ファッションなどのトレンドを情報収集する際に、10代がよく利用するのがSNS(交流サイト)。なかでも影響力があるのが雑誌専属モデルのTwitter(以下、ツイッター)とInstagram(以下、インスタ)だ。それぞれのフォロワー数を調べたところ、インスタは藤田ニコル、ツイッターは広瀬すずが1位となった。
2017年4月にジャストシステムが実施した調査によると、10代が情報収集の際に最も多く利用するサービスは「ツイッターなどのSNS」が69.4%で、「Googleなどの検索エンジン」(54.1%)を抑えてトップだった。今、SNSは10代の貴重な情報源になっている。
SNSで多くのフォロワーを抱え、世間に与える影響力が大きい人物は「インフルエンサー」と呼ばれる。10代で影響力を持つインフルエンサーと言えば、ファッション誌の専属モデルだ。そこで、10代雑誌専属モデルのツイッターとインスタのフォロワー数の順位を調べた。
インスタで1位となったのは、8月に開催されたイベントで『Popteen』モデルを卒業したばかりの藤田ニコル。インスタのフォロワー数は唯一100万人超え、ツイッターでも192万人以上のフォロワーがいる。藤田はツイッターでは、ファンに話しかける投稿が目立つ一方、インスタでは私服やオフショットを載せ、使い分けも明確だ。また、ジムに通う姿など日々の努力をファンに見せ、共感を得ている。
ツイッターの1位は、『Seventeen』モデルの広瀬すず。なんと300万人以上のフォロワーを抱えている。話し言葉で短文のつぶやきは、等身大の10代の女の子の姿だ。広瀬は、6月にインスタのアカウントも開設し、こちらも1カ月でフォロワー数は33万人を超えた。その他、玉城ティナ、永野芽郁、飯豊まりえなど、女優を兼業する人物がインスタ、ツイッターともに上位に入った。
自身も19歳で、10代の動向に詳しいAMF代表取締役の椎木里佳氏は、この2つのSNSには違いがあると語る。AMFでは総勢80名の女子中高生で組成される「JCJK調査隊」を率い、10代のマーケティング調査などを行っている。「ツイッターは文字中心で、言葉のセンスやキャラクターが発揮できる場。一方、写真がメインのインスタは、ファッションセンスに優れた人が人気を集める傾向です」。
ランキングを読み進めると、両サービスの特性が見て取れる。インスタでは、パリコレでも活躍する松岡モナや、小学生の頃から『VOGUE JAPAN』などで注目されていたMappyら、モード系のモデルがランクインする。世界を舞台に活躍する松岡のインスタは、オフショットすらスタイリッシュで、英語で投稿されているところも非日常的だ。
一方、ツイッターのみ15位以内にランクインするのは、土屋怜菜や徳本夏恵という『Popteen』専属モデルの2人。徳本は、男子モデル・那須泰斗とのカップル写真を多く投稿しており、同世代女子の親近感を集めているようだ。
専属モデル以外の注目インフルエンサー
雑誌専属モデル以外にもSNSで多くのフォロワーを抱える10代タレントは多い。AKB48とHKT48のメンバーを兼任する宮脇咲良や、女子中高生からの支持を集めるシンガーソングライターの井上苑子は、インスタとツイッターともにフォロワー数が多い。元『RANZUKI』専属モデルで、最近は女優としても活躍している田中芽衣のフォロワー数の多さも目立つ。E-Girlsのメンバーで女優としての評価も高い石井杏奈は、インスタのみを使用。一方、女優の橋本環奈はツイッターのみ。それぞれのSNS戦略の方向性に違いがあるようだ。
(ライター 横田直子)
[日経エンタテインメント! 2017年9月号の記事を再構成]