V6 大人ジャニーズの世界を提示 グループで再評価
「V6を誌面で取り上げると反響がすごいらしい」――出版関係者の間で最近よく出るフレーズだ。
CDデビュー22年目の彼らは確かにここにきて再び注目度を高めている。2015年に開催した20周年ツアーはジャニーズの中でも稀に見るチケット争奪戦に。1万人ものファンが代々木体育館周辺にあふれた最終日は、会場の扉を開放し、音漏れ参戦を許可するという異例の措置が取られた。同年11月に復活した、V6が出演するバラエティー番組『学校へ行こう! 2015』は17.8%(関東)の高視聴率を記録。
どちらかと言うと近年は個人活動のイメージが強かった彼らが、グループとしての関心を高めているのは、年齢に応じたイメージ移行が成功しているからにほかならない。男性志向の作品が多い岡田准一、森田剛。生活情報や福祉番組にレギュラーを持つ井ノ原快彦、長野博、坂本昌行、三宅健。各々の得意分野で実績を作ることで、グループの新たな評価軸を得ている。
一方で、6人で作る音楽性の追求やステージの質の向上にもコツコツと打ち込んできた。そのことが20周年を境に再評価され、固定ファンを増やしているのが今だ。原点であるダンスやアクロバットを諦めない姿勢は、アイドル戦国時代の今、幅広い層から共感と尊敬を集めている。
勢いを象徴するように8月9日には4年半ぶりのオリジナルアルバム『The ONES』をリリース。収録している全楽曲のミュージックビデオを撮影するなど驚きの大ボリュームで勝負に出た。作詞作曲陣に石野卓球、秦基博、秋元康らを迎えた同アルバムは、人生の不条理さも受け入れて生きて行こうとする楽曲が目立つ。それはかつて自身が歌っていた「若者への応援歌」とは明らかに一線を画す歌世界。V6がこれから見せてくれる「大人ジャニーズ」の世界を示唆しているかのようだ。
気が付けば、ジャニーズ事務所の中で歌って踊るグループの最古参となった。この6人組は、いよいよ諸先輩たちも成し得なかった未知のフェーズに足を踏み入れようとしている。
(ライター 上甲薫、木村尚恵)
[日経エンタテインメント! 2017年9月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。