リクルートに学ぶ、新ビジネス生む「仕組み」杉田浩章著 「リクルートのすごい構“創”力」

アイデアの事業化、モデルで突き詰め

リクルートではビジネスのアイデアを形にし、育てるためのモデルや仕組みがいくつも存在します。その最たるものが「リボンモデルにある」と著者は指摘します。

リボンモデルは、蝶ネクタイのような形をしている。左側の三角が、個人や一般の消費者(カスタマー)、右側の三角が、企業や事業者(クライアント)で、両者をつなげる結び目がリクルートだ。
左右両サイドの端では、まず個人や企業を「集め」、何らかの働きかけをすることで両者の行動を変化させて「動かし」、中央のマッチングポイントで「結びつける」ことでリクルートが収益を上げる。この結び目が大きければ大きいほど、マッチングの総量は大きくなる。
(序章 なぜ、あなたの会社の新規事業はうまくいかないのか 36ページ)

こうしたモデルに基づいて事業としての市場性や「人の心を動かすサービスか」を徹底的に検証するのがリクルート流で、実際に新人から幹部に至るまでモデルを深く理解し活用しているといいます。さらに著者は「実は世の中のすべての事業は、このリボンモデルにあてはめることができる」と強調します。

リボンモデルを設計することは、ビジネスの視野を自然にぐっと広げる。既成概念に囚(とら)われず、業界全体、社会全体を変えるほどのイノベーションにつながるような、斬新なアイデアを生み出すためのツールになりえる。
(序章 なぜ、あなたの会社の新規事業はうまくいかないのか 40ページ)

本書ではほかにも「不の発見」「ぐるぐる図」「型化(かたか)」といったリクルートの考え方やメソッドを実例とともに紹介しています。新規事業に携わる人でなくとも、新しい考え方やモノの見方を教えてくれる一冊です。

(雨宮百子)

◆編集者からひとこと 赤木裕介

組織にとって有益な情報・経験・知識・ノウハウなどの「ナレッジ」を共有することに対し、リクルートには執念ともいうべき熱がある──。本書の編集作業を通じて、とても強く感じました。

過去のプロジェクトの資料を大量にお借りしたとき、かなり前のものでも、とても詳細な記録が残されているのに驚きました。よく「過去の経験を共有して、次に生かす」と言いますが、それが本当に徹底しているのです。

失敗例についても、原因を詳細に分析し、ケーススタディーとして共有していたのには著者ともども感心しました。何が、どの段階で、どううまくいかなかったのかが、克明に記されています。数多くの成功の裏には、こんな秘密が隠されていたようです。

組織として共有するかどうかはともかく、まずは自分の失敗をきちんと分析してみよう。そう思いを新たにしました。

「若手リーダーに贈る教科書」は原則隔週土曜日に掲載します。

リクルートの すごい構“創"力 アイデアを事業に仕上げる9メソッド

著者 : 杉田 浩章
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 1,728円 (税込み)

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