分も無理だ。

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