エンタメ!

エンタウオッチング

10代クリエイター、スマホ駆使 音楽や映像に新時代 エンタ界の「すごい10代」(4)

日経エンタテインメント!

2017/9/7

 ネットやSNSで世界の情報に触れられ、スマホ1台あれば、作りたい作品が作れる──そんな環境に育った10代が、音楽や映像といった分野で活躍し始めている。

『未確認フェスティバル』 TOKYO FMの10代向け番組『SCHOOL OF LOCK!』とタワーレコード、NTTドコモ、レコチョクが共催する10代限定の音楽フェス。8月27日にファイナルステージが開催され、高校2年生で16歳のリツキがグランプリを受賞した

 10代ミュージシャン発掘の場の1つとなっているのは、毎夏に開催される10代限定の音楽フェス「未確認フェスティバル」だ(2014年までは「閃光ライオット」名義で開催)。

 「閃光ライオット」時代から、ねごとやGLIM SPANKYら、メジャーデビューを果たしたバンドを多数輩出。現在オンエア中の資生堂「アネッサ」CMソングなどで話題を集める、19歳のラッパー「ぼくのりりっくのぼうよみ」も14年のファイナリストだ。

 「未確認フェスティバル」に変わってからも、初代グランプリを獲得したShout it Outがドラマ『ニーチェ先生』(16年)の主題歌を担当。昨年グランプリのYAJICO GIRLは別のコンテストでもグランプリを受賞するなど、今最もメジャーデビューが期待されるバンドと言われる。

 「未確認フェスティバル」を運営するTOKYO FM・編成制作局長の森田太氏によると、「ここ3年で、応募作品のクオリティーは格段に上がっている」という。「iOSならば、音楽制作アプリ『GarageBand』が無料で使え、楽曲制作のハードルが低くなっています。そして、今の10代はネットで世界中の多種多様な音楽に触れて育ってきた。例えばYouTubeなら関連動画が次々に表示され、好きなジャンルの情報をとことん深掘りできる。コンテスト参加者は、好きな音楽を追求している印象があります」。

 森田氏は昨今の特徴として、音源だけでなくプロモーションビデオも自ら制作して応募する参加者が多数現れている点を挙げる。「YouTubeなどで情報を得る10代は、映像と音楽はセットという感覚があるのでしょう。映像も、そのまま音楽番組でオンエアできるほどのクオリティーで驚いています」(森田氏)。

■世界から注目される19歳

 映像制作のハードルを下げたのも、スマホの普及が大きい。そう語るのは、映像フェスティバル「DigiCon6 ASIA Awards」(以下、デジコン6)を主催するTBSのゼネラルプロデューサーの大山寛恭氏だ。「デジコン6は2000年からスタートしましたが、当時の映像制作は高額のソフトや高性能のパソコンが必須でした。今はスマホがあれば、誰でも手軽に動画が作ることができます」。

 デジコン6では15年から、18歳以下を対象とした「DigiCon6 JAPAN Youth」をスタートした。「ちょうどユーチューバーが注目された頃。スマホが普通にある時代の若者がどんな映像を創るのか見たいと考えました」(大山氏)。

 その第1回に、コンテスト事務局を驚かせる作品の応募があった。当時17歳の高校生だった水越清貴が制作した『故障中』だ。同作は、実物さながらの精巧に作られたジオラマを舞台に、ロボットを動かして1コマずつ撮影。水越は、コマ撮りや映像編集の技術をすべて独学で身につけたという。そのクオリティーは「アニメーション業界を引っ張っていく1人」と注目を集めており、2017年6月には、イギリスの大手アニメーションスタジオから声がかかり単身渡英、インターンとして、ストップモーションアニメーション映画の制作に参加している。

 ちなみにこれまでの最年少の応募者は、なんと5歳。警察と泥棒の追いかけっこをLEGOで表現し、スマホのカメラでコマ撮りした作品だという。「物心つく前からスマホに触れてきた子たちが出てくるのはこれから。その子どもたちがどんな作品を創るのか、非常に楽しみです」(大山氏)。

 小説の分野でも、2017年の夏からKADOKAWAが高校生を対象にしたコンテスト「カクヨム甲子園」を開催している。デジタルネイティブ世代の新たな表現を発掘する動きは、様々なジャンルで続きそうだ。

(ライター 横田直子)

[日経エンタテインメント! 2017年9月号の記事を再構成]

エンタメ!新着記事

ALL CHANNEL