生産性と幸せ度が大幅アップ 朝と夕のルーティン“もったいない”脱出の仕事術

2017/8/30
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コミュニケーションコーチの岩田ヘレンです。つい最近、20年ほど前から知り合いの日本人女性から久しぶりに連絡をもらいました。彼女は最近出産をして、職場復帰や子育てのことで悩みがあり、アドバイスが欲しいと連絡をくれたのです。

「ヘレンは何でもできて、仕事もプライベートもすべてうまくいっているみたい」と彼女は言いますが、決してそうではありません。これまでに失敗したり大変だったりしたことはたくさんあります。でも一つ言えるのは、いろいろな新しいテクニックを常に少しずつ試しているから現在の自分があるのだと思います。

例えば、ネガティブな心理状態になることは誰でもあります。そういうときに何をすれば回復できるかをいろいろ試して、考え方や行動を少し変えてみる経験を重ねれば、落ち込んでも素早く回復できるようになってきます。以前もお話ししましたが、エネルギーをネガからポジティブに切り替えるためのテクニックが蓄積されてきます。

そして、特にこの1カ月は、行動を少しずつ変えることの重要さをあらためて実感しました。今回は日々の習慣=ルーティンについてお話ししましょう。

活力が高まり、目標に強く集中できる朝のルーティン

欧米では最近、morning routine(朝の習慣)が話題になっています。例えばベストセラーになっているHal Elrod著の「The Miracle Morning」という本は、朝イチに決まったことをすると1日がうまくいく、と説いています。

ただし、そうした本が紹介することをいっぺんに全部やろうとしても無理なので、自分にとって役立つと思うものを1つずつ取り入れてみるのがいいでしょう。

私の場合、4年ほど前に、まずメディテーション(瞑想=めいそう=)をやり始めました。今は毎朝15分ほどやっています。メディテーションはいろいろやり方がありますが、簡単なやり方としては座って、呼吸に意識を集中します。呼吸の回数を1から10まで数えたら、もう一度1に戻って数えます。ほかのことを考え始めたらまた呼吸に意識を戻して1から数え直します。最初は長時間は無理なのでタイマーをかけて5分とか、1分でもいいでしょう。私が始めた当初は、メディテーション用の便利なスマホのアプリがあるので、それを使って習慣化できました。

朝、目が覚めたらまずレモンを入れた白湯を飲んで、近くの公園を30分間散歩します。それが終わってからメディテーション。そしてジャーナル(日記)を書き、家族と朝食をとります。その後、ティーポットでつくった紅茶の残りを飲みながらソファで数分間だけ本を読みます。これがとても好きな時間です。

そして、少しだけ掃除や片付けをします。以前にもお話ししましたが、一日が終わってから片付けをしようとしても疲れてできなかったので、朝のうちにやることにしたのです。その後は、仕事で今日何をするかを確認します。

朝のルーティンは人によって好みや状況が違うので、これがベストではありませんが、現在の私にとっては一番役に立つルーティンになっています。

特に、毎日書くジャーナルは大きな効果があります。書く項目は少しずつ進歩して今の形になりました。感謝の言葉、「いい1日になりますように」といった言葉に加えて、「今日の目標」「今週の目標」「今月の目標」「今年の目標」まで、毎日書いています。これは自分に対する強力なリマインダーになり、目標達成が実現しやすくなりました。

今年のお正月に「新年の目標」を立てた方は多いと思いますが、それが何だったか今でも覚えていますか? 結構忘れてしまいますよね。ところが、毎年・毎月・毎週の目標を立てて繰り返し書いていると、本当にそれらの目標に集中できるようになります。

抱負や目標は、考えるだけでなく何度も書くと実現する、といった研究結果もあるようですね。また、パソコン入力でジャーナルを書いてみたこともありますが、やはり手で書いた方が効果があるような気がします。手書きの方が脳がより刺激されるという研究結果もあります。

残業しないための夕方のルーティンとは?

