南米スタイルの気持ちよさ ハンモックのある夏の部屋
蒸し暑い季節がやってきました。この時期を快適に過ごすのにぴったりなリラックスアイテムがハンモック。木陰につるして昼寝をする、というイメージがあると思いますが、最近は室内に設置する人が増えているそうです。そんな最近のハンモック事情にせまります。
日本の気候にぴったり 室内で使う人が増加
「ハンモックは、南米の熱帯地方で誕生した寝具です。気温が高い中で少しでも快適に過ごすために生まれたハンモックは、実は高温多湿の日本の気候にとてもマッチしたアイテムです」。そう話すのは、ハンモック専門店「Hammock2000」(東京・世田谷)のオーナー、三浦昌史さん。
「少し前まで、ハンモックというとアウトドアで使用する人がほとんどでした。しかし5年ほど前から、リラックスできて寝具にもなるハンモックを屋内で使いたいという人が増え、特にここ2、3年で定着してきました。企業でも休憩スペースに取り入れているところがあるようです」(三浦さん)
「家の設計図を店まで持ってきて、『ここにハンモックを設置したいんですが大丈夫ですか?』と聞くお客さんもいます。他にも、マンションで『ハンモックがある部屋』を売りにするため、管理人が部屋の数だけハンモックを購入していったこともあります」(Hammock2000ショールームスタッフ)
ハンモックを使用するには壁に金具を取り付ける必要があるため、家の新築やリフォームの際にあらかじめ計画に入れる人が多いようです。
「メキシカン」「ブラジリアン」の2種 季節によって使い分けも
ハンモックには大きく分けて「メキシカンハンモック」と「ブラジリアンハンモック」の2種類があります。
メキシカンハンモックは、寝そべる部分がネットになっているタイプ。通気性に優れており、夏場の寝苦しさを解消したいという人におすすめです。ネットが適度に伸縮するため、体によくフィットします。
ブラジリアンハンモックは、寝そべる部分が厚手の生地になっているタイプ。風は通しにくいですが、肌触りがよく、包まれているような安心感があります。メキシカンハンモックに比べ、より安定感があるのも特徴です。
体温の熱がこもりやすい敷布団が不要なので、寝ている間はエアコンを使いたくない人にもおすすめだとか。「夏は風通しのよいメキシカン、それ以外の季節はブラジリアンと使い分ける人もいます」(三浦さん)。ハンモックの揺れによって入眠が早くなり、睡眠の質が向上するという研究結果も2011年にスイスとフランスの科学者チームによって発表されています。
インテリアとしてもおしゃれ 空間の有効利用にも
寝心地のよさ以外に、ハンモックには「空間を有効に利用できる」という利点があります。
「リビングやテラスなどに設置する家庭も多いですが、使用しないときは片方のフックからひもをはずし、もう片方のフックに掛ければ簡単にスペースを空けられます。また、メキシカンハンモックなら約2kg、ブラジリアンハンモックでも約3kgと軽量なので、扱いが楽です。自宅で洗濯もできます」(三浦さん)。ベッドやソファのスペースを省きたいという人や、他の家具のようにペットに傷をつけられる心配がないからとハンモックを購入する人もいるそうです。
室内使用の需要が増えたことからインテリアとしても注目されています。30種類以上のデザインのハンモックを扱っている専門店もあり、チェアタイプやスタンド式など、スペースや生活シーンに合わせたハンモックも登場。ハンモックを設置したカフェや美容院は多くの女性客でにぎわっています。
マンションでの使用は難しい場合がある
前述したように、ハンモックの設置には柱や梁(はり)に専用の金具を取り付ける必要があり、取り付けには基本工賃1万5000円程度(交通費別途)、金具代3000円程度(設置数により異なる)がかかります。
しかし多くのマンションでは柱やはりは共有部分とされ、工事ができないケースがあるそうです。また、はりの場合はロープを巻き付けての使用も可能ですが、こちらも負荷に耐えられない場合があります。マンション住まいで購入を検討している場合は、管理会社への確認が必須です。
スタンド式のハンモックもありますが、「寝心地は通常のハンモックのほうがよく、スタンドの分だけ場所も取ってしまう」(三浦さん)ため、購入者はそれほど多くはないそうです。
ハンモックの利用者が増えたため取扱店が増えた一方で、種類の少ない店やアウトドア用ハンモックしか取り扱っていない店もあり、注意が必要です。
夏を快適に過ごせて、女性にも扱いやすいハンモック。おしゃれなインテリアとしても、一度試してみる価値はありそうです。
(ライター 二川智南美=かみゆ)
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。
関連企業・業界