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切り方・調理で大違い 栄養を100%採る野菜の食べ方

日経ヘルス

2017/10/23

(写真:鈴木正美)
日経ヘルス

 体にいいと思って毎日野菜を食べていても、その食べ方が「栄養ロス」だとしたら……?ちょっとした工夫で野菜のパワーが激変する食べ方のコツを教わった。

 「野菜をたくさん食べることは大事。でも、野菜からしっかり栄養をとるには、食べ方にコツがある」。そう話すのは東京慈恵会医科大学附属病院で栄養指導を行う管理栄養士の濱裕宣さんと赤石定典さんだ。ちょっとしたことで、本来とれたはずの栄養の9割近くを逃してしまうこともあるのだという。無駄にせずしっかりとるには、野菜ごとの扱い方を知っておくことが重要だ。

 野菜の栄養を逃さないポイントは4つ。一つ目は、切り方。細かく切るか大きく切るか、皮をむくかむかないかで、とれる栄養が大きく変わる。二つ目が調理法。成分によっては調理法が異なることで吸収率が変わってくるので、野菜ごとに工夫が必要だ。三つ目が保存法だ。野菜によって冷蔵庫内の置き場所が違ってくる。そして四つ目が、選び方。パワフルな野菜を選ぶコツを覚えておこう。

 「調理済みのサラダやカット野菜は、安全衛生管理の面から洗浄・殺菌を繰り返しているため、その過程で栄養が減っている可能性がある。野菜の栄養を丸ごととるのであれば、自分の手で調理するのが最も効率がいい」(赤石さん)

 身近な旬の野菜を中心に、そのパワーを余すところなくいただく食べ方&調理法を、詳しく紹介する。

 

【ポイント1 切り方】皮ごと、切る向き&切る順番で栄養がアップ

 「トマトやニンジンなど、一般的に野菜は皮に栄養が豊富。野菜は、できるだけ皮ごと食べるのがいい」と濱さんはいう。

 切り方も大切だ。例えば、「ピーマンは繊維に添って切ると栄養を逃しにくい」(赤石さん)。一方で、タマネギやニンニクなど、細かく切る方が栄養が増える野菜もある。この機会に覚えておこう。

 もう一つのポイントが「生長点」だ。「植物が成長しようと、盛んに細胞分裂を繰り返している部位で、栄養が豊富。積極的に食べるといい。保存する際は、生長点を切り分けておかないと、栄養を消費してしまうので注意して」(濱さん)。

■タマネギ みじん切りが正解、切った後は10分放置

 タマネギの辛み成分、硫化アリルは、空気に触れることで「血液サラサラ成分」のアリシンに変化する。みじん切りにして、10分ほど空気にさらそう。アリシンを増やす切り方は、繊維と垂直に包丁を入れてから、90度回転して繊維と平行に切る。生長点は芽が出る部分。

タマネギ

■ピーマン 皮ごと細く、縦切りがお薦め

 ピーマンに含まれる渋み成分のクェルシトリンは、ポリフェノールの一種で抗酸化作用がある。効果的に摂取するには「縦切り」がお薦め。繊維に添って切ることで栄養が流出しにくく、加熱調理に向く。生で食べるのなら、食感が柔らかくなる輪切りがいい。栄養が流出しやすいので、切ってから時間をおかずに食べよう。パプリカも同様に。

ピーマン

■ニンジン 栄養がたっぷりの皮ごと切ろう

 可食部100gに9100μg(マイクログラム)ものβカロテンを含むニンジン。実はこの「可食部」には皮も含まれている。皮には抗酸化成分も豊富なので、皮ごと食べるのがお薦め。「どうしても皮をむくのなら、薄くむくように」(赤石さん)。グラッセなどじっくり加熱する料理なら、皮ごと無理なく食べられる。生長点は葉から付け根の部分。

ニンジン

■ホウレン草 “ゆでてから切る”が正解。根元の赤い部分も食べよう

 鉄やβカロテン、ビタミンCが豊富なホウレン草。ポイントは切るタイミング。切ってからゆでると、ゆで汁に水溶性ビタミンが流出する。「ゆでてから切る」という順番を守ろう。生長点は根元。根元の赤い部分は骨の形成などに関わるミネラル、マンガンが豊富。捨てずに食べよう。

■ニンニク みじん切りより、すりおろして10分放置

 昔から滋養強壮にいいといわれる野菜の代表選手、ニンニク。パワーの秘密はタマネギ同様に辛み成分の「硫化アリル」。空気に触れさせてアリシンを増やすには、できるだけ細かく切るのがポイントだ。薄切りよりみじん切り、みじん切りよりすり下ろしが◎!

