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書店員がおすすめ この夏読むべきビジネス書8冊

2017/8/11

青山ブックセンター本店の益子陽介さんおすすめは「Airbnb Story」と「人生の勝算」

 ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回はいつもと趣向を変えて、定点観測している書店のビジネス書担当者に、夏休みに読んでおきたいビジネス・経済書をおすすめしてもらった。新刊にこだわらずそれぞれ2冊選ぶようにお願いしたところ、直接ビジネス力を高める本から、自身の向上心に火をつける本まで、多彩な本が集まった。夏の読書の参考にしてほしい。

■エアビーアンドビーの創業ストーリー

 今回は、この4月から準定点観測書店に加わってもらった青山ブックセンター本店のビジネス書担当者、益子陽介さんにも選本をお願いした。その益子さんが選んだ1冊は、今年5月刊行のリー・ギャラガー『Airbnb Story(エアビーアンドビー・ストーリー)』(関美和訳、日経BP社)。米ビジネス誌「フォーチュン」の編集者が民泊サービスのエアビーアンドビーの創業プロセスに迫ったビジネスノンフィクションだ。

 「読みどころは創業の物語がそのまま創業者たちの成長ストーリーになっているところ」と益子さん。エアビーアンドビーの創業者はデザイナー2人にエンジニア1人。ビジネス経験がほとんどないところから、行き当たりばったりの起業がスタートする。3人の間での対立や次々と起こるトラブルを乗り越えていく展開は読み物としてもおもしろいが、「創業者たちの学習する姿勢が何より刺激になる」。「何かを始めたい人にすすめたい一冊。若い人だけでなく、何か新しいキャリアに挑戦したいと考えている人にも読んでもらいたい」と話す。

 益子さんが選んだもう1冊は、前田裕二『人生の勝算』(幻冬舎)。6月刊行の新刊で、著者はライブ動画配信サービスの「SHOWROOM(ショールーム)」を立ち上げた起業家。「成長ビジネスの勘所を余すところなく語った本。著者の起業家としての勢いが伝わってくる」とは、益子さんの推薦の弁。「路上ライブで足を止めてもらう工夫をしてきた体験が原点となって、SHOWROOMのコミュニティーサービスというビジネスの核が一つの人生哲学として語られていくところがおもしろい」という。

■星野リゾート「教科書通り」経営のケーススタディー

八重洲ブックセンター本店副店長の木内恒人さんは「星野リゾートの教科書」と「崖っぷち社員たちの逆襲」をすすめる

 「起業家や経営者の本を読んでおくといい」と、八重洲ブックセンター本店副店長の木内恒人さんも言う。ただし、ビジネス書担当歴が長いだけに、少し前に刊行された掘り出し物を探し出してくれた。そのうちの1冊は、2010年刊行の中沢康彦著・日経トップリーダー編『星野リゾートの教科書』(日経BP社)。この7月に23刷が出ているから、隠れたロングセラーといっていいだろう。

 「一流の経営学者が緻密な研究によって導き出した理論に基づいて考え抜き、確信を持ってビジネスを実践する。それが星野社長の経営である」と前書きにある。星野リゾートの多彩なビジネス展開をケーススタディーに、「抱えていた課題」をどんな本の理論を使って解決に取り組んだか、他分野へはどのように応用できるかを整理してみせた本だ。起業家本人の著作ではないが、本人の思考プロセスに分け入って記述しているのがポイントで、理論を課題解決の実践につなげる思考と行動が手に取るようにわかる。星野佳路社長のネタ本は30冊。「マイケル・E・ポーターの『競争の戦略』など、戦略、マーケティング、リーダーシップの名著のガイドブックにもなっていて、本や理論の生かし方が具体的によくわかる」と木内さんは言う。

 もう1冊は小島俊一『崖っぷち社員たちの逆襲』(WAVE出版)。こちらは2016年4月刊行の小説仕立ての企業再生物語という異色のビジネス書。著者の小島氏は週刊ダイヤモンドの2016年「地方『元気』企業ランキング」で1位になった徳島県の書店チェーンの社長だ。「小説なのに、損益計算書や貸借対照表の読み方から、マーケティングの基本、コーチングなど人を生かす人材活用法までが身につくところがおもしろい。ストーリーも意外なほどちゃんと読ませる」と木内さん。こちらは気楽に読めて学べる点がポイントだ。

■話題のビジネス教養書『サピエンス全史』もおすすめ

リブロ汐留シオサイト店店長の三浦健さんのおすすめは「サピエンス全史」と「バブル 日本迷走の原点」

 リブロ汐留シオサイト店店長の三浦健さんのおすすめは、王道の近刊ベストセラーから2つ。1つが2016年9月刊行のユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史』(上下巻、柴田裕之訳、河出書房新社)。人類史を認知革命、農業革命、科学革命を軸に解き明かしたイスラエルの歴史学者による大著で、4月にビジネス書大賞2017を受賞するなど、息の長いベストセラーになっている。もう1冊は、新刊のときにこのシリーズでも紹介した永野健二『バブル 日本迷走の原点』(新潮社、参考記事「『80年代バブル検証本』が東京・大手町で売れる理由 」)。80年代後半に沸騰するバブル時代を多彩な主役脇役を登場させながら歴史的に回顧・検証した本だ。「どちらも少し長い休みにじっくりと読むのにふさわしい。人類はこれからどこに向かうのかを考えたり、今につながる少し前の時代の失敗を見つめ直したりしたり、目の前の仕事から一歩引いたところで思索をめぐらせてみては」というのが三浦さんの提案だ。

紀伊国屋書店大手町ビル店の西山崇之さんのおすすめは「いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン」と「プライベートバンクの嘘と真実」

 紀伊国屋書店大手町ビル店の西山崇之さんのおすすめは、大塚雄介『いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)と篠田丈ほか著『プライベートバンクの嘘と真実』(幻冬舎)。ビットコイン取引アプリ会社の共同創業者がビットコインとそれを支えるブロックチェーンという技術やフィンテックの広がりについて解説した本と、本場スイスのプライベートバンク経営者らがその実態を語った本だ。

 それぞれ17年3月刊、同5月刊と、いずれも近刊からの選択だが、「職場から離れているときこそ、勉強のチャンス。いまさら聞けないような知識やビジネスの裏側の知識などを仕入れて、キャッチアップしておくのがいい」と西山さんはおすすめの理由を話す。

 話題の本もあれば、隠れたロングセラーもある。読み逃していた本や気になった本があったら、ぜひ手にとってほしい。

(水柿武志)

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