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立川談笑、らくご「虎の穴」

幸福は断念した、でも不幸は嫌だ 今も送り続ける手紙 立川吉笑

2017/8/20

PIXTA

 毎週日曜更新、談笑一門でのまくら投げ。今週のお題は「手紙」ということで、今週も次の師匠まで無事にまくらを届けたい。

 小学生のころ、「不幸の手紙」を受け取ったことがある。

 ある日、登校すると下駄箱に一通の手紙が入っていた。初めてもらうラブレターかなと思いドキドキしながら開封すると、そこにはおどろおどろしい文体で、

立川吉笑さん(東京都武蔵野市)

 「この手紙を読んだ者は決まった方法で他の人にまわさなければ災いに見舞われる」

 というようなことが書かれていた。

 絶対うそと分かりながらも、やっぱり良い気持ちはしないもので、友だちに申し訳ないと思いつつ、指示されるがまませっせと不幸の手紙を書くことになった。

 同じころ、「幸せの手紙」も受け取った。

 不幸の手紙を受け取った直後だったから、下駄箱に入っているその手紙を見なかったことにして捨てようと思ったけれど、僕も不幸の手紙を量産しては友だちの下駄箱に入れ続けていたところだったから、自分が読まないのは卑怯だと思い仕方なく開けて読むと、そこには「この手紙を読んだ者は決まった方法で他の人に回したら幸せが訪れる」と書かれていた。

 必死で災いから逃れようとしていたころだったから、突如やってきた幸せな報(しら)せに胸の踊る思いがした。

 その日から、不幸の手紙を書いては、それ以上に幸せの手紙を書く生活が始まった。だれかを不幸にする手紙を書く罪悪感を幸せの手紙を書くことで中和しようとしていたのかもしれない。

 学校中で幸せの手紙と不幸の手紙が流行したから、下駄箱の前には収まりきらなかった手紙がわんさかあふれることになった。

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