■ブロッコリー 生長点はカット、芯も食べる

 花蕾の房には、がん抑制作用も報告されている成分スルフォラファンが豊富。ただし、ここは“生長点”なので、すぐ食べないなら、房の部分だけカットすれば栄養がキープできる。また、茎にはビタミンCや食物繊維が豊富。「薄くスライスして加熱すればおいしく食べられる」(赤石さん)

ブロッコリー

■ニラ 根元はみじん切り、葉はザク切りにする

 ニラは部位によって切り方を変えるのがコツ。ビタミンCが豊富な葉先の部分は、栄養の流出を防ぐため、細かく切らずにザク切りに。根元には硫化アリルが豊富。血液サラサラ作用のあるアリシンを増やすために細かく切ろう。

■キャベツ ビタミンCが多い外側の葉はザク切りに

 外側の葉にはビタミンCが豊富なので、むきすぎないように注意して。外葉の次に栄養が集まるのは、生長点でもある芯の部分。煮込んだスープなら、食感も柔らかく、溶け出したビタミンCも無駄なくとれる。

キャベツ

 

【ポイント2 調理法】最強は蒸し野菜!加熱で吸収が変わる

 調理のポイントは加熱の仕方だ。最も栄養を逃さない調理は“蒸し野菜”。濱さんも赤石さんも太鼓判を押す、栄養を余すところなくとれる方法だ。

 また、野菜に含まれるビタミンにはビタミンB群やCなどの水溶性ビタミンと、ビタミンA、Dなどの脂溶性ビタミンがある。ホウレン草やキャベツなどの水溶性ビタミンを多く含む野菜は、ゆでると栄養がゆで汁に溶け出てしまう。「生か蒸し焼きで食べたい。ゆで汁ごと食すスープもお薦め」(赤石さん)

 脂溶性ビタミンを多く含む野菜は、油と一緒に食べることで栄養吸収率が一気に高まる。油で炒めるほか、ドレッシングやタレに油を活用して。「アマニ油などn-3系脂肪酸が豊富な“いい油”を使おう」(濱さん)。

■ブロッコリー・ホウレン草 電子レンジの加熱でビタミンCを確保

 「ホウレン草やブロッコリーは、レンジ蒸しがお薦め。ラップで覆い、電子レンジでサッと調理すれば、ビタミンも流出しない」(赤石さん)。また、ブロッコリーは「切って5分ほど放置」(濱さん)が正解。がん抑制作用があるスルフォラファンの活性が高まる。

ホウレン草

■長ネギ 輪切りにして加熱すれば抗酸化力アップ

 白い部分には硫化アリルが豊富なので、10分ほどさらしてから焼くと効果的。「ネギの抗酸化力は加熱することで高まる」(濱さん)ので、イチオシはシンプルに輪切りにして焼くだけの「焼きネギ」。トロリと柔らかくなり、甘みも増すのでたくさん食べられる。

■アボカド・カリフラワー 生で食べることでビタミンの喪失が防げる

 アボカドとカリフラワーは生食が最強。アボカドは、ビタミンEやB群、C、カリウムなど、栄養の宝庫だが、「加熱すると激減する」(濱さん)。カリフラワーも生で食べるほうが、ビタミンCが多くとれる。スライスしてサラダなどと一緒に食べるのがお薦め。

カリフラワー

■枝豆 蒸し焼きでおいしさアップ!ビタミンもキープ

 枝豆を食べるには加熱が必要だが、「ゆでるとビタミンCが減ってしまうので、皮ごと蒸し焼きにするのがお薦め」(濱さん)。代謝を高める酵素モリブデンの流出も防げる。作り方は「塩もみした枝豆をフライパンで焦げ目がつくまで素焼きして、蓋をして5分ほど弱火にかけるだけ」(赤石さん)。

■キャベツ・タマネギ スープにして栄養を丸ごと食べよう

 生では大量に食べにくいキャベツやタマネギは、加熱しても栄養が丸ごととれるスープがお薦め。キャベツには、ビタミンCのほか、胃の調子を整えるビタミンUが含まれる。芯も捨てずに煮込もう。タマネギに含まれる血液サラサラ成分、ケルセチンやアリシンは水に流出しやすいので、スープがベスト。

タマネギ

■ニンジン・ナス 油で炒めてβカロテン、ナスニンの吸収アップ

 緑黄色野菜に含まれ、美肌にいいβカロテンは、油と一緒にとれば吸収率がぐんと高まる。ニンジンなら皮ごと乱切りにして油で炒めるのが最強の食べ方。ナスの皮の色素成分はポリフェノールのナスニン。油で炒めるとコーティング効果で流出を防げる。

