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ビジネス英語・今日の一場面

それは逆効果! 日本人が避けたい3つのおねだり英語 デイビッド・セイン「影の英語」(40)値下げを要求する

2017/8/10

 ひとつの言葉は様々な顔を持っています。日本人の言葉が意図していない意味合いで伝わることもあります。日本人向けの英語教育で豊富な経験を持つデイビッド・セインさんが、日本人が使いがちな言葉から「影にある意味」を紹介します。今回は、値下げを要求する場面です。

◇  ◇  ◇

 何かを買うのであれば高いよりは安い方がいい。そればビジネスの場面でも私生活でも同じことです。値引きなど、ことお金に関わる話題は上手な表現を使わないと、あからさまな感じがしてしまいます。日本人ならほとんどの人が知っているDiscount, please. は使っていいの?いけないの? とにかく上手に話を進めたいものです。

▲Discount, please.
正しい訳:安くしてください。
影の意味:1円でもいいから安くして。

 海外のお土産物屋さんで誰しもが一度は使ったことのある表現だと思いますが、上品な響きはありません。「何が何でも安くして」の意味。もちろんビジネスに使うことはないと思いますが。

▲I want a discount.
正しい訳:安くしてほしいです。
影の意味:安くしてくれ!

  I want …は「~が欲しい、~をくれ」というニュアンスの直接的な表現です。子供が親に何かをねだるときによく使われる表現です。

▲Aren't you going to give me a discount?
正しい訳:安くはできないでしょうか?
影の意味:え? 安くもしてくれないの? ひどいですね。

 Give me a discountは、私に割引をください、すなわち「値下げしてください」の意味。これも直接的すぎる表現です。日本語の「~できないでしょうか?」という表現は必死さが伝わりますが、英語では否定での問いかけは相手に無用なプレッシャーや押し付けられたような気持を与えます。日本語の語感と英語の語感が時として違うことを意識しましょう。

これなら「影の意味」はない!

◎A 10 percent discount would seal the deal.
 10%安くしていただければ今決めることができますが。

 10 percent discountは「10%の値引きがあれば」の意味で主語になっているため不定冠詞のa が必要になります。A 10 percent discount would …は「仮定法」。このような場面で仮定法を使うのはなかなか効果的です。

* seal the deal:契約を結ぶ、取引を決定する

◎We would like to do business with you, but we need a 10 percent discount.
 弊社としましては御社とお取引きしたいと思っておりますが、(それには)10%のお値引きが必要です。

 ビジネスには双方の気持ちがあります。一方的に要求するよりも、まずは「御社と取引をしたい、商売をしたい」と伝えてから、こちらの立場を伝えれば、相手が受ける印象はずっと違ってきます。

◎If we order 3,000 parts, could you give us a 10 percent discount?
 もし3000部品を注文したら、10%のお値引きをしていただけますか?

 ビジネスはウィン‐ウィンの関係がベストです。10%の値引きが必要であれば、こちらからも譲歩する姿勢を見せましょう。

あなたが知らない本当の意味―― discount

discount のdis は「否定」を表す接頭辞です。 discount には最も知られている「割引する」以外にも「無視する、軽視する」などの意味があります。

I can only afford to stay at a discount hotel. 格安ホテルにしか泊まれないんです。

*discount hotel:格安ホテル この場合のdiscountは「割引価格の、格安の」という意味の「形容詞」です。 afford to:~する余裕がある、~支払うことができる

If you buy it now, you can get a deep discount. 今お買い上げになれば、大幅値引きがあります。

*この場合のif …は「仮定法」ではなく条件を表しています。

get a deep discount:大幅な値引きが受けられる、すなわち「大幅な値引きがある」

Could you give us a quantity discount? 数量値下げはありますか?

*quantity discount:数量値下げ、「多く買えば値引きする」の意味。 volume discount とも言います。

To reduce our inventory, we'll have to sell these parts at a discount. 在庫を減らすには、これらの部品を値引き販売する必要があるでしょう。

* sell ~ at a discount:~を値引き販売する

Let's try a limited-time discount to increase sales. 売上増加のために期間限定割引をやってみましょう。

* time discounting: 期間限定割引、時間割引

We already have discounted the effect of rapid depreciation of the yen. 私たちは急激な円安の影響を見越していました。

*この場合のdiscountは「斟酌する、あらかじめ考慮に入れておく」の意味になります。

depreciation of the yen:円安    appreciation of the yen:円高

It's dangerous to completely discount this risk. このリスクを完全に無視するのは危険です。

*completely discount this risk: この噂を完全に無視する

I think we need to discount information on him. 彼に関する情報は割り引いて考える必要があると思います。

*discount: 割り引いて考える、軽視する、無視する

We shouldn't discount the need to communicate with our clients. 私たちはクライアントとのコミュニケーションの必要性を軽視するべきではありません。

*discount the need to: ~する必要性を軽視する

I think we can discount the rumors that ABC will go bankrupt. ABC社が倒産すると言う噂は眉唾だと思います。

* discount the rumors of:~の噂は眉唾だと思う、~の噂は割り引いて聞く

 日本語でも「非」「否」「無」などのように否定を表す言葉がありますが、英語も同じでin, un, dis, non など様々な否定を表す接頭辞があります。

 例えば、ビジネスでよく使われるdisclosureとは「情報開示、情報公開」の意味になりますが、他にも「暴露、露見、発覚」などの意味があります。これはdisclose 「公開する、発表する、暴露する」などの意味を持つ動詞の「名詞」になります。close「しまっておく、見えなくしておく」ことを否定する意味になります。同じような使い方には discover があります。cover「蓋をしておく、覆っている」ものの蓋を外すと「発見する」ことになります。 agree 「賛成する」 とdisagree「反対する」も同じ。以下が代表的なものです。

advantage 「有利」        disadvantage 「不利」

appear 「現れる」         disappear 「消える」

connect 「つなげる」       disconnect 「接続を断つ、連絡を断つ」

honest 「正直な」         dishonest 「不正直な」

integrate 「統一する、まとめる」 disintegrate 「崩壊させる、バラバラになる」

obey 「従う」           disobey 「従わない、背く」

satisfy 「満足させる」      dissatisfy 「不満を抱かせる」

trust 「信頼する」「信頼」    distrust 「信頼しない、不信感を持つ」「不信、疑惑」

 またcourage「勇気」のような名詞が discourage 「落胆させる、やる気をそぐ」のような動詞になることもあります。

 このようにセットで覚えると楽に語彙を増やすことができるでしょう。

Have a nice day!

:D セイン

デイビッド・セインの「ビジネス英語・今日の一場面」は木曜更新ですが、8月17日は休載します。次回更新は8月24日の予定です。

デイビッド・セイン David Thayne
 米国出身、20数年前に来日。 翻訳、通訳、執筆、英語学校経営など活動は多岐にわたる。企業や学校の人気セミナー講師。英語関連の出版物の企画・編集を手掛けるAtoZ(http://www.atozenglish.jp)・AtoZ 英語学校代表。

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