氷を浮かべて完成するワイン 楽しみ広げる、夏の7選
うだるような暑さが続くと「ワインどころじゃない。キンキンに冷えたビールが飲みたい」という人も多いだろう。そういう人にもおすすめなのが「オン・ザ・ロック」ワインだ。「ワインに氷を入れるなんて、ワインに失礼だ!」という非難の声があがりそうだが、ワインの自由な楽しみ方として徐々に広まりつつある。
伝統あるシャンパンのメゾンがブームつくる
氷を入れて楽しむワインのパイオニアが、270年以上の歴史を持つ世界最大のシャンパンのメゾン(醸造所)、モエ・エ・シャンドンだ。 2015年に夏限定で「アイス アンペリアル」を発売して、おしゃれなワインラバーの間で一気にブレークした。17年からはロゼも加わり、通年で楽しめるようになった。
このシャンパンの特徴は、「氷を入れても楽しめる」ではなく、「氷を浮かべて初めて完成する」点だ。氷を入れたときに香りや風味を損なわずおいしく飲めるよう、力強い黒ブドウのピノ・ノワール種を多めにブレンドしている。モエ・エ・シャンドンが推奨する「正しい」飲み方は、ボトルを冷やしてワインを注ぎ、大き目のロックアイスを3つ入れるだけ。「甘いジュースのようなワイン」とは一線を画するシャンパンならではの複雑味と、甘さを引き締める酸味のバランスが絶妙だ。
デザートとは当然相性がよく、白の「アイス アンペリアル」ならトロピカルフルーツ、ロゼならベリー系のフルーツが合う。ちょっと意外なところでは塩味がきいたものも合うそう。どんな瞬間も特別な時間に変えてくれるのがシャンパンの魔力だが、とくに「真夏の太陽がキラキラ輝くもと、海や山、自然を感じる場所や、テラスやクルーザーやヨットなど、心地よい風を感じる場所でぜひお楽しみいただきたい」(モエ・エ・シャンドンを日本で扱うMHD モエ ヘネシー ディアジオ)。白一色の洗練されたボトルデザインは、海の青や山の緑に映える。ちょっとぜいたくなアウトドアシーンには欠かせない一本だ。
アイス アンペリアル 希望小売価格 8000円(税抜き)
アイス アンペリアル ロゼ 希望小売価格 8400円(税抜き)
MHD モエ ヘネシー ディアジオ 03-5217-9906
カジュアル向けワインも氷入りで
「自由を味わう」がコンセプトのカリフォルニアワイン「カルロ ロッシ」は、オン・ザ・ロックで楽しむ「ロッシ ロック」の飲み方で人気だ。キンと冷やすことによりフレッシュ&フルーティーな魅力がさらに引き立つ。720mlサイズはペットボトルなので扱いも楽チン。大容量の3Lバックインボックスと小容量250ml瓶もあり、シチュエーションに合わせて選びやすい。
サントリー「酸化防止剤無添加のおいしいワイン。」シリーズにもロック専用ワインが加わった。2016年夏に発売された「氷と楽しむおいしいワイン。」は、「夏に限らずいつでも氷を入れてワインを楽しみたい」という声から通年商品に。アルコール度数を1度高くし、氷を入れても味が薄くなりすぎないよう工夫した。飲む際には、大きめの氷をグラスいっぱいに入れ、グラスを十分冷やしてから液体を注ぐといい。はじめはジュースのように甘いが、時間とともに氷が溶けてほどよい濃さになる。ワインというよりはワインカクテルの感覚で気軽に楽しみたい。
カリフォルニア レッド
カリフォルニア ホワイト
カリフォルニア ロゼ
カリフォルニア レッド マスカット
希望小売価格 オープン価格
サントリーお客様センター 0120-139-380
氷と楽しむおいしいワイン。(酸化防止剤無添加)濃い赤
氷と楽しむおいしいワイン。(酸化防止剤無添加)濃い白
希望小売価格 オープン価格
サントリーお客様センター 0120-139-380
ちょい甘ワインがおすすめ
筆者がよく氷を入れて飲むのは、香りや味わいのはっきりしたニューワールドのワイン。先日はナチュラルローソンで購入したハーフサイズの「コノスル」(自転車マークでおなじみのチリワイン)シリーズの「ゲヴュルツトラミネール」で試してみた。
