図書館無料、結婚特典充実　ユニーク特典の大学カード

誰でも「京大ブランド」をゲット――。そんな夢を年1250円でかなえてくれるのが「京都大学カード」だ。

大学がカード会社と提携して発行する「大学カード」は、通常は現役学生や卒業生など、大学関係者しか申し込めない。卒業後も母校のブランドをさりげなくアピールできるのが魅力だが、これを「全開放」しているのが京大だ。

その背景には、カードの利用額に応じた金額が大学に還元される仕組みがある。奨学金などに充てられるケースが多く、京大も学生や研究の支援に利用している。「利用者の窓口を広げて、より大学への寄付につながる環境をつくりたい」（京都大学）。還元率は0.5%と平凡だが、博物館が安くなるなど実利性も備えた異色のカードといえる。

大学カードは現状、学生時代に作って継続する利用者が9割近い。「早稲田大学と慶應義塾大学の利用者数は、群を抜いて多い」（大学カード関係者）とブランド校は特に人気が根強く、早大は昨年だけで約8300万円が奨学金に充てられたという。その他、結婚式に学長から祝電が届くなど、多くの大学がユニークな特典を用意して利用者増を狙っている。

大学の卒業生や関係者に限らず、誰でも申し込めるユニークなカード。京都大学の卒業生気分が味わえる他、カード提示で京都国立博物館の平常展は110円引き、京都国立近代美術館は展示によって約200円引きの団体料金になるなど、特典も用意する。

優待が受けられる協力店は全国に1000店以上あり、大学カードでは最大規模を誇る。例年チケットが完売するラグビー早明戦の抽選招待なども用意。所持には年間5000円の校友会費納入が必須だが、カードの年会費は免除される仕組みだ。

大学関係者以外は原則利用できず、かつ一般の卒業生でも有料の図書館入館が無料になる。その他、ラウンジを備えた「社中交歡萬來舎」をはじめ、各キャンパスのレストランなどの学内施設の利用割引も充実。

結婚した際、希望者は大学総長からお祝いメッセージを受け取れる他、応援歌入りのオルゴール付き写真立てがもらえるなど祝福の特典が多い。聖路加国際病院の1日人間ドック割引も用意。

学内店舗を割引利用できる。旅行代理店では、パック商品が3%引きになる。日本フィルハーモニー交響楽団の演奏会が一部を除き10%引きになるなど、協力店の優待も用意している。

結婚式に学長から祝電が届き、直筆のメッセージが送られる。その他、駿河台キャンパス近くの「紫紺館椿山荘」では、ホテル椿山荘東京が運営するレストランをランチ・ディナーで利用すると、カードの提示で、ファーストドリンクが1人につき1杯無料になる。

一橋大学の校友会である如水会の会員証が一体となったカード。如水会館内のレストランは、有楽町や日比谷などに店舗を構える東京會舘が運営し、カードを提示するだけで12%引きになる。

関西を中心に、ホテルや飲食店などの協力店で優待が受けられる。また、大学が兵庫県にゴルフ場「千刈カンツリー倶楽部」を所有しており、利用する際はビジター料金から2000円引きになる。

（日経トレンディ編集部）

［日経トレンディ2017年10月号の記事を再構成］