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体スッキリ、緑色のおかゆ スリランカ流「医食同源」

2017/9/7

インドやスリランカで受け継がれてきた5000年の歴史を持つ伝統医学アーユルベーダ。東京・蒲田にこのアーユルベーダの理念に沿った料理を出す個性派カフェ「アーユルヴェーダ・カフェ ディデアン」が8月末オープンした。

店主は長年漢方と薬膳を学んできたという山本水絵さん。ある時、アーユルベーダでも漢方と同じ食材が使われることを知り、深く興味を抱くようになったという。アーユルベーダの教えは、食べ物だけでなく、生活の仕方、精神の持ち方など多岐にわたる。

「食事の方法一つとっても一緒に食べる人や空間が大事であるなど、厳格に実践しようとするとなかなか日常生活に取り入れるのが難しいんです。だから、すべてを実践しようとするのではなく、まず取り入れやすいものから体験して、アーユルベーダのよさを実感してもらえれば」と山本さんは言う。

米粉のクレープ、ホッパー 「アッパー」とも呼ばれる

レストランではなくあえてカフェにしたのは、アーユルベーダでは昼食を最も重視し、夜の食事は軽くすませるため。消化を促し、未消化物が体内に蓄積されないようにと考えるからだ。

「アーユルベーダの教えは自然にスリランカの人の身に付いているので、夜でも『ホッパー』のような軽食ですませたりするんですよ」と教えてくれる。ホッパーとは、専用の器具で丸い器のような形に焼いた米粉の薄いクレープだ。

力を入れるメニューは、「キャンダ」と呼ばれるスリランカのおかゆ。雑穀を使ったものなど様々な種類があるが、緑の葉を使ったおかゆである「コラキャンダ」が現地で特に人気があるそう。スリランカにはキャンダの専門店があるのだが、コラキャンダだけを売っている屋台もあるという。

アーユルベーダでは朝食の定番料理で、カレーリーフやホーリーバジルを用いたものなどコラキャンダも多種多様。その中で、「カフェ ディデアン」では最もポピュラーな素材の一つ、ゴツコラ(ツボクサ)を使ったコラキャンダを出す。ゴツコラは漢方でも使われ、山本さんがアーユルベーダに大きく注目するきっかけとなったセリ科の植物だ。

「アーユルベーダで重用されるゴツコラは、毛細血管の血流を改善すると言われているんです。薬膳をやってきて人の健康には血流が一番大事なんじゃないかと思うようになる中、ゴツコラに出会い『これだ』と思って。日本でも簡単に栽培できるんですよ。脳を活性化して記憶力を増進させるとも言われ、インドなどでは受験シーズンになると親がこぞってゴツコラを買うものだから、店頭からなくなるそうなんです」と山本さんは笑う。

アーユルベーダで重用される植物ゴツコラ

店の隅には栽培ポットに入ったゴツコラが置かれていて、生のまま食べてみた。細い茎も小さな丸い葉も、爽やかな緑の香りがして軟らかい。三つ葉の様な味だ。「生ゴツコラは、細かく削ったココナツと合わせて食べたりもするんですよ」と店のスタッフが教えてくれる。

「最近はスリランカの人の生活も変わってきて、若い人はだんだんキャンダを飲まなくなってきているみたいで……」。再び説明を始めた山本さんの言葉に引っかかった。

おかゆを飲む? 「ええ、ガラスのジョッキで飲んだりするんです」。思わず、腰に手を当てながら、毎朝緑色の液体が入ったジョッキをぐぐーっと傾けるスリランカ人のイメージが目の前に浮かんできた。どうやら、日本のおかゆとは随分違う食べ物らしい。

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