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チケット買い占め高額転売 ネット規制は道半ば

2017/8/8

人気のチケットを手に入れるのは難しい

 手に入らなかった人気のコンサートチケットがインターネットで高額で転売されていて悔しい思いをしたことはありませんか。チケットの高額転売はファンが楽しむ機会を奪うほか、やむなく転売市場で入手する人に割高な負担を押しつける問題を生んでいます。

 ネットでチケットが買えるようになったことで、自動で大量に購入するプログラムが使えるようになりました。そして、手軽に転売ができるサイトも登場したことで、買い占めたチケットを高額で転売する人たちが現れました。

 業界団体コンサートプロモーターズ協会の石川篤総務委員によると、6000枚発行したチケットのうち2000枚が転売サイトに出品されたこともあるそうです。転売サイト「チケットキャンプ」の運営会社の推計では、日本の転売市場は2016年時点で600億円規模に達しています。

 チケット販売会社は買い占めと転売を防ごうと本人確認を徹底する対策に乗り出していますが、まだ手探りです。イープラスは携帯電話番号を使って確認する仕組みを導入しましたが、「電話番号での確認システムは破る方法がある」(石川氏)との指摘もあります。ぴあは総務省とマイナンバーカードを使った確認の仕組みを開発していますが、そもそもカードがあまり普及していないのが難点です。

 海外では法律で取り締まる動きがあります。米国では人気チケットの60%がプログラムによって買い占められているとの推計もあり、16年にプログラムを利用してチケットを大量に買うことを禁止する法律ができました。英国でも同様の規制の動きがあります。

 日本では公共の場所で転売目的にチケットを売買することは各都道府県の迷惑防止条例で禁止されています。ただし「条例は路上での迷惑行為を防止するためのものなので、ネットでチケットを売買することは規制していない」(転売問題に詳しい田上嘉一弁護士)状況です。国政レベルではライブ・エンタテインメント議員連盟が「ネットでの売買にどんな規制が適切かを議論している」(事務局長の山下貴司衆院議員)という段階です。

■コンサートプロモーターズ協会の石川篤総務委員「チケット代の見直しも選択肢」

 音楽業界はどんな対策を考えているのでしょうか。コンサート主催者団体であるコンサートプロモーターズ協会の石川篤総務委員に聞きました。

 ――音楽業界にとって高額転売にはどんな問題がありますか。

コンサートプロモーターズ協会の石川篤総務委員

 「転売サイトで高額のチケットを買わなければいけないとファンは使える予算が減ってしまう。しかも転売の利益は音楽業界には入ってこない。ファンがコンサートに行ける回数が減り、グッズなどを買うお金が減り、音楽業界の売り上げも減る」

 ――本人確認が徹底できれば転売は防げますか。

 「本人確認のシステムを導入するための投資額が問題になる。コンサート業界は、演劇やクラシックを除くと、約3500億円の市場規模だ。実はここに100社近い会社がいる。1社あたりの規模が小さく、大きな投資ができない。ぴあなどのチケット販売会社とも協力しながら進められたらと思う」

 ――はじめから高額で売れば音楽業界の利益も増えるのではないでしょうか。

 「音楽は中学高校のころにファンになってくれる人が多い。例えばすべてのチケットを10万円で売るとなると、中高生には手が届かない。そもそもアーティストには、転売業者と同じ値段で売りたくない、できるだけ平等に楽しんでほしい、という気持ちがある。アーティストは人気商売なので、結局カネかよ、と言われることは避けたい」

 ――今後はどんな対策をとりますか。

 「席によって値段を変えることはありえる。ファンの中には後ろの席でもいいから安値でコンサートを見たいという人もいる。今はどの席も同じ値段で、そういうファンには選択肢がない。その選択肢を与えるサービスを転売が補っている。業界内で話し合って決めることだが、私たちも取り入れなくてはならないサービスだということになるだろう。ただし、そういう売り方が当たり前の海外でも規制する法律ができた。売り方だけでなく、法律や本人確認も組み合わせて対応していきたい」

(久保田昌幸)

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