謎の「高速電波バースト」 30億光年先で再び発生

日経ナショナル ジオグラフィック社

2017/9/18
ナショナルジオグラフィック日本版

米国ウェストバージニア州にある超高感度の電波観測所、グリーンバンク望遠鏡。駐車しているバスと比較すると、その大きさが実感できる。(PHOTOGRAPH BY NRAO/AUI, REUTERS)

遠い宇宙で何かが生まれ、その謎に満ちた物体が宇宙空間に向かって繰り返し膨大なエネルギーを送り出している。

その物体が何なのかは明確にはわかっていないが、科学者らはこの現象を「高速電波バースト(Fast Radio Burst)」と呼んでいる。持続時間はほんの一瞬だが、非常に強力な電波の放出だ。先日、天文学者らが、30億光年かなたにある銀河から繰り返し発生する高速電波バーストを観測した。

地球外生命体探査プロジェクト「ブレークスルー・リッスン」に参加している科学者らが今回の発見に至ったのは、幸いなことに、彼らには見るべき場所がよくわかっていたためだ。研究チームは、米ウェストバージニア州にあるグリーンバンク望遠鏡を、過去に「FRB 121102」と呼ばれる高速電波バーストが観測された空に向けていた。

これまでに観測されたおよそ24の発生源のうち、繰り返し高速電波バーストを起こすことがわかっているのはFRB 121102だけだ。このため、FRB 121102だけが唯一、どこの銀河で発生しているかが判明している。2016年末、数基の望遠鏡を使用して、その発生源の特定が行われたからだ。

この発見の後、FRB 121102は長い間沈黙を守っていた。これまで静止と活動を繰り返していたとはいえ、この沈黙は気がかりだった。

「高速電波バーストを研究するチャンスが失われたのではないかと思いました」と語るのは、米カリフォルニア大学バークレー校のケーシー・ロー氏だ。「今回の観測結果は、FRB 121102が再び活動期に入り、こうした強力な電波バーストを、何がどのように発生させているのかを観察しやすくなったことを示すものです」(参考記事:「重力波検出に成功、30億年前のブラックホール衝突」)

原因には地球外文明説も

2007年に初めて観測された高速電波バーストは、今も根本的に不可解な存在だ。電波バーストを発生させているものの正体は判明していないが、ただそれが非常に遠くからやってくるものであり、また極めて強力な磁場のある場所から発生することがあるというのはわかっている。

ブレークスルー・リッスンのチームは、知的生命体の発する無線電波探査に使う装置をテストするためにFRB 121102の観測を続けていた。このほか、帯域の狭いパルス信号が、銀河間にある星間プラズマなどの障害の中を通り抜ける間にどのように変化するのかを解明することも、彼らの目的のひとつだ。

バークレー校SETIセンターのアンドリュー・シーミオン所長によると、地球外文明から発せられる信号は主にこうしたタイプだと考えられるという。

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