BOSEの360度スピーカー 1カ月で手放せなくなった
「音楽を聴くのは通勤中か車の中だけ」という女性が、BOSEのBluetoothスピーカー「SoundLink Revolve Bluetooth speaker」を使ってみた。すると再び自宅で音楽を聴くようになったという。360度スピーカーの何が魅力だったのか。
見た目はすてき。でも本当に使うのか
今回使ったのは、BOSEが4月28日に発売した「SoundLink Revolve Bluetooth speaker」。スマートフォン(スマホ)やパソコンとBluetoothでつながる小型のスピーカーだ。円筒形のボディーには、向かい合わせに配置された2基のパッシブラジエーターと下向きにセットされたトランスデューサー、音響デフレクターなどが入っていて、周囲360度に音が広がるという。実売価格は2万5000円だ。
見た目は「いかにもスピーカー」という主張がなくてすてき。特にシルバーは明るい色なので、リビングやテーブルの花瓶の隣などに置いても邪魔にならなさそうだ。久しぶりに「欲しいかも!」と思った。
ただ、問題は本当に使うのかどうか。というのも、筆者は最近、すっかり音楽を聴かなくなってしまった。こういうと正確でないかもしれない。通勤中は電車で聴くし、車の運転中も聴く。好きなアーティストは何人かいて、ライブには年間4、5回は足を運ぶ。要は、自宅で音楽を聴かなくなったのだ。これで音楽、聴くだろうか?
自宅になかった「今どきの音楽環境」
そもそも、どうして自宅で音楽を聴かなくなってしまったのか――改めて考えてみると、「今どき」の聴取環境に、自宅だけが取り残されているからだと気づいた。
もともと「音楽好き」というほどではないけれど、スマホには十代で聴き始めたものも含めて数百曲が入っている。今となっては音源はこれがメイン。通勤中はワイヤレスイヤホン、車の中はFMトランスミッター(筆者の車は古いので、スマホからカーオーディオに直接出す端子はないのです)を使って聴いている。
じゃあ自宅はどうかというと、あるのは十代のときに奮発して買ったコンポだけ。この数年はコンセントを抜いたままだ。以前はパソコンで作業しながらヘッドホンで聴くこともあったけれど、ちょっとした調べものやメールのやりとりがスマホで済むようになって、家でパソコンの前に座ること自体が減ってしまった。4000円くらいで買ったBluetoothスピーカーもあるけれど、音がチャカチャカしていてあまり好きじゃない。どうしても聴きたいときは、リビングのレコーダーでライブDVDを再生しているくらいだ。
接続手順は超簡単
SoundLink Revolve Bluetooth speakerを自宅に持ち帰って、まずはスマートフォン「honer 8」とBluetoothで接続してみた。スマホとつながると、ものすごく美しい英語発音で「"honer 8"(オナエッ)に接続しました」と言われたのでビクッとした。
早速音楽を再生してみた。さすが、安物のBluetoothスピーカーと音が違うのは音楽音痴の耳でも分かる。テーブルなど硬い台の上に置いておくと、低音がよく響く。逆に「響きすぎるな」と思うときには、デジカメ用のミニ三脚をつけて、少し持ち上げるといいかもしれない。
室内を快適にウロウロ
さて、実際に使い出してみると、その快適さは想像以上だった。一般的なBluetoothスピーカーと大きく異なるのは、やはり音が360度に広がることだ。
筆者の場合、休日は部屋の片付けや掃除などでウロウロしていることが多い。一般的なスピーカーでは音は前に向かって出るので、スピーカーの前を離れると音が小さく感じたり、明後日の方向に音が出ているのが無駄な気がしたりして、再生を止めてしまうことも多かった。だが、SoundLink Revolveの場合は、多少正面から外れても音がほとんど変わらない。行動範囲の真ん中に、SoundLink Revolveを置いておけば、スピーカーの位置を気にせず音楽を流していられる。
台所など、別の部屋で作業するときは、スピーカーとスマホを持って移動する。片手でつかめるサイズなので、持ち運びは楽だし、防滴なので水回りでも心配なしだ。
