数秒漬けるとワインが熟成… 日用品9分野の絶対王者
良い日用品とは何だろうか。手になじむもの、生活に潤いをもたらすもの、効率よく家事を行う手助けをするもの。人によってその定義はさまざまだろう。同じ目的を持った日用品であっても、その「アプローチ」は、実に多様だ。例えば、ワイン関連の日用品。「安いワインをおいしくする」という目的に対して、あるメーカーは「飲む直前に空気に触れさせることで、味をまろやかにするグッズ」を考え、他のメーカーは「開けた後の酸化を防ぐために、残ったワインを酸素に触れさせないようにするグッズ」を考える。どちらも、もちろん正解だ。
だが、あえて1つ買うならどれがいいか。この判断が難しい。そんな悩みに答えるべく、日経トレンディ編集部が導き出した手法が「キング・オブ・キングス」の決定戦だ。名付けて「日用品・文房具グランプリ」。話題の商品から未発売の商品まで、ピックアップした200以上の日用品のなかから実際に使って良かったものだけを、「キングス」としてノミネートした。テーマは、冒頭の「安いワインがグッと"高級"になるグッズ」「抽出名人になれるコーヒーメーカー」「軽量、高機能、角形の"3K"ビジネスリュック」など9つ。その道のプロとともにあらゆる角度から検証し、「あえて1つ買うならどれか」を悩みに悩んで選出したのが、以下に示す9商品だ。
ワイングッズ部門でグランプリに選出したのは、まるで魔法のようなスティック「クレ・デュ・ヴァン トラベル」(プジョー)。高級車メーカーの同社の祖業が、実は金属製造業だということは、知る人ぞ知る話だ。金属の扱いに熟知した彼らが、ワインをおいしくするために編み出したのが、「特殊な金属をワインに浸すことで急速な熟成を促す」という方法。金、銀、銅を組み合わせることで作り出した合金がスティックの先端にあり、「1秒漬ければ1年分、10秒漬ければ10年分熟成した味になる」とうたう。果たして本当なのか、現役のワインソムリエとチェックしたところ、「看板に偽りなし」の実力だった。
惜しくもグランプリは逃したものの、前述した通り、ワインをおいしくするアプローチは1つではない。ワインに空気を触れさせて熟成させる「デキャンティング」。ソムリエのデキャンティング技術やデキャンタそのものがなくても、「デキャンティング ポアラー ヴィニョン」(menu)や「マジックデキャンターセット」(Magic Decanter)は、効果的にワインに空気を取り込む機構を開発し、味に格段の違いを生み出した。
また、コルクを抜かずにワインを注ぐという驚きの発想を商品化したのが、「コラヴァン モデル2 エリート」(コラヴァン)。瓶の中に窒素を充てんすることでワインの「時計の針」を止める、こちらも魔法のような一品だ。「ワインは好きだけど弱いから、1本をちびちび飲みたい」という人には、この商品を真っ先にお薦めしたい。
このように、全商品がいずれ劣らぬ名品なのだ。このほかにも驚愕(きょうがく)のアイデアや発想力で、今までに全く存在しなかった新たな用途を提案する商品が日々生み出されている。
KaiHouse 本格かき氷器(貝印)
老舗の刃物メーカーがプライドを懸けて開発した大型かき氷器が優勝。プロ顔負けの薄く、ふわふわのかき氷は圧巻だった。
アイスコーヒーメーカー(サーモス)
「コーヒーを濃く抽出し、冷やす」というアイスコーヒー作りの鉄則をすべて自動化。粉、水、氷をセットするだけでプロの味に。
ホットサンドベーカー(アサヒ軽金属工業)
コロッケなどの分厚い具でも心配無用。通常の1.5倍の具を挟めるスグレモノでボリューム満点の極上ホットサンドが作れる。
カバートミッション アーバンアタック(グレゴリー)
「軽量」「高機能」「角形」をすべて満たし、激戦を勝ち抜いた最強のビジネスリュック。デキるビジネスパーソンなら必携だ。
Pen Case 3pockets(TOTONOE)
何の変哲もないロールペンケースの中には驚きのギミックが。表裏の概念がなく"両A面"で使える新時代のアイテム。
イージースモーカー RPD-13(サーモス)
最も深いあめ色と馥郁(ふくいく)たる香りを食材にまとわせた逸品。真空断熱技術を唯一採用した本格派の家庭用薫製器だ。
ステンレス真空タンブラー MCB-H(タイガー魔法瓶)
日本が誇る「魔法瓶の雄」の渾身(こんしん)の力作がグランプリに。飲みやすさから保温性まで非の打ちどころのない名作。
泡ひげビアー(ドウシシャ)
超音波できめ細かい泡を発生。手ごろなのに泡持ちは高級機に匹敵するほどだった。缶を"瓶ビール"にしてしまうデザインもユニーク。
クレ・デュ・ヴァン トラベル(プジョー)
若いワインに数秒漬けるだけで、味をまろやかに熟成させる魔法の一品。秘密は先端にある金銀銅の合金だった。
(日経トレンディ編集部)
[日経トレンディ2017年9月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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