さて、私のこうした朝のルーティンは4年前から少しずつ作り上げて現在のものになり、とてもうまくいっていました。ところが、どうも最近、午後になると生産性がだんだん落ちてきて、仕事の時間がずるずると長くなってしまっていました。特にこの1カ月は家族と英国に滞在していたのですが、家族との時間を大事にしたいのに実際は夕食後も「残業」してしまい、フラストレーションを感じていました。そのせいか、生まれて初めて片頭痛まで発症してしまったのです。そこで、うまくいっている朝ルーティンに加えて、夕方のルーティンを作ってみることにしました。

最初は、今日一日何ができたかを「To do リスト」を見ながら確認してみました。でもフラストレーションはまだ解消しなかったので、さらに3つの行動を追加してみたら、かなりの変化がありました。

1つは、「終わりの時間を設定する」ことです。「〇時〇分までに仕事を終えてルーティンまで完了する」と決めます。私は起業家で自分のビジネスを経営しているので、自分が働く時間はもちろん自分で決められます(そのためについ働き過ぎてしまいがちですが)。

2つめに、今日できたことだけでなく「明日やること」も確認します。以前は遅い時間になると疲れてしまってできなかったのですが、仕事を切り上げると決めた時間に合わせてこれをやると、とても大きな影響がありました。つまり「今日できたこと」と「明日やること」を確認できたら「仕事はもう終わり」、オンからオフへしっかりと切り替えができるのです。以前は常に頭の中がオンになっていたのでつい長時間仕事をしてしまっていました。

そして3つめは、「Joy list(わくわくリスト)」を作ることにしました。その日あったハッピーなこと、面白かったこと。小さなことでもいいのでなるべくたくさん書きます。おいしいランチを食べた、クライアントからうれしいニュースがあった、仕事上で何かが解決できた、家族の好きな肉が3割引になっていた、など……。先日、英国で友人の車に乗っていたら、高速道路で渋滞にはまった上、紅茶を飲み過ぎたせいかトイレに行きたくなってしまいました。トイレまでなかなかたどり着けずにあせったけど、何とか間に合いました! 後で大笑いしたので、これもその日のJoy listに入れました。

笑ってしまうようなちょっとしたことや、小さな幸せなどは、わざわざ書かないと忘れてしまうことが多いですよね。読者のみなさんは、最近面白かったことやハッピーだったことをいくつ思い出せますか?

◇  ◇  ◇

朝のルーティンも夕方のルーティンも、私の場合、それぞれ10分から15分ぐらいかけてやっています。すぐに終わるようなものばかりではありませんが、朝のルーティンをやると集中力が本当に高まり、体に活力があふれますし、夕方のルーティンをやると気持ちがオフに切り替わってリラックスでき、充実感と幸福感が得られます。

こうしたルーティンをやっていく上で、大事なことが2つあります。

1つは、できなかったときに自分を責めないこと。多くの女性は何かができないと自分自身を責めますが、そうではなくてできたことにフォーカスするほうがずっと生産的です。

もう1つは、ルーティンを続けていくためには、誰かと一緒にやると非常に効果的です。私の場合、女性起業家グループの中で、夕方のルーティンを数人とシェアしています。毎日ルーティンをやったら彼女たちにダイレクトメッセージを送り、彼女たちも全く同じ内容ではありませんが毎日の終わりに似たようなメッセージを送ってきます。みなさんも、友人や同僚と一緒に試してはどうでしょうか。ちょっとだけ勇気がいるかもしれませんが、これもまたコンフォートゾーンを少しだけ超えてみる経験になりますし、それだけの価値と効果がきっとあるはずです。

岩田ヘレン
グローバル・コミュニケーション・コーチ。英ヨークシャー出身、さすがコミュニケーションズ代表。ウイズ株式会社 アドバイザー。日本翻訳者協会理事長、マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社コミュニケーション・マネージャーなどを経て2013年にさすがコミュニケーションズ設立。グローバル・ビジネスを想定した企業向けのコミュニケーション・スキル研修などを実施している。著書に「英語の仕事術 グローバル・ビジネスのコミュニケーション」(小学館)。メールは helen@sasugacommunications.com