SoundLink Revolveの場合、Bluetoothで同時につながる機器は2台までだが、登録できるのは直近につないだ8台まで。そこで、調子に乗って、もう1台持っているiPhoneやデスクトップパソコン(Bluetoothドングルを使用)、モバイルノートも登録しておいた。筆者はよく聴く楽曲をGoogle Play Musicにアップロードしてあるので、Google Play Musicを使えば、どの機器からでも楽曲を再生できる。登録されている機器同士なら切り替えも想像以上にスムーズだった。
しかも、SoundLink Revolveはスマホの着信を受けられる。電話が掛かってくると「090-XXX-XXXX」というように着信した電話番号を読み上げる。上面にあるマルチファンクションボタンを押すと、再生されている音楽は止まり、内蔵マイクで電話の相手とSoundLink Revolveごしに話ができる。マルチファンクションボタンを押すと電話が切れて、再び音楽が流れ始めるという具合だ。
あらかじめ分かっていたけれど、使ってみるととても便利。音楽を聴いているとスマホの着信に気づかないことがあるのだが、「SoundLink Revolveなら、音楽を再生しているときのほうがスマホの着信に気づくな!」と感じた。
スペック上のバッテリー駆動時間は12時間だから、バッテリー切れの心配もほとんどない。電源を入れるたびに「バッテリー残量○%」と読み上げるので、「ああ、バッテリーが少なくなってきたなぁ」と思ったら充電するようにしている。
「オッケー、グーグル」も試してみる
SoundLink Revolveは、内蔵マイクを使ってiPhoneのSiriやAndroidのGoogle Nowを操作する機能も備えている。スピーカーのマルチファンクションボタンを長押しすると、Bluetoothで接続されているスマホのSiriやGoogle Nowが起動する。
Google Nowで試してみたところ、実用性が高そうなのはアラームやタイマーだ。「○分後にタイマーを設定して」「○時にアラームをセットして」と話しかけて設定しておけば、決まった時間にスピーカーからアラーム音が鳴る。アラーム音を止めるにはスマホを操作しないといけないのが難点だが、音楽を聴きながら料理をするときなどは便利かもしれない。
メールの送信もできるが、こちらの実用度は今ひとつ。ごく短いメッセージは別として、正しく入力できているか画面で確認しないと不安になるからだ。
クルマの中での使用は断念
家の中が快適なので、クルマの中でも使えないか試してみた。前述のように、筆者はFMトランスミッターを使っているのだけれど、いつも使っているSoundLink Revolveをクルマの中に持ち込んで、スマホの音楽を流せたら、その方がずっと便利だからだ。「しかもこの円筒形、クルマのカップホルダーに収まるんじゃないの?」。
意気揚々と愛車(日産のマーチ)に持ち込んでみたのだけれど、そう何もかもうまくはいかなかった。SoundLink Revolveはカップホルダーよりはやや太く、収まらない。ダッシュボードに置くと、窓に音が反射するのか音はとてもいいのだけれど、当然ながら安定しない。カー用品店で売っているダッシュボードマットを敷いてみるとガタガタしなくなったのだが、急ブレーキでも踏めば、SoundLink Revolveが車中を飛ぶことになりそうで怖い。
かくして、クルマの中でのSoundLink Revolveの使用は諦めたが、自宅にはすっかり定着した。深夜など、周囲への音漏れが気になるときは相変わらずヘッドホンを使っているが、それ以外はパソコンで作業をするときもスマホで音楽を聴くときもSoundLink Revolveを使うようになった。ヘッドホンの圧迫から耳が解放されるのは久しぶり。スピーカーだと、こんなにのびのびと音楽を楽しめるのかと実感している。
(日経トレンディネット 平野亜矢)
[日経トレンディネット 2017年7月19日付の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。
関連企業・業界