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新幹線は「左の通路側」席がベスト 移動疲れを軽減

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2017/9/19

新幹線に乗るとき、疲れを抑えたいなら「左の通路側」がベストポジション。その理由は?(c)Ekachai Wongsakul-123rf
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 出張や旅行に出かけるときなど、新幹線や飛行機で長時間移動すると、疲れを感じる人は多いだろう。疲労研究の専門家、大阪市立大学大学院疲労医学講座特任教授で東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身さんによると、移動疲れの大きな要因は「姿勢」と「環境」だという。前回の「長時間旅行の疲れを軽減 『貧乏ゆすり』が意外に有効」に引き続き、今回は「環境」について詳しく話を伺っていく。

■「ゆらぎ」のない一定の環境にも疲れを感じる

――長時間移動の疲れの一因は「姿勢」とのことでしたが、もう一つの要因として挙げられた「環境」についてはどのような影響があるのでしょうか。

 環境にもいくつかの要因がありますが、最も大きいと考えられるのは、「ゆらぎ」のない不自然な環境です。飛行機や新幹線などの車内は、窓が開けられないため、空気のゆらぎを感じることができません。動物は本能的に、ゆらぎのない環境に置かれると、不安感や不快感を覚えます。例えば、風が吹いていれば、においで敵を察知できますよね。ヒトを含めた動物にとっては、そうしたゆらぎのある環境が、自然で安心できるのです。

 一方、飛行機や新幹線の車内などゆらぎのない環境は不自然で、安心してリラックスすることができず、疲労を招きやすくなります。ドライブ中に疲れて眠気を感じると、窓を開けて風を入れる人は多いと思いますが、これは動物としての本能的な行動といえます。

 不自然な環境という意味では、新幹線の場合は車窓の景色が猛スピードで流れていくことも影響します。その景色を眺めていると、自然界ではあり得ないスピードで入ってくる視覚情報を処理しないといけないので、自律神経が疲弊してしまうのです。また、トンネルを通るときの明暗差も、視覚的な刺激になって疲労を感じやすくなります。

 さらに、飛行機や新幹線の車内では、気圧の変化が生じることも、疲れを招く要因と考えられます。飛行機の場合は離着陸時以外は急激な変動はありませんが、新幹線では、対向する車両とすれ違うときやトンネルを出入りするときに、突発的な気圧の変化が生じます。気圧の急激な変化は自律神経にストレスを与え、交感神経が優位になることで疲れを招きます。また、片頭痛などの不調を来す一因にもなります。

■カーテンや耳栓で刺激を遮断し、自律神経を休める

――そうした環境による疲れを軽減するには、どんな対処法がありますか。

 前回「長時間旅行の疲れを軽減 『貧乏ゆすり』が意外に有効」でも、飛行機や新幹線の座席は、立って歩きやすい通路側がいいとお話ししましたが、環境の面からも、新幹線では特に通路側、それも進行方向に向かって左側、つまり対向車両とすれ違わないサイドの通路側の座席を選んで、状況が許すならカーテンを閉めておくことをお勧めします。そうすれば、気圧の変化や景色、光などの視覚的な刺激の影響を軽減できます。

 気圧対策には、耳栓も有効です。耳の最も奥にある内耳には気圧のセンサーがあり、急激な気圧の変化が生じると、鼓膜が気圧の低い方に引っ張られることで、耳がツンと詰まったような感じになります。耳栓をしておくと、この現象も防ぐことができます。また、ノイズも交感神経を高めるので、音の刺激を遮断して、自律神経を休めるうえでも、耳栓は有効だと思います。

――耳栓の代わりに、イヤホンをするのはどうでしょうか。

 近年、イヤホンの継続的な使用が原因となる中耳炎が増えていることが問題になっていますが、移動時の一時的な使用なら特に問題はないでしょう。イヤホンで自分の好きな音楽を聴くことも、リラックスできて、疲労の軽減に役立つでしょう。

耳栓を使う代わりに、イヤホンで好きな音楽を聴くのもいい(c)rawpixel-123rf
梶本修身さん
 大阪市立大学大学院疲労医学講座特任教授、東京疲労・睡眠クリニック院長。1962年生まれ。大阪大学大学院医学系研究科修了。2003年から産官学連携「疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト」統括責任者。2017年9月には、最新著書『すべての疲労は脳が原因3〈仕事編〉』(集英社新書)、『なぜあなたの疲れはとれないのか?』(ダイヤモンド社)、『“人疲れ”が嫌いな脳』(幻冬舎)を出版。『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ)他、テレビ・ラジオでも活躍中。

(ライター 田村知子)

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