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転職体験もとに「仕事術」本 著者イベントで人気に 八重洲ブックセンター本店

2017/9/22

 ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測している八重洲ブックセンター本店だ。9月も半ばを過ぎたが、飛び抜けた売り上げを示す新刊は登場していない。そんな中、著者イベントなどの販促策が実を結んで売り上げを伸ばす本がランキング上位に顔を出している。中でも売れ行きがよかったのは、6回の転職を経て半ばフリーランスで働くPRマンによる、自らの経験を仕事術にまとめた一冊だった。

■転職を6回体験した著者

 その本は、片岡英彦『日本テレビ・アップル・MTV・マクドナルド・ミクシィ・世界の医療団で学んだ、「超」仕事術』(方丈社)。長いタイトルはそのまま著者の転職履歴を表している。現在の肩書は、PRコンサルティングを手がける個人事務所の代表、東北芸術工科大学広報部長で准教授。多芸多才の人と見えるが、ほぼ一貫して広報関連の仕事をしてきているプロのPRマンというのが本人のスタンスだ。

 本は4章構成。大学を卒業して日本テレビに入社してから6つの転職を経て今に至る経緯に沿って、その折々に得た仕事術のポイントを41の節にまとめている。いずれの節も○×式の「お題」から始まる。例えば、「×すぐに部署を異動したい。転職したい。○何をしたいのか? 『やりたいこと』ありきで考える」といった具合だ。どうして一方が○で、一方が×なのか、自らの経験を語りながら解説する形で本は展開していく。仕事術というタイトルの印象とはひと味違い、テクニックやノウハウを語るのではなく、仕事への向き合い方や心構え、考える方向性を指し示してくれる内容だ。

■「やりたいこと」軸に会社との関係を考える

 転職経験でキャリア形成した人だけに、転職のすすめともとれる内容だが、転職するかどうか悩んでいる人には「悩むくらいであれば、転職しない方がいい」とアドバイスするという。待遇や職場の空気感、仕事が合う合わない……転職を考えるには様々な状況があるだろうが、そういう理由よりももっと自分を中心に会社との関係をとらえ直してみたほうがいいのでは、というのが本書を貫く基本の考え方だ。自分のやりたいことを軸に職場や会社との関係を考えていけば、選択の「センス」が磨かれていくと著者は説く。転職を考えている人には大いに参考になるだろうし、今の職場で悩みを抱えている人にも得るところは大きいだろう。

 「15日に著者イベントを開いたので、それで大きく売れた」と副店長の木内恒人さん。転職を含めてキャリアアップを考えている20~40代がイベントに反応したようだ。

■イベントや話題性が売れ行きを左右

 それでは先週のベスト5を見ておこう。

(1)「上に立つ人」の仕事のルール嶋田有孝著(日本実業出版社)
(2)日本テレビ・アップル・MTV・マクドナルド・ミクシィ・世界の医療団で学んだ、「超」仕事術片岡英彦著(方丈社)
(3)スタンフォード式 最高の睡眠西野精治著(サンマーク出版)
(4)孫社長にたたきこまれたすごい数値化仕事術三木雄信著(PHP研究所)
(5)LIFE SHIFTリンダ・グラットン、アンドリュー・スコット著(東洋経済新報社)

(八重洲ブックセンター本店、2017年9月10~16日)

 1位の本はランキング入り狙いのまとめ買いが入った。紹介した本は2位。4位の本も三木氏の別の本に関するイベントを開いたことで大きく売れた。3位の本は、この週放送されたテレビ番組で取り上げられての再浮上。睡眠本への関心はこのところ常に高い。『LIFE SHIFT』は昨年秋刊行で、長くランキング上位でビジネス書の売れ行きを牽引した強力本。ここへ来ての5位へ浮上したのは、著者が政府の「人づくり革命」有識者会議のメンバー入りし、来日したことで再び関心が高まったためだ。

(水柿武志)

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