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立川談笑、らくご「虎の穴」

談笑師匠に弟子入り志願の手紙 届いていたら大惨事に 立川笑二

2017/8/13

PIXTA

 師匠と兄弟子の吉笑とともにリレー形式で連載させていただいている、まくら投げ企画。26周目。今回の師匠からのお題は「手紙」。

 私は2011年の5月3日に師匠談笑の下に弟子入りを志願し、これが許されたことで今日があるのだが、その半年ほど前。10年の12月に、師匠ではない、ある落語家に弟子入り志願をしようと手紙を書いたことがある。

 今回はそんな、運命を分けた手紙のお話。26周目、えいっ!

 私は09年に同級生の友だちとともに地元沖縄から大阪に出て、よしもとクリエイティブエージェンシーの養成所に通っていた。しかし、一緒に漫才で天下を取ろうと誓ったはずの相方が早々に沖縄に帰ってしまったことでピン芸人となり、ピン芸人でやるなら元々漫才と同じぐらい好きだった落語をやりたいと、落語家になることを決意した。

 ピン芸人として活動をしながら、1年ほど誰に弟子入りすべきかを考えて過ごし、東京の落語家(仮にA師匠とする)に入門することを決めた。

 A師匠は「もっともチケットの取れない落語家」といわれている超売れっ子で、私はその師匠が出されているCDの「紺屋高尾」という演目の落語を聴いて心をわしづかみにされてしまっていた。

 そんな10年の12月にA師匠が大阪で独演会をやられると知った私は、そこで弟子入り志願に行くことにした。

 しかし、弟子入り志願に際しての正しい手続きがどういうものなのかが、よく分からない。グーグルで「落語家 弟子入り 方法」と検索しても、「ツイッターで弟子入り志願をするのは好ましくない」という情報くらいしか得られなかった。

舞台袖から学ぶ立川笑二さん(東京都武蔵野市) 

 当時の私には、一度でも落語家に弟子入り志願をすると「その人以外の落語家に弟子入り志願をするのは許されない」という考えがあった。「あなたの芸にほれました。生涯ついていきます。弟子にしてください」と口にして、断られたら他に行く。これは駄目だろうと。何度断られようが、その人以外の所へは行ってはいけないだろうと思っていた。

 それだけに、たとえ1度目の弟子入り志願で断られたとしても、嫌な印象を与えてはいけないと、ベストな弟子入り志願を考えに考えた。その結果、終演後に楽屋口で出待ちをして手紙を渡すという無難な方法に落ち着いた。

 失礼のないようにと細心の注意を払い、何度も書き直しながら思いの丈を手紙に込めた。そうして書き上げた手紙を、当時お世話になっていた関西の大御所漫才コンビの台本を書いている作家の先生に、読んでいただくことにした。

 我ながら「よく書けているのではないか」と思っていたのだが、手紙を読んだ作家の先生からは「こんなやつ、弟子に取るわけないやろ」と一蹴されてしまった。

 そのころの私はピン芸人としての仕事の都合上、11年の3月末まで大阪にいなくてはいけなかったので、4月に上京し、それから入門させていただこうと考えていて、その旨を手紙に記していたが、それがいけないのだという。「お前が東京に出てくるまで、なんで師匠が待たなあかんねん。何様のつもりや」との指摘を受けて、ようやく自分の至らなさを思い知った。

 弟子入り志願をするからには、その日からでも下働きをできる状態で臨まなければならない。コネもツテもなしに上京して、それから志願をするべきだということを教えていただいた。

 そんな経緯で、私はA師匠の独演会後に出待ちをすることもなく、手紙も渡さずじまいとなった。

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