ゲヴュルツトラミネール種はバラやライチの香りが特徴の華やかな白ワイン。香水のような香りを放ち魅惑的だが個性が強いので、1人でたくさん飲むのはつらい。そこに氷を入れると華やかな余韻を残しつつ引きしまった味わいになり別の魅力を発見できる。
希望小売価格 590円(税抜き)
スマイル 03-6731-2400
やや甘口の白ワインやロゼワインも、氷を入れたときに甘みと酸味のバランスがキープできるのでおすすめだ。カリフォルニアで人気の高いロゼワイン、ベリンジャー・ヴィンヤーズの「ホワイト・ジンファンデル」はまさに氷ワイン向きだ。摘みたてのイチゴのようなフレッシュな香りとほんのり甘さの残る味わいは、スパイシーな料理との相性が抜群だが、氷を入れればアペリティフ(食前酒)にもぴったりだ。ホワイトという名前に反してキュートなロゼ色のワインは、見た目も映えて女子会でも活躍する。
参考小売価格 1200円(税抜き)
サッポロビールお客様センター 0120-207800
キリン食生活文化研究所が行った「自由時間の過ごし方」に関する調査では、「プレミアムフライデーに、何をして過ごしたいか?」という質問に対し、「自宅での読書やDVD鑑賞」「外食」に続いて「自宅でのちょっとぜいたくな食事」が挙がった。最近では自宅のバルコニーやベランダでプチぜいたくな時間を楽しむ「バルコニスト」[注]も出現し、家での自由時間を少しだけハレ気分で過ごしたい人も増えてきている。バルコニーでおしゃれな時間を過ごすのにぴったりの、SNSでシェアしたくなるようなフォトジェニックな飲み方をメルシャンの広報担当に教えてもらった。
[注]スウェーデンのIKEAはベランダやバルコニーを楽しんでいる人を「バルコニスト」と定義
まずは氷にハーブやかんきつフルーツを閉じ込めてつくるフレーバーキューブ。造り方はシンプルで、製氷皿に好みのハーブやフルーツをカットして入れて水を入れて凍らせるだけ。透明な氷をつくるには一度沸騰させたお湯からゆっくり凍らせるのがポイントだ。キューブを入れてワインを注げば、おしゃれなワインカクテルが完成する。「ハーブやかんきつの香りが豊かなソーヴィニヨン・ブランには、ミントやローズマリーなど同じ系統のハーブを使うと香りがけんかせず寄りそってくれます」(メルシャン広報)
フルーツを使う場合は、白ワインならユズ、スダチなどの日本のかんきつも合う。氷でワインが薄まらないか心配なら、水の代わりに余ったワインを使って氷を作るのも一案だ。
参考価格 780円(税抜き)
キリン メルシャンお客様相談室 0120-676-757
もっと手軽にアレンジしたい人向けに、コンビニでも購入できるフローズンフルーツを使ったワインカクテルも教えてもらった。といってもワインに凍らせたフルーツをそのまま浮かべるだけ。スパークリングワインにベリー系のフルーツを使えば、シャンパンにイチゴを浮かべるマリー・アントワネットのような優雅な気分になれる。
とびきり「インスタ映え」しそうなのが、アイスキャンディーを利用したワインの楽しみ方。フルーツ入りのアイスバーを入れたグラスにワインを注ぐだけで簡単に作れるワインカクテルは、ホームパーティーの演出にもおすすめ。
スペインのスパークリングワイン、カヴァの老舗「コドーニュ」から発売された日本限定ラベルは、バルセロナをイメージしたにぎやかなデザイン。このようなかわいいラベルのものを選べば、ハレ気分もさらに盛り上がる。筆者もマンゴー味のアイスバーとスパークリングワインで試してみたら、はじめはかんきつ風味が強かったが、マンゴーアイスが溶けるとトロピカルなワインカクテルに。サングリアを自分でつくる感覚で楽しめた。
参考価格 1750円(税抜き)
キリン メルシャンお客様相談室 0120-676-757
逆にオン・ザ・ロックに向かないワインもある。渋みの強い赤ワインは酸っぱくて渋くなりがちだし、「ロマネ・コンティ」のような芸術品はそのままの香りと味わいを堪能したい。TPOに合わせてロックスタイルを取り入れて、夏を涼やかに過ごしてはいかがだろうか。
(ライター 水上彩)
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