マネー管理、健康管理… AIで進化するスマホアプリ
AI(人工知能)は急激に身近なものになっている。マネー管理、英会話、カロリーコントロール……スキルや習慣を身に付けないとできない分野では、スマートフォン(スマホ)のAIアプリが強い味方になる。それぞれの分野で、AI搭載をうたうアプリは多数出ているが、なかでも特にAIが果たす役割が進化しているものを使ってみた。
外貨の値動きを予測
マネー管理では、外貨や株価の予想にAIが活躍する。じぶん銀行は、投資アルゴリズムを開発するアルパカジャパンと提携し、「AI外貨予測」を共同開発。AIが過去の為替チャートを分析して1時間以内、1営業日以内、5営業日以内の値動きを、3種類のアイコンで予測を立てる。今後はディープラーニングを活用してより高度な予測が可能になり、それを基にした自動積み立てなどの進化が期待できる。
日経平均株価の周期変動を予想
株価予想で注目されるのが、「Phantom AI 週間株価予報」だ。独自開発したPhantom株価予報AIエンジンが過去の株価チャートなどを機械学習して、1週間の値動きを予想。「過去1年間、225銘柄をテストして検証した結果、80%以上の確率で株価レンジを予測できた」(財産ネット代表・荻野調氏)。日経平均の他、個別銘柄にも対応。また同社は、マイクロソフトAzureと連係したAIチャットボット「Phantomエージェント」を7月から開始。自然言語からユーザーの意図を抽出し、チャットで株価などの情報を引き出せる。
支出の品目を自動で仕分け
家計簿アプリの「マネーツリー」(マネーツリー)は、独自開発した機械学習のAIを支出の自動仕分けに使う。カードなどで買い物をした店舗名や金額をAIが自動判別し、何も手を加えなくても品目ごとに分けた家計簿が完成する。「品目が間違っていたらユーザーが訂正することで、AIの学習がさらに進む仕組み。サービス開始からデータが蓄積し、95%の精度に達した」(マネーツリーの山口賢造氏)
ディープラーニングで劇的に精度向上
翻訳に関して躍進を遂げたのが、グーグル翻訳(グーグル)。2016年11月よりディープラーニングを取り入れ、英語から日本語など語順が全く違う言語でも、自ら自然な語順に直すことを学習したプログラムに変貌した。手書き文字や看板の文字といったノイズの多い文字の画像認識もできる。専門用語を含む会話も翻訳できた。
認識と翻訳の2種のAIを活用
マイクロソフトトランスレーター(マイクロソフト)も、ディープラーニングでこの進化を追う。音声認識と自然言語翻訳の2種のAIを使い、音声を別の言語の音声にリアルタイムに翻訳することを可能にした。音声の誤認識率は5.1%とうたう。さらに「True Textという独自機能のAIにより、繰り返しや言いよどみがあっても、本来の文に訂正できる」(日本マイクロソフト)。18種類の言語に同時に翻訳できるため、1人のガイドが複数の言語の観光客を相手に話せる。
31言語で旅行案内
「VOICE TRA」(情報通信研究機構)は31言語の音声翻訳ができる。旅行会話ではTOEIC600点レベルの翻訳だという。総務省などが20年に向けて、東京都や鉄道会社とともに実証実験を行っている。
ほったらかしで食事を見える化
食事や体重を管理するアプリの最先端は、ディープラーニングによる画像認識の有効活用だ。ダイエット管理アプリの「カロミル」(ライフログテクノロジー)が17年9月から食事画像認識AIを実装。スマホで撮影した食事の画像から料理の種類をAIが判別し、カロリーや脂質・糖質量などを自動判定。識別率は約82%だという。1日の栄養素がレーダーチャートで表示されるなど、ほぼ「ほったらかし」で食事内容が見える化できる。
エクササイズや食事を指導
「FiNC」はフィットネスのアドバイスをするアプリ。歩数や体重など基本データを入力すると、AIチャットボットの「AIちゃん」がユーザーに応じた食事や運動などを提案。アプリからの質問に答えるほど、的確なアドバイスが可能になる。
(日経トレンディ編集部)
[日経トレンディ2017年11月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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