プレゼンスコンサルタント 丸山ゆ利絵

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4. 所作

これこそ「ほんのちょっとしたこと」ですが、実は一番差がつくところです。

スーツを着るときは動作に気を付けてください。例えば、ジャケットを羽織ったときに、両手にそれぞれ左右の襟を持ち、シュッと下におろします。襟が首にぴたっと合い、余計な隙間が生まれないように着るためのちょっとした動作です。

また、時々無意識にパンツをウエストまで引っ張り上げてしまう人がいますが、これは避けたい動作です。パンツは「腰ではく」ものなので、パンツ丈もシルエットもそれに合わせています。ウエストまで引っ張り上げると、丈が合わなくなり、せっかくのシルエットも崩れてしまいます。

5. 靴

とても多くの人が靴で印象を損ねています。スーツに気をかけても、ついつい足元には無頓着になってしまうのかもしれません。

目立つのは紺やダークグレーなど、ダーク系のスーツに明るいブラウンの靴を合わせているケースです。おしゃれと思ってのコーディネートなのでしょうが、残念ながら「できる人」には見えません。すっきりとした全身の統一感に欠けるためです。ダーク系スーツには靴もダーク系で合わせた方がいいでしょう。

そして、絶対に注意したいのが靴の「艶」と「光沢」、そしてそのための「お手入れ」です。

どんなに生真面目にスーツを着ていても、靴がほこりで汚れていたり、つま先が色あせ、何本も横じわが入って反り返っていたりするようでは、印象を損ねます。

成功する・している人と、うだつが上がらないであろう人は、足元を見ればすぐにわかります。見る人に服飾の知識がなくても、すぐに「ダメダメ感」を想起させてしまいます。その時点で、ビジネスに対する姿勢も能力すら、「ダメ」な印象を与えてしまうのです。

◇   ◇   ◇

以上、「できる」「できない」といった印象を分ける「明暗ポイント」を5つご紹介しました。いずれも、ほんの少しだけ注意すれば、すぐさま改めることができることばかりです。「仕事ができる」「信頼できる」といった印象を与える「身だしなみ」と「おしゃれ」は別物であり、まったく考え方の異なるものです。ぜひ、今すぐにでも姿見の前に立って全身をチェックしてください。

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丸山ゆ利絵
 ホテル西洋銀座やアークヒルズクラブなどを経て2010年、経営者などに「ふさわしい存在感」の演出方法を助言するコンサルティング会社、アテインメンツ(大阪市)を設立、代表に就任。15年、ビジネスマンに正しいスーツの着方を指南する「スーツ塾」を開講。 著書に「『一流の存在感』がある人の振る舞いのルール」(日本実業出版社)など。

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