海城中学生のPA。仲間と協力して「高い壁」に挑戦する=海城学園提供

「新しい人間力を高めるため、PA(プロジェクトアドベンチャー)とDE(ドラマエデュケーション)もやっています」(柴田校長)という。横文字が並ぶが、PAというのは米国ゆかりの体験学習プログラムだ。中学1年生は入学して1カ月もすると、東京西部にある「高尾の森わくわくビレッジ」に連れて行く。PA専用の施設を使って、チームをつくって様々な課題を解決していくという試みだ。DEは特にユニークだ。中学2、3年生の全生徒が、自らドラマを創作するという。

プロの指導でドラマづくり

中学2年生の6人程度で1つのチームをつくり、大久保の近所の中高年の人たちや教員の知り合いの方々にそれぞれの人生を語ってもらい、その聞き書きをもとに芝居を創る。その創作過程を通じて生徒たちは対話能力や協業の力を身につける。3年生になると、修学旅行がテーマとなり、グループごとに撮ってきた1枚の写真をテーマに、芝居を創作・構成する。指導に当たるプロの舞台演出家からは、相手に届かない独りよがりな表現に対しては、強烈なダメ出しが繰り出されることもあるという。

DEでは生徒たちがドラマを創作、みんなの前で披露する=海城学園提供

こうして数週間にわたり芝居づくりに励み、保護者も呼んで発表会を開く。3年では人間関係を築く力に加えて創造する力も養う。「以前、修学旅行で中学生を函館に連れて行った時、地元の朝市の人たちと触れ合ったり、まともに対話したりできなかったことがありました。今ではDEを通じて対話とホスピタリティーの力がかなり高まりました」(中田先生)という。

新たな学力向上のため、中1~中3の3年間、週2回の「社会科総合学習」という授業ももうけた。政治、経済、文化、科学など様々なテーマで、中1の時から自分で調べて毎学期リポートを書く。

海城の卒業論文の発表会=海城学園提供

中3の時には原稿用紙30~50枚の「卒業論文」を書き上げる。面白いのは取材や調査のため、「電話でアポイントを取るところからすべて自分で行うことです」(柴田校長)。SNS時代を迎え、「電話が苦手」という若者が増加しているが、海城生はそれでは許されない。

国公立医学部に35人

海城は医学部の進学率が高いが、これも医療現場を取材して論文を書く過程で、「医師はやりがいがある」という意識を持つ生徒が増えているため。社会科総合学習は将来のキャリア教育にもなっている。

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