「給料が安いはダメ」 ワークス、社員が生々しく評価ワークスアプリケーションズの牧野CEO

「外資に引き抜かれても、どうせ使い捨てされるだけだ」という反論があるかもしれません。確かにクビになる人も多いでしょう。ですが、経営者としては「うちの会社の報酬は低いんだ、だから優秀な人が辞めるんだ」と現実を直視すべきなんです。待遇と人件費を削らなければ利益を出せない体制を見直さないといけないのです。

給料を上げたら引き抜きが減った

もちろん、払える金額に限度はあります。「彼は優秀だ。1000万円払う価値がある」と思っても、原資がなければ払えません。当社もそうでした。昔は、個人の実績に応じて給料を上げたり下げたりして、優秀な人材には多く報いていました。一方、成果が出せなかった人の給料は下げていたのです。

「能力がある人間には高い報酬を払うべきで、それは新入社員でも同じ」というのが牧野氏の考えだ

3、4年前に給与制度を見直し、給料を底上げしました。同時に、できる人は、大幅に上げられるようにしました。世界と比べても高いレベルに持っていきたいと考え、とにかく給料を上げました。その結果、引き抜きも減りました。

当社は、採用活動の一環で行う1カ月程度のインターンシップで優秀と認めた学生には、ほかの採用プログラムで入社した社員より多くの報酬を払います。年に100万円ほど多くしています。これも「能力がある人間には高い報酬を払うべきだ」と考えているからです。一生懸命考える力を身につけた学生に見合った報酬を出さなければ、採用競争で勝つことはできません。

給料は高くなくても、保養施設や休暇制度といった福利厚生を厚くして報いようという会社もあります。ですが、私は福利厚生は「会社がやらなければどうにもならない」ものにとどめ、極力つくらないと決めています。

働きながら子育てする社員を助けるため、企業内保育施設をつくりましたし、部署が異なる社員同士が積極的にコミュニケーションをとれるように、カフェも設置しました。しかし、この程度で十分かなと思います。社員の満足度を上げるため、給料以外で報いるというやり方は必要ないと思っています。社員の貢献には給料で報いるのが大前提なのです。

牧野正幸
建設会社などを経て1996年にワークスアプリケーションズを設立。2017年2月まで、中央教育審議会委員も務めた。兵庫県出身。54歳。

(松本千恵)

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