ネコが人の口をふさぐ理由 イヌが人の妊娠を悟るワケ

日経ナショナル ジオグラフィック社

イヌは嗅覚が鋭いだけでなく、非常に感覚が鋭く、いずれにしろ人間の行動や習慣の変化にもすぐに気づく。そう語るのは、スイス、ホルゲンの応用動物行動学・動物心理学研究所のデニス・ターナー氏だ。(参考記事:「イヌが人懐こくなった理由 遺伝子変異でオオカミと差」)

たとえば子ども部屋を作るために家具を動かすといった一見ささいなことでも、イヌの日々の習慣を妨げ、ストレスの原因になることがある。こういった反応は「人間の子どもに見られる嫉妬と似たようなものです」とターナー氏は言う。(参考記事:「犬は人に『戦略的なウソ』をつく 実験で証明」)

シラクーサ氏が勧めるのは、ペンシルベニア大学獣医学部ライアン動物病院が公開している、赤ちゃんが家族に加わる変化にペットをうまく対応させるためのヒント集だ。対処法の例としては、毎日普段より少しだけ多くイヌにかまってあげる、ベビーベッドなどの新しいものは、赤ちゃんが来るよりもかなり前から用意しておく、といったものがある。

キャットニップ(イヌハッカ)と呼ばれる植物には、ネコを夢中にさせる効果がある。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)

ネコが喜ぶはずの植物に反応しない理由

最後にもうひとつ、ネコについての疑問を解決してみたい。キャットニップ(イヌハッカ)はマタタビのようにネコを喜ばせる植物だが、中にはこれにまったく反応を示さないネコもいる。それはなぜだろうか。

シラクーサ氏によるとその理由は、一部のネコは、キャットニップに含まれるネコを夢中にさせる物質「ネペタラクトン」を感知するための遺伝子を持たないからなのだそうだ。(参考記事:「ネコは自ら人間と暮らし始めた? DNA分析で判明」)

ブリストル大学のブラッドショー氏は、ストレスを感じているネコや、神経質になっているネコも、キャットニップには反応しないと語る。

トラからイエネコまで、ネコの仲間はすべてキャットニップに反応を示すため、この反応は今から少なくとも1100万年前の、現代のあらゆるネコ科動物たちの祖先が中央アジアに現れた時代に獲得したものだという。

その理由として考えられるのは、キャットニップには昆虫を寄せ付けない効果もあることから、キャットニップの中でゴロゴロ転がるという行動が、ノミなどの寄生虫を追い払うために定着したというものだ。

ネコはキャットニップに対して反応する唯一の動物であり、ネペタラクトンの脳受容体を持っている動物はネコだけという可能性もあるとシラクーサ氏は言う。

(文 Liz Langley、訳 北村京子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2017年8月23日付]

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