■実は栄養の宝庫!今まで捨てていたワタや種も食べよう

 ワタや種など「捨てるのが常識」と思い込んでいた部位は、“栄養の宝庫”。「ミネラル豊富なカボチャの種はから煎りしておやつに。カリウム豊富なトウモロコシのヒゲと芯は、ご飯と一緒に炊き込むと風味豊かに仕上がる。ピーマンのワタと種には血栓予防作用のあるピラジンが豊富。取らずに肉詰めにするのがお薦め」(赤石さん)

【ポイント3 保存法】トマトは常温、キノコは冷凍 ネギやセロリは縦置きに

 野菜は収穫後も生きている。だから、「育った環境により近い条件で保存する」のが原則だ。例えば、トマトやキュウリなど温暖な気候で育つ野菜は、“冷え過ぎない場所”に保存することで、栄養が減りにくいという。

 下の図は、冷蔵庫での野菜のベストポジションを示したもの。チルド室に置けば、劣化しやすいモヤシは鮮度が保たれ、ジャガイモは糖度が上がるという。

 また、「冷凍することで、栄養が吸収しやすくなる野菜もある」(濱さん)。キノコ類やホウレン草、小松菜などがそうだ。

冷蔵&冷凍のベストポジション。「栄養をキープするためにも、野菜ごとに適した場所に保管して」(濱さん)。冷蔵庫内でも棚によって温度差がある。下段ほど温度が低いと覚えておこう

[常温保存] ネギやタマネギは、冷蔵庫に入れると、品質が劣化し、ビタミン流出を招く“低温障害”を起こしやすい。常温で保存することで、栄養がキープできる。

[野菜室(冷蔵室)] 基本的に夏野菜は冷蔵庫に入れず、常温保存でOK。冷蔵庫で保存するなら、野菜室に置こう。野菜室が無い場合は、なるべく上の棚に置く。

[チルド室] 日持ちがしにくいモヤシはチルド室へ。「20秒電子レンジにかけて小分けし、チルド室に保存するのがお薦め。1週間は持つし、すぐに使えます」(濱さん)。また、変色しやすいブロッコリーも、小分けにして密封袋に入れ、チルド室へ。

[冷凍室] 「一度冷凍して硬い細胞の壁を壊すことで、キノコの栄養が取りやすくなる」(濱さん)。小松菜などの葉物は、冷凍保存でビタミンの喪失を防げる。

■トマト・シイタケ・タマネギ 日光に当てると栄養素アップ

 トマトの抗酸化成分リコピンは日光を当てることで量が増える。シイタケに多い、骨の形成に関わるビタミンDも同じ。「どちらも調理前に30分ほど日光に当てるだけでも増える」(濱さん)という。タマネギは皮をむいて約1週間天日干しすると、血液サラサラ成分のケルセチンが増える。

■ネギ・セロリ 育った環境と同じ縦置きがベスト

 栄養を保ちながら長持ちさせるには、育った環境と似た温度や光の環境で保存しよう。ネギやセロリなどの縦長の野菜は育つ姿のまま、縦置きがいい。ネギは常温保存で、セロリは野菜室に入れ、茎を立てて置くことで栄養が減りにくく、長持ちする。

■キノコ類・小松菜 冷凍することで栄養吸収がアップ!

 キノコは、凍らせることで硬い細胞壁が壊れて、中にあるアミノ酸などが吸収されやすくなり、うまみもアップする。劣化しやすい小松菜も、新鮮なうちに冷凍して自然解凍すると、細胞壁が壊れて柔らかになる。ゆでるより栄養が流出しにくく、お薦め。

濱裕宣さん
 東京慈恵会医科大学附属病院栄養部 管理栄養士。佐伯栄養専門学校卒業。東京慈恵会医科大学附属病院栄養部課長として、病院食の栄養管理、病棟での栄養指導を行う。栄養管理の視点から、『慈恵大学病院のおいしい大麦レシピ』(出版文化社)など多数の書籍監修に関わる。
赤石定典さん
 東京慈恵会医科大学附属病院栄養部 管理栄養士。華学園栄養専門学校卒業後、東京慈恵会医科大学附属病院栄養部に勤務。濱さんと共に、病院食の献立作成や、体調や生活習慣に合わせた栄養管理指導を行う。栄養とおいしさの両面を満たす調理法のアイデアも豊富。

(ライター 宮本恵理子、日経ヘルス 熊介子、写真 鈴木正美、イラスト 堀部久美子、料理・スタイリング タカハシユキ)

[日経ヘルス 2017年10月号の記事を再